ソウル大学マルクス経済学講義が終了
◉反共が国是だった朴正煕時代の韓国を、おぼろげながらも覚えている身としては、ソウル大学という韓国の象徴のような大学で、マルクス経済学の講義があった事自体が、驚きですね。ある意味で、自由主義国の守るべきラインでもあったのでしょう。言論の自由、表現の自由、思想・信条の自由、学問の自由は、地続きですから。北朝鮮の金日成総合大学で、マルクス経済学以外を教えているかは、知りませんが。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、カール・マルクスの着色写真です。
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■資本論は疑似科学■
詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。そもそも、マルクス経済学自体が、疑似科学ですからね。1867年発行のカール・マルクスの主著『資本論』で展開されたその経済理論は、労働価値説ほ批判的継承とか剰余価値論とか、いろいろ屁理屈はこねていますが、そもそもマルクス自体、借金まみれの経済破綻者ですし。キリスト教に改宗したユダヤ人ラビの家系という、宗教コンプレックスを持つマルクスが、ダーウィンの進化論を優勝劣敗の論理と誤解し、さらにユダヤ・キリスト教の千年王国思想を焼き直した、むしろ純化された宗教ですから。
マルクス経済学は、科学に偽装した宗教であったがゆえに、多くの人間を魅了した部分があります。個人的には、商人が開祖のイスラム教のほうが、イスラム金融というシステムを生み出した分、貢献度は高いのではないでしょうかね。個人的には、イスラーム法において利子の取得を禁止されているので、貸主と借主がリスクを分かち合うムダーラバ制度とか、積み立ての積算が、購入代金+手数料の額となったで所有権が顧客に移るイジャーラ・ワ・イクティナーウ制度など、経済学的な是非は素人にはわかりませんが、人間の実感として、納得できますしね。将来的には、日本でも普及しそう。
カール・マルクスの共産主義思想が、宗教の焼き直しという点については、こちらのnoteも参照してください。
■マル経は宗教学?■
共産主義思想が宗教の焼き直し、なんてのは自分のような素人の妄言ではなく。バートランド・ラッセルのような、本物の知性が『西洋哲学史』で指摘したことです。もちろん、先行するニーチェの宗教批判、ローレンスの黙示録論など、積み上げられた結果ですが。でも、神学ってのは、壮大な屁理屈の体系があるわけで。マルクス経済学もまた、そういう屁理屈の体系があるんですよね。天動説だって、当時としては充分に〝科学的〟な説でした。その土俵の上では、整合性があるように、見えてしまいます。でも、宗教は宗教であって、科学的な部分を含みつつも、やはり科学ではないです。
韓国人の崔碩栄さんの、こちらの指摘が正鵠ですね。
日本の場合は、マルクス経済学が未だに幅を利かせています。でも、共産主義者と名乗りづらいアカデミズム界隈は、社会学者と名乗っている印象です。斎藤幸平氏とか、てっきりマルクス経済学者なんだと思っていたんですが、哲学が専門。経済思想家とか、肩書きが付いていたので、勘違いしてしまいましたが。哲学者なら尚更、「今こそマルクスの復権を」なんて寝言を言っちゃダメです。仏教哲学とか、宗教から生まれた思想哲学ですが、やはりそこには深いものがあるので、自分などは驚く見識に満ちているのですが。マルクス経済学には、そんなものはありません。
■脱マル経こそが鍵■
日本は、湯川秀樹博士のノーベル物理学賞を皮切りに、文学賞の川端康成、平和賞の佐藤栄作、化学賞の福井謙一、生理学・医学賞の利根川進と、各賞をほとんど受賞しているのですが。唯一、経済学賞は受賞なし。もちろん、新しい賞という部分はありますが、未だにマルクス経済学が幅を利かせる日本の現状では、難しいでしょうね。なにしろ、財務省の官僚は経済学部ではなく法学部出身者が多く、この国自体が経済学をあまり信用していませんからね。儒教文化自体が、松平定信の「商は詐なり」の言葉で表されるように、商業別紙の部分がありますから。
とはいえ荻原重秀のような、国定信用貨幣論を200年余りも先取りした天才もいたし、堂島米会所で先物取引をしていたのですから、日本人が経済が弱いとは、思いません。そもそも、理論物理学のような分野でもこれだけのノーベル賞学者を出しているのですから、むしろ7000年以上前から、環日本海経済圏とでも呼ぶべき交易圏を持ち、はるか大陸とも交易をしていた、経済に強い部分があります。近年のノーベル化学賞や生理学・医学賞の受賞者増加を見ても、縄文式土器や漆器の昔からの調合好きの国民性や、鍼灸や薬学でも独自の発見をしてきた国民性が、土台にあるでしょう。
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