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note読書の秋2022 その⑤

◉noteの秋の企画、読書感想を募集する投稿コンテストですが。いちおう、プロの物書きですので、コンテスト自体には何の興味もなく。個人的にはおすすめの本を紹介する企画として、活用させて頂いております。それでは、本日のオススメ本を。ショート漫画や4コマ漫画で、個人的に好きなものデス。

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『世界の終わりに柴犬と』

■Twitterで週一回程度の発表から始まって、そのままKADOKAWAで発売され、という人気作品。作者自身が柴犬を飼い始めて、その経験が投影されているので、犬好き(特に柴飼い)にはあるあるネタが満載で、楽しい作品ですね。あ、自分は柴犬を飼っていませんが、友人が何人か飼っているので。犬の言葉が理解出来る女子高生と柴犬が、文明が滅びたであろう世界を旅する物語。

でも内容はギャグ寄りのコメディと言うか。粗めのタッチで、高い画力と個性も相まって、大好きです。やたらと理屈が多い柴犬のハルさんに、妙に親近感が湧くと言うか。YouTubeの方で、リミテッドアニメとして発表されているのですが。ハルさんを田村睦心さん、ご主人を内田真礼さんなど実力派が演じていて、宇宙人や女神様八百比丘尼が登場する不思議な世界観でも、違和感なく楽しめますから。

『ねこようかい』

■ぱんだにあ先生の、猫漫画……なんですが。猫のようで妖怪という、意外な組み合わせがとても面白い作品。猫の妖怪というと、猫又しか思い浮かばないのですが、他の色んな妖怪とこんなにも組み合わせられるとは、全くの盲点でした。シンプルでキュートな猫たちのデザインも含めて、男女問わずスッと読める、間口の広さと、猫好きならではの奥行きの深さを併せ持っていますね。パフェちゃんかわいい( ´ ▽ ` )ノ

自分がこういう作品を描いたら、たぶん10本ぐらいでネタ枯れになると思うのですが。単行本7冊を過ぎてもなお衰えぬ、その発想力の豊かさに驚かされますね。才能の差に、嫉妬さえ起きないレベルです。ぱんだにあ先生には他にも、『悪の秘密結社ネコ』や『ねこもんすたー』という作品もあり、本当に猫好きなんだなというのが伝わるのがいいですね。しかし、猫漫画なのになぜ、パンダ? ……と思ったら、大熊猫ですか?🐼

『おでかけ子ザメ』

■ペンギンボックス先生の作品です。犬猫と来て、サメです。魚類。唐草模様の風呂敷を背負った子供のサメが、はじめてのおつかいよろしく、町に出て色んな体験をすると言う、ハートフルほのぼの漫画なのですが。ほぼサイレント漫画なため、作者の構成力の高さが、際立ちますね。こちらも絵柄の可愛らしさがツボにはまりますね。愛らしく、いじらしい。おっさんのハートを直撃❤

なぜサメなのか、という問いは愚かでしょう。エラ呼吸なのに陸上を闊歩できるのか、とかも。可愛いのだから、理屈は不要。コザメの出会い、触れ合い、ハラハラ、小さな冒険譚が心をあったかに。カメントツ先生の『こぐまのケーキ屋さん』と同系列ですが、こっちのほうが画力が高く、受け幅は広いですね。フォルムも可愛いし。かわいいは正義。

『こぐまのケーキ屋さん』

■うちの講座のOBです。面白いです。でも、面白いだけではないです。突き放した視点が、彼の持ち味。味わってください。以上。

『そんなキミが大好きだよ!』

■同じく、MANZEMI講座の出身者、路歌乃音さんの初単行本作品。才能だけなら、カメントツ先生や赤信号わたる先生、ひかり旭先生らに、匹敵しますね。動物たちがほのぼのと暮らす不思議なワールド。でもそれだけではない、スパイスが仕込まれているのは、こぐまのケーキ屋さんに似ています。フルカラー作品で、そのシンプルな絵柄が、心地いいです。

奇しくも、先に紹介した3作品は全て動物漫画ですが。今作は潔癖症のアライグマや寂しがり屋のニホンオオカミなど、多彩な動物たちが登場します。作品的には、謎の少年パンモルドくんが登場する第②巻から一気に、才能が花開いた感じがしますね。2冊まとめての一気読みがおすすめです。内輪褒めと思うことなかれ。この才能は、先物買いしておいても、損はないと思いますよ?

もう気付いた方もいらっしゃるでしょうが。今回紹介した作品は全て、SNSで発表された作品です。最後の作品以外は大ヒットし、評価も高いです。雑誌という発表の場自体が、自分が編集者だった1995年の漫画雑誌全盛期に比較すれば、半分以下に減っていますからね。その代わりに台頭したのが、スマートフォンの普及による SNS という新しい場。この国の漫画ファンはレベルが高く、面白いものはちゃんと評価してくれますから。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ