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Amazonで印刷書籍も個人出版可能に

◉前々から言われていたのですが、ついにAmazonが個人出版で紙の本の販売にも対応です。現状でも、個人で電子書籍を販売できますが、ついに紙の本も。こうなると作家は、出版社スルーでの本作り・販売が可能になります。昔は同人誌以外、出版社を通さなければ本を全国に流通させることができませんでした。同人誌の流通は場所も量も限られており、取次を握っている出版社が圧倒的に有利だったんですが……それも崩れましたね。

【アマゾンで「紙の本」も個人出版可能に 注文印刷で在庫不要】朝日新聞

 インターネット通販大手アマゾンジャパンは20日、個人が紙の書籍をネット上の「キンドルストア」で出版・販売できるサービスを日本で始めたと発表した。これまでは電子書籍のみ可能だったが、マンガを含む全ジャンルの作品が紙でも出版可能になり、読者も電子書籍か紙の本かを選んで買えるようになる。
 サービス名は「キンドル・ダイレクト・パブリッシング」。注文に応じて印刷するため、著者は在庫を抱える必要がない。販売価格は自分で決められ、紙書籍で最大60%、電子書籍では最大70%の印税を受け取れる。ただし、紙書籍では印税から印刷費を差し引く。

ヘッダーの写真はnoteのフォトギャラリーより、Amazonのおなじみの箱ですね。我が家にも大量にあります(-_-;) ところで個人的に、電子書籍に対して紙の本というのは、なんかバランスが悪いなと前から思っていたので、印刷書籍という言い方をするようにしています。同じ4文字でバランスもいいですしね。

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■Amazonの戦略と原点回帰■

Amazonは、GAFAと呼ばれる企業の中でも、ちょっと特殊ですね。もともと、日本の20倍以上の国土面積のアメリカで、僻地にも本を届けるという目的で始まった会社です。そこから流通の王者にのし上がったのですから、創業者の先見の明とか、さすがだと思います。廉価なKindleシリーズでタブレット型を普及させ、そこから音楽や動画やオーディオブックまで、総合エンターテイメント販売会社になりましたし。まさに、デジタル時代の申し子。

でも、独自のOSを作るわけではなく、GoogleやAppleとも上手く棲み分けている印象です。そして再び、創業の原点に帰って、印刷書籍を読者に届けるという部分に回帰。日本だと、例えばボクサーはジムに所属することが必須のジム制度で、マネージャーと選手だけで試合が組めるマネージャー制度のアメリカとは、異なります。でもこのAmazonの動きは、出版社と取次と本屋いうジム制度に風穴を開けて、作家と読者というマネージャー制度的な本作りを促すでしょうね。それこそ、作家にとっても福音です。今は、同人誌がアニメ化される時代ですから。

■マネージャー制度の時代■

といっても、メリットばかりではないです。まず、技術的な部分が問題になるでしょうね。印刷に耐えるレベルの本をつくるには、ちょっとしたノウハウが必要です。それ自体は、90分の講義を15コマも受ければ、一通りは身につくものなんですが。あんがい、習得は大変は大変ですしね。ただ例えば今後、ヒットした作品の担当編集者が出版社を辞め、作家のマネージャーとなる形でそういう部分をサポートする、まさにマネージャー制度的な動きは加速するでしょう。

あるいは編集プロダクションが、そういう実務部分を請け負うとか。「何十年も同人誌を作ってるので、紙の本ぐらい作れるわい」という人は多いでしょうけれど、それって印刷所が「データがおかしいけど、たぶんこうしたいんだろうなぁ」と忖度して、調整してくれていることが多いですからね。実際問題、実務作業を編プロに丸投げしてる大手出版社の編集者は、驚くぐらいDTP(デスクトップ・パブリッシング=パソコンで完結するデジタルな本作り)の基礎知識が、な欠けてる人が多いです。本業ですらそうですから、いわんや片手間では……細部でやらかします。

■問題はInDesignの習得■

ただ、個人的にはAdobeのDTP三種の神器のうち、Photoshopは廉価な代替アプリがありますし、IllustratorはInDesignで機能のかなりの部分が代替できますから。単体でサブスクリプションが月額2728 円のInDesignだけ学べば、それなりに本が作れます。小説でも漫画でも画集でも、自由自在に。自分は、これに電子書籍制作ソフトLeMEとの組み合わせで、ほぼ理想の本が作れると思っています。なので、ここらへんの需要があるなら、講座とかで教えても良いんですけどね。

もっとも今後、個人出版が進むなら、それこそAmazonが自社でDTPアプリを開発し、廉価に提供するのはありではないでしょうか? AppleやMicrosoftは、Adobeとの付き合いもあるでしょうから、難しい面もあるでしょうけれど。ただ、Adobeの寡占状態は、AppleやMicrosoftにとっても、良いことではないですから。三社でPhotoshop・Illustrator・InDesignの対抗アプリケーション開発して。廉価に提供するのもありではないでしょうか? 上手くすればキラーコンテンツになりますから。

運営事務局が出したこの本、こういう時代が到来することを見越して、最初から印刷書籍のデータを作って、それを電子書籍用に調整して本にしていますが。必要なら、データをAmazonに預けるだけで、印刷書籍も作れるんですよね。なので、今後はこういう需要が増えると、自分は思っています。そのノウハウを、必要なら講座という形で伝授しても良いんですけどね。需要はたいしてないでしょうが、同人誌のクオリティもぐっと上がるはずです。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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