本屋博に行ってきた

先日1/31と2/1の2日間に渡って二子玉で行われた、本屋博にお邪魔してきた。主催の方がちょっとした知り合いだったこともあったが、一書店員として気になっていたイベントでもあった。

いざ、お昼頃に会場についてみると、平日にも関わらず想像以上の人、人、人!手にとってみたい本があったが、来場者と店主の話が盛り上がっていて邪魔するのも…となったのは一回ではない。それくらい、人が溢れていた。

とりあえず、一通りぐるっと全ての本屋を回って、少し離れたところでひと息ついた、熱気の外から見る会場は、わたしの知ってる本屋のイベントではなかった。

東京にいて、一番大きい本屋のイベントは多分神保町ブックフェスタだとわたしは個人的に思っている。あのイベントもなかなかの掘り出しものと巡り合うし、哲学が専門の私としても心が踊る場である。

が、なんというか、本屋博はそれとは別の熱気に包まれていた。神保町ブックフェスティバルはどちらかというと所謂「本の虫」と言われる人たちがこぞって、お宝を探しに行くような場所にちかい。

しかし、本屋博は例えば二子玉川駅を使う女子高生が、お母さんに連れられてきた子供たちが、日頃は本なんて読まない〜と店主と話してたような人が、そういう人が集まっていた。もちろん本の虫もたくさんいただろうし、そういう人が大半であっただろうが。

要するに、目的が違うのだ。お宝探しが目的のものと、お宝を探すための道中の冒険が目的のものと。ポケモンで言うと、チャンピオンのとこに行くために御三家だけ強くして野生のポケモンから全部逃げて早くチャンピオンの元へ行く人と、チャンピオンに行くまでに育成したり図鑑集めたりする人みたいな。これわかる?わからないならいいです。

別にどっちが良い悪いとか言うことを言いたいわけじゃなく。そりゃ人によって目的は違いますからね。ただ私は個人的に、そして一書店員として、後者を見ているのが好きなんです。

本をお店で手に取る時、何を考えてますか?このタイトル素敵だな〜とか、この表紙可愛いな〜とか、そういうの、とても素敵です。それは貴方だけが持ってる、他の人にはない感受性だからです。惹かれ合うべくして惹かれ合ったんです。本という外的要因から、本を手に取る、本の力すげ〜〜〜なと思う一瞬です。

他にも、恋人ができたとか、失恋をしたとか、美味しい料理が食べたいとか、ハラハラドキドキしたいとか、親しい人が亡くなった、とか。その時の自分の心情に合ったものが読みたくなる時もありますよね。自分の気持ちという内的要因に合う本が世の中に出てるのもすげ〜〜〜なと思う一瞬。

わたし、こういうのを見てるのがはちゃめちゃに好きなんです。誰が何を思ってその本を手に取って出会ったのか、そこに生まれる物語がなによりも好きで書店員をしています。これは本当に心の底から。

本屋博では、そういう物語が至る所でぽこぽこほわほわ生まれていました。なんて幸せ空間。色んな人が新しい本と出会って幸せそうにしている表情ってほんとに何にも変えがたいですよ。ハマる〜〜

出店していた本屋たちは、どこも個性的な本屋で、関東・関西・ネット書店あらゆるところから集まっていたし、大型チェーンから個人店・出版社とお店の規模も様々。店主たちの熱量は、わたしみたいなへっぽこ書店員なんか比べ物にならないくらい大きくて熱くて偉大で、届かなくて、だからこそわたしも頑張らないとなぁと強く思った。自分が書店員として、自分の店でできること、なんでも試して挫折してまたチャレンジして。もちろん色んな知識をつけて。やることはたくさんありすぎる。でも、やりたいなと思ったし、やってやる!!とも思った

んでも、やっぱり心折れることもあるわけで、何よりグサっときたのはわたしを本屋に引き入れた学生の時のバイト先(本屋)の店長(はじめに話した主催の方)に、「なんでかまだ本屋で働いてるもんなぁ」と言われた時には、う"っ!!!となった。ニュアンス的になんで本屋いんの?そんなに本好きだったっけ?みたいな感じで、やめて〜〜〜〜となった。

本は好きだ。普通の人よりは読んでいる。ただ、書店業界でもかなり読む人の部類かと言われるとそこまではいかないだろう。恥ずかしながら。一丁前に純文学と大衆小説はここが違ってうんたら〜なんて会話はできない。まじ。ていうかできる人がすごいんだよ。

まぁ、そんなでも本が好きで本屋が好きな気持ちもこれは本当で。ただ、それをあまり話したことはなかったのだ。この業界に引き入れてくれた人だったからこそ、気恥ずかしい思いが強かった。なによりとても尊敬していたので、そういうことを言うのがおこがましいかと思っていた。だからこそ、そう思われたのかも知れないなぁと。

尊敬している人にそう言われたら、悲しくなっちゃって、わたしこの仕事向いてないんかな…って思っちゃったり。なにより薄給だし。これはまじ、まじで誰か偉い人給料上げてって思うくらい、書店業界ってまじで生活苦しいので、これから目指す人は覚悟するか貯金するかパトロンでも見つけてからの方がいいですよ。

と、まぁ思ったりもしたんですが、いざ本屋博終わって一人家でぼ〜っとしてたらふつふつとあの本が売りたい、こういうフェアがやりたい、ああ今日のあそこにあった本も置きたい!なんて色々考え始めちゃって、結局はちゃめちゃに尊敬してる人に何言われようがわたしはわたしなりに本屋にいたいんだと、再認識しました。てかどんだけ崇拝してたんだ。自分きもいな…

といった感じで、本屋博、色々考えさせられたし本も買えたしで最高のイベントでした。なんだか自分が新しくなった気分。そういう人多いんじゃないかな〜、ぜひぜひ2回目もお願いします、なんならお手伝いしたいくらいですね。ぜひ。

今回行けなかった人も、もし次回があるなら行ったほうがいいですこれはまじです。それで、これだと思う本に貴方が出会えますように。一書店員として願っています。


そしてわたしが本屋博で買った本の一冊「たとえ、ずっと、平行だとしても」

ね、こうやって自分の気持ちに似合った本があったりするんですよ。本って素敵ですよね。

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