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日々のことば ファウンダー・降りていく生き方・お気に入りの木

37.ファウンダー

もう3年近く前に公開された映画ではあるけれど、ようやくプライムビデオで『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を観た。

文句なく面白い。ただし、それは一筋縄ではいかない面白さだ。まだ観ていない人がいたらぜひ観てもらいたいのでネタバレはしないが、「創業者」を意味する「ザ・ファウンダー」という題名からしてすでにスパイスが効いている。

好悪ではなく、正解を導き出すのがきわめて困難な作品だけに、観たひと一人一人に感想を尋ねれば、おそらくその回答は百人百様であるにちがいない。その意味で、読書会のようにめいめい好き勝手に感想を言い合ったらさぞかし楽しいのではないか。

主人公レイの人間性は必ずしも褒められたものではないが、ひとつ言えることは、彼はたしかに片田舎の〝行列のできる〟ドライブイインを支えるシステムがもつ革新性を誰よりも見抜いていたし、また、そのシステムの素晴らしさがアメリカじゅうで通用することを理解し、それを広めるためにはできうるかぎりの努力を払い、情熱を注ぐことをけっして怠らなかったのもまた真実である。実際もしレイが存在しなければ、この世界にファストフードが登場するのは50年くらい遅れていたかもしれない。ただ、まあ、手段がなぁ……。

あと、これは余談。劇中、トレーニング中のスタッフに対しオーナーが「ほら笑って!スマイル!スマイル」とけしかけたり、主人公がボソッと「I'm lovin' it(最高だ)」とつぶやいたりする(聞き間違いだったらすまぬ)のがおかしく、ついついニヤけてしまった。おすすめ。

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38.降りていく生き方

野望に満ちた映画『ファウンダー』の主人公レイ・クロックの人生を「昇っていく生き方」とするならば、その反対、「降りていく生き方」を提唱するのは浦河べてるの家の面々である。

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