見出し画像

夏のおやつ

実家に帰らないはじめての夏。
花火もない。夏祭りもない。フェスもない。(そんなに毎年行かないけど…)
実家に帰る途中の高速バスから見える景色が少しずつ緑に変わる時とか、お盆過ぎたあたりから急に夜が涼しくなるあの感じとか、それを体感できないまま過ぎていく夏。

楽しみにしていたことを次々とドタキャンされたような寂しさを抱えながら、夏を感じるきっかけは、セミがうるさく鳴いていることくらいかもしれない…。

油断すると減点方式な思考になりがちな自分のために、心躍った出来事を書き記そう。
全部、食(おやつ)のことです。食べ物はどんな時も裏切らない。

桃天国

画像1

一番好きな果物は桃です。

小学4年生の夏。お中元か何かで家に大量の桃が届いたことがあった。桃が大好きになったのは多分この時。何十個と届いた桃は、どれを食べても熟れてて甘くてみずみずしかった。

学校から帰るといそいそと台所に向かう。待ちきれずにいつも台所でそのまま食べるのが日課となっていた。(丸かじりした日もあり)

1日1個食べて、2週間くらいは毎日桃を食べていた気がする。あれは夢だったんじゃないかと思うほど幸せな思い出。あれ以来、夏になると桃を追い求めてしまう。

カキ氷とかケーキとかパフェとか。7月から8月にかけてお店は桃尽くしになる。

画像2

今年はなぜか母から、信州の桃が箱で届いた。会えないから、せめて好きなものをと思ったのかもしれない。

桃の箱をパカっと開けると、ふわっと桃の香り。ひとつとって鼻を近づけると、ほのかな甘い香りがする。その幸せな香りの中にずっと顔を埋めていたい…。

あの夢のような日々アゲイン。久しぶりに小躍りした。1日1個ずつ、種の周りについた所まで余さず食べる。やっぱり台所で食べる桃が一番おいしい。

1日目はまだ硬くて、外に出しておいたらすぐに柔らかくなったので急いで冷蔵庫に入れた。3日目からは3回くらい噛むだけで口の中がジューシーな完熟桃でいっぱいになる。

この幸せを噛み締めようと、目をつぶって食べる。おいしさは2倍になる。実家に帰らなくても、気の置けない地元の友人とたくさんおしゃべりした後みたいな充足感。

また何年か後に、今年の夏のことを幸せな記憶として思い出せたらいいなと思う。

キーホルダーにしたい

画像3

久しぶりに大好きなお店に行った。(東大阪にあるよつば印さん)
焼き菓子メインのおやつやさんで、ケーキとかマフィンを頼むと、かわいいクッキーがたんまりついてくる。乙女心を鷲掴みにしてくるお店だ。

前回お邪魔した時は春になる頃で、チューリップと桜のクッキーが「こんにちは」とあいさつするように、お皿にちょこんとのっていた。

今回はどんなおやつかな〜とワクワクして行くと、季節のタルトが桃!いわずもがなタルトを頼む。

出迎えてくれたクッキーは、スイカとビキニのウサギちゃん。ああ、夏だ。夏なんだ。今年一番、夏を感じたかもしれない。

かわいすぎて最後まで食べるのをためらって、このままキーホルダーにして持って帰りたい…と切願したが、無理なのでおいしくいただいた。

クッキーの味もひとつずつ違うし、タルトの他にバナナケーキやビスコッティが隠れてて、宝探ししてるみたいに楽しい。同じ空間にいる他のお客さんも楽しんでるのが伝わってきて、とっても気持ちの良い空気が流れていた。

画像4

あんことさつまいものマフィンを持ち帰る。マフィンは素朴で優しくて、お店で食べたクッキーと同じ味がした。

あんこもみっしり入っていて、さつまいもと合うなあと新しい発見。

店主さんから、あんぱんだけ販売してる時期があったと聞いた。「あんこを炊いてパンをこねてを、ひたすら繰り返してました」という話がすごく好きだった。もしまたあんぱんを販売する時があったらぜひ食べてみたい。

毎日の中で「食べる」ことが、わたしの楽しみの大部分を占めている。今年の夏は大きなイベントはなかったけれど、ミスドでフレンチクルーラーとカフェオレ頼んだときみたいなささやかな幸せがちょこちょこあった夏だった。(まだ終わってない)

今しか食べれないおやつをまだまだ食べたいし、スーパーに桃が並び続ける限り、桃の追っかけもやめないでおこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?