見出し画像

のぐそデイズ

一昨年の5月この地に越してきた当時、この家は本物の廃墟であった。どの部屋にも床は無く、無いと言ったら本当に無いわけで上から下から全て腐り切って、束石大引根太と基礎からの始まりである。お勝手は全て撤去。寒々しい空間がガランと広がる。唯一無事だった廊下は、前住人であるところの大家が絨毯やら毛布やらなんじゃかじゃと敷き詰めて釘を打ちまくったらしく、地域の方々がお掃除してくださる際にそれらを力任せに剥がし、後に残った釘が殺人的に突き出していたので、素足での歩行には相当な危険が伴うものであった。というわけで土足。おまけに間も無くやって来た梅雨の湿気で床の木が膨張したらしく、その危険極まりない廊下はもりもりと盛り上がり波打ち、踏めばボコンベコンとどうしようもない。というわけで廊下も閉鎖。間も無く広間の床はプロフェッショナルがコンパネまで仕上げてくれたのでなんとか足場は確保できた。後におやじどのが泣きながら杉板を貼ることになる。
さて問題は廊下の先にあるトイレなのだが、これが描写を自粛したくなるのだが正直に申し上げると蛆の死骸にまみれた腐れ和風便器で、狭い空間は蜘蛛の巣と何らかの死骸で満。はてどうするか?我々当時4人家族うち1名オムツつまり3名ははてどうするかの間、家の裏手でこっそりと野糞をしていたのであった。幸い何の偶然か東京在住時代に杉並区で開催された野糞講座を受講済みであったので要領は得ている。良き場所に穴を掘る。うんこする。紙で拭く。紙は持ち帰りだが葉っぱで尻を拭く場合はこの限りではない。穴を埋める。棒切れを立てる。完了である。棒切れを立てるのは次回のうんこ時に誤って以前のうんこ場を掘り返さないためである。発酵にはひと月ほど要するらしい。といったような野糞生活を2ヶ月3ヶ月と続け、購入したのは国産コンポストトイレであるこまらんクラフトのフォレストなんとかなのだが、これは頗る快適で、海外製品の問題点を全てクリアしていると言っても過言ではないと思うし、安い。 オ・ス・ス・メ。
そんなわけで我々の野糞生活は終止符を打ったのだが、コンポストトイレはメンテが命。おやじどのの果て無き戦いの幕開けなのであった。
#田舎暮らし #移住 #子育て #リノベ #コンポストトイレ #野糞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?