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イラストレーターと漫画家とアニメーターの現実

◉2016年04月05日の記事ですが、かなり重要な内容ですし、データとして残しておきたいので、noteに記しておきます。京都精華大学マンガ学部の西野公平准教授(当時)が具体的な数字を挙げて、イラストレーターの厳しい現実を示しています。実際に大学や専門学校で教えていると、漫画家よりイラストレーターのほうがなるのが簡単だと考えている若者が多いので、まず自分の人生の進路を考える上で、基本となる情報として有用でしょう。

【日本のコアコンテンツであるマンガは、思いのほか岐路に立っている】Wired

クリエイティヴ領域におけるデジタルの重要性を、いち早く教育現場に取り入れていると評判の京都精華大学。新学期の到来が間近に迫った3月、その評価の震源地でもあるマンガ学部にて准教授を務める西野公平の研究室を訪ねた。彼が考える「いま必要なデジタル教育」とは?

詳しくはリンク先をお読みいただくとして。

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■イラストレーターの収入■

まず、イラストレーターの年収は100万円以下が53%、とのこと。つまり、本業では食えないわけです。200万円以下が25%で350万円以下が13%で、合計91%にもなってしまいます。350万円以上で曲がりなりにも食えているのは、全体の9%でしかないという現実。それも350万円から600万円という、フリーランスとしては厳しい数字が7%を占め、1200万円以下が2%で5000万円以下が1%と、恐ろしい数字が並びます。合計値が101%になりますが、これは小数点以下切り上げ切り捨ての結果でしょう。

数年前のイラストレーター協会が調べた数字なのですが、プロのイラストレーターの年収は、100万円以下の割合が53パーセントなんです。もうひとつ、年齢でみると20〜30代が80パーセントを占めている。つまり、どう考えてもイラストレーターというのは若いうちの商売で、かつ食っていくのが非常に難しい世界なんです。こういう現実を教えてあげることも、非常に大切なことだと思っています。

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西原理恵子先生が、彼の才能と取り替えられるなら悪魔に魂を売ってもいいと同期生の誰もが思った武蔵野美術大学の同期が、亡くなったとき建設作業アルバイトAさんとしか報じられなかった――と、何かのエッセイで書いていましたが。そういうのが現実でしょう。20代が41%で30代が39%と、ここだけで80%を占め、40代になっても続けられるのは一握りの13%。10年以上続けられるのは11.4%と。では、そもそも日本にイラストレーターは何人ぐらいいるのでしょうか? 

■イラストレーターと漫画家の数■

日本イラストレーター協会のサイトを見ると、あ28人、い23人、うえ19人、お23人、か16人、き7人、くけ15人、こ13人、さ27人、し24人、すせそ18人、た24人、ちつてと20人、な17人、にぬねの14人、はひ19人、ふへほ34人、ま26人、み17人、むめも13人、や20人、ら9人、わ8人。合計434人。この中には漫画家で登録している人もいますから、イラストレーター一本の人は、400人前後でしょうか? もちろん、すべてのイラストレーターが登録しているわけではないでしょう。

日本漫画家協会は、数を数えるのが面倒なので正確な数字はわかりませんが、2019年現在所属会員数は約1700名とのこと。CLIP STUDIO PAINTのセルシス社の推計で漫画家は3000人から6000人とされますから、イラストレーターも教会に未登録の人が2倍から4倍ぐらいいるとして、総数は800人から1600人ぐらいでしょうかね? そもそも分母として、漫画家とイラストレーターは間口が違います。漫画家のほうが難しそうというのは、ただの学生の推測にしか過ぎず、こういうデータを集めることもしていない訳です。

■アニメーターの収入■

アニメーターも、推定数は3100~4500人という人もいれば、原画でも5200人と言う人もいますが。こちらも『アニメーター実態調査2019』によれば、20-24歳は年収154.6万円と安いですが、25-29歳は245.7万円、30-34歳は511.1万円、40-44歳は520.7万円、45-49歳は529.8万円、50-54歳は610.8万円とピークに達し、55-59歳は543.8万円と落ちますが、60-64歳は592.0万円と何故かベテランのほうが盛り返し、65-69歳でも348.8万円となります。

もちろん儲かってるとは言い難いですが、イラストレーターの数字を見たあとだと、ずいぶんマシな数字が並びます。どうにも、駆け出しの半人前の20-24歳は年収154.6万円が喧伝されていて悪いイメージが蔓延していますが、最初の数年を乗り切って淘汰されなければ、割と長く食っていける商売に見えますが、いかがでしょうか? 動画マンから原画マンに上がれるか、そこで自分の才能と適正を試すのも、悪くないような。

■まとめとして■

プロ野球でも、契約選手が一軍選手より収入が低いのは、当然ですから。20-24歳は年収154.6万円は、ある意味で仕方がないでしょう。新人漫才師は、それ以下でアルバイトしているのが普通。それは、漫画家も同じですが。その点は、数字がないので比較はできませんが。もちろん、一流のアニメーターは年収が1000万や2000万を超えるような状況が、理想ですが。それぐらいには、稀有な才能だと思いますし、日本が世界に誇る文化ですから。

例えば、昔の教え子で簡単な透視図法の基本を教えたら、アニメーターになったら同期の中では群を抜いて技術を持っているということで、あっという間にエンドロールに名前が載るようになった子がいます。元アニメーターの漫画家に聞いても、専門学校ではあまり大した技術は教えてくれないと。そもそもの育成システムが、ダメダメな疑い。透視図法とか努力でかなりカバーできるんですから、もうちょっと技術体系と教育体系の見直しが必要では?

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