親知らずを抜いた日記

2022/05/28、親知らずを抜いた。右側の上下2本。

年を重ねるごとに、未知の体験への恐怖心が増えていっていることを感じる。抜歯も例外ではない。(正確にいうと矯正をしていたことがあるので乳歯の抜歯は経験あるが)

人によっては普通の歯医者では処置しきれず、大学病院送りになることもあるとかそんな話も聞いたことがあったので抜歯の日程が決まって以来、ずっと心穏やかじゃなかった。

内心では「めちゃくちゃ怖えな」と思いつつ、一応いい歳した大人なので平静を装って歯医者に向かった。受付を済ませるとすぐに診察室へ通される。

待ち受けていた先生が開口一番

「心の準備は大丈夫ですか?」

などという。

大丈夫なわけないし、やっぱり心の準備が必要なレベルの施術がこれから行われる……ってコト!?などと考えてしまい、余計に大丈夫じゃなくなったが、大丈夫じゃないと言ってもどうにもならないのでお茶を濁しておいた。

そんなやりとりもそこそこに、早速施術が始まる。

以前虫歯治療の時に打たれた麻酔がオモチャに感じるほどの大きさの注射器のようなもので大量に麻酔を打たれる。ちなみにほとんど痛みは感じない。1発目だけ少し刺されている感覚があるが2発目以降はもう麻酔効いてるので何本でも好きなだけ打ってくれ状態だった。

麻酔が効いたら、そこから先は口元だけに穴が空いた布みたいなものをかけられてしまうので何が行われているのかよくわからなかった。感覚もないまま、歯が削られる音が響く。そうかと思えば、歯が割れる音がする。

最初こそ、Apple Watchの心拍数警告が作動するくらいにビビり散らしていたが、途中からはそれだけ激しいことをしていてなんの感覚もないのが逆に面白くて、自分ごとなのに客観的に何が行われているのか想像するくらいの余裕まであった。

過去にこれが作動したのは、久しぶりに参戦したアイドルのライブで開演待ちをしていてテンション上がりすぎたときだけである。

そうこうしてるうちに、抜歯予定の2本の歯のうち一本が抜き終わった。感覚はないのでそう言ってたなあ、という感じだが。

このまま2本目もやるかどうか聞かれる。おもしろおかしくなってきてたとはいえ、2度も覚悟を決めて歯医者に向かうのは嫌なのでそのまま2本目を抜いてもらうことにした。

2本目は上・右側の親知らず。こちらは表に見えてる部分は真っ直ぐに生えているので、先ほどとは違いそのまま歯を持って引っこ抜くらしい。

さっきまでの繊細さはどこいったん、と思いつつ言われるがままに口を開く。

口に何かしらの器具を突っ込まれたのちに、普通にフルパワーで歯を引っ張っている感覚がある。

令和にもなってめちゃくちゃ原始的だな…とか思いながら横たわること体感5分。「抜けましたよー」と言われて、あまりのあっけなさ、抜かれた感覚のなさに、麻酔が効いてうまく喋れないながら

「え、マジっすか!?全部抜けました!?!?」

と割とデカ目の声で言ってしまって、遠くから助手っぽい人の笑い声が聞こえた。

終わってしまえば、痛みもなくあっという間に過ぎ去っていった。うまくいったケースなのかもしれないが、少なくともそんなにビビらなくても、痛ければ麻酔を足してくれるし、割と大丈夫だなと思った。

ちなみに抜いた歯を見せてもらったが、きれいに3つに割れていて、なんでこんなことして痛くないんだ、と不思議な気持ちが加速した。


こんな謎の日記にたどり着く人がいるかわからないが、まさに抜歯をしようとしてて、ぼくのようにビビり散らしてる人に伝えたいのは、思ってたより医学はスゴいし、少し落ち着いて、まあ人生に一回くらいしかできないレア体験だと思って抜かれてみるのも良いかもしれない。

この記事を書いてる時点で抜歯から丸一日と少しが経過しているが、痛みも大したことはなく、処方された痛み止めを飲んでおけば気にならないレベルだし、腫れについても証明写真とって2枚並べて前後比較すればわかる程度にしか腫れていないことを付け加えておく。食事も、歯を抜いた右側さえ避ければ普通に食べることができた。(かっぱ寿司と餃子を食べた)

まだ経過観察しているところではあるが、全部済んだら歯医者のGoogleレビューに星5をつけようと、そう思った。

おしまい

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