定期的にBTS花様年華を拗ねらせる女子大生の話

第二話 一人ぼっちのバースデー

2019年6月。私は19歳になった。
19歳になる1分前まで、あいみょんの19歳になりたくないを聞いていた。
これは、私があいみょんのことを好きになった17歳の時から決めていたことである。

私の誕生日になっても得に何も変わりはなかった。普通にテストがあったし、クラスメイトは皆普通の服を着てたし、ご飯も特別そんなにおいしくないし、なんならその日は筑前煮を自炊した。

私は、生まれて初めて誕生日当日にヒトの直の肉声で、「お誕生日おめでとう」を言ってもらえなかった。誰からも。誰一人として、その日に私が誕生したことを知らずに、みんな普通の日を過ごしていた。

6月になると、演劇サークルに本入会し、本格的な稽古が始まった。
18人中初心者は私を入れて3人。
演劇界隈は案外経験者で出来上がっていることに驚いた。

それから9月に公演があるまで、毎日毎日朝から晩まで稽古をしていた。
私の19歳の夏の思い出は、壁も天井もすべてが白い演劇練習室に、毎日同じ顔触れの同期という、今思い出せばそれも青春だと思えるようなものだった。

人生初舞台は大成功して、私は演劇の公演をすることの大変さを知った。それと同時に、自分は人と四六時中一緒にいることができないことを知った。

そんな演劇まみれの夏休みだったかといえば、そうでもなくて、一つだけ淡い思い出がある。

大学で一目ぼれした彼と一緒に「天気の子」を見に行ったのだ。
もちろん誘ったのは私から。その日は夕方の映画に合わせて直前に美容院にも行く気合の入りぶりだった。

彼と映画を見るにあたり、バイトの先輩にどんな服で行けばいいのかとか、何を持っていけばいいのかとか質問をいっぱいした。
結局お気に入りのワンピースで彼と映画に行った。

映画が終わって夜8時ごろ。彼はあっさりと帰ると言い始めたのだった。私は、まだ彼といたかったけれど、その日はあっけなく解散だった。その時からすでに私は気づいていたのに、気づかないふりをしていたのだ。

あ、そういえばもう一つ。
映画サークルで知り合った男友達が、夜中に急にラインをくれて、二人で夏祭りに行くことになった。
私は彼は仲のいい友達だと思っていたけれど、彼はそうではなかった。

彼は、私の後を追うようにして私が所属した演劇サークルに入会した。

でも、夏祭りの一件以来、私は彼と気まずくなってしまって、ろくに会話もできなかった。

大学で一目れした彼と私のことを追いかける彼。

私はいつも間違える。そして何年たってもずっと後悔し続ける。

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