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喫茶ひとりじかん

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喫茶ひとりじかんとは。一杯のコーヒーがつなぐ人と人とのゆるやかな関係、気配を読み、また小さな声に耳を傾けるカフェの接客を応用した「居場所づくり」のためのプロジェクトです。町のそこ… もっと読む
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2019年10月の記事一覧

ある人たちにとってカフェとは

ある人たちにとってカフェとは

ある人たちにとって、カフェとは、いざとなれば逃げ込める避難場所であるらしい。

これは、でも別に珍しいことでもなんでもなくて、サードプレイスとか都市のアジールとか、これまでにも繰り返し言われてきたことと変わらない。でも、そのことをつい最近、僕はオカダさんがポツリと漏らしたひとことを通して思い知ったのだった。

もう、東京にいる意味がない。moiがなくなると知ったオカダさんは、たしかにそう言ったので

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ただ居られるだけの場所をつくる。

便利なのでつい使ってしまいがちだが、言うまでもなく「居場所」という場所があるわけではない。それは話をわかりやすくするための、まあ、符丁のようなものといっていい。

居ることで、そこははじめて居場所になる。

居場所をつくるということは、人が行きたいと思い、そこに居たいと感じ、実際に何をするわけでなくただ居られる場所を用意するとともに、そこが「居場所」になるまで耕し続ける不断の営みのことをいう。要す

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僕は声が小さい。

僕は声が小さい。

僕は声が小さい。なので、よく知っている。この世界では、社内会議でも、あるいは他愛のない口喧嘩や定食屋の注文でも、声が大きい者の主張ほど通りやすいということを。

この場合、その主張が正しいかどうかはさして重要ではない。その声が「届く」かどうか、それが肝心だ。

だいたい、届かない声は何も動かさない。動かさない声は目に見えない。そのため、それは最初からこの世界に存在していないものとして扱われがちであ

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