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mofi 質問箱 | 駆け出し俳優のキャリア戦略

読者の方ともっとやりとりするようなコミュニケーションをしよう! という狙いのもと、私たちのメルマガをnote にも展開するようになりはや数ヶ月。久しぶりに、読者の方からご質問をいただきました!

早速みていきましょう。

「私でも入れるような海外、国内の映画祭でこれは行っておいて!というオススメの映画祭ありますか? ヨーロッパから北米、アジアたくさんの映画祭があってどれがいいのかまったくわからず・・ 監督や映画関係者と話したり繋がりたいなと思いまして! お忙しいとは思いますが教えていただけると嬉しいです(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)」

今回は、駆け出しの女優の卵である質問者の方から、おすすめの映画祭についてのご質問です。ありがとうございます。

おすすめの映画祭は? ということですが、質問者の方の現在のキャリアの段階から類推して、より重要なのは「監督や映画関係者と話したり繋がりたい」という点だと感じ、俳優としてキャリアの初期の段階でネットワーキングをどのようにするのが有効か、というポイントに絞って話をさせていただきます。

結論から言ってしまうと、映画祭で仕事につながるネットワーキングをするのはあまり効果的とは思いません。私自身、映画祭に多く参加しているわけではありませんが、その数少ない経験の中でも、映画祭という場所は「その映画祭に仕事で向かう用事がある」「出品している映画作品の関係者である」という状況でない限り、どうしても「アウェー」な場所です。

巨大なパーティに、招待されていない客が飛び入り参加するようなもので、そこを出発点にいろんな人と有効なコネクションをつくるのは、個人的には至難の業だと思います。

仮に、私が仕事で向かったどこかしらの映画祭のパーティで、駆け出しの俳優の方に声をかけられたとしても「はぁ、そうですか」と思うにとどまり、次につながるネットワークをつくることは難しいでしょう。

では逆に、まだ駆け出しで、作品にもあまり数多く出ていない俳優の方が、どのようにネットワークを拡大するとが有効か?月並みですが、身近なところから拡げる地道な方法と、いまの文明の利器を活かした方法を組み合わせることが大事だと考えます。

身近なところ、たとえば演技学校に通っていればそのクラスメイト・先輩・後輩・先生といったつながりから、映画関係者とのご飯や飲み会に少しずつ参加したり、というのが前者の方法。あるいは、この人と働きたい!と強く思われる監督がいれば、その人の事務所になんとかメールやSNSで連絡つけてみるなど、より今風のアプローチが考えられます。

もちろん、ひたすらネットワーキングをすれば良いわけでもなく、俳優である以上、芸を磨き続けることは努力もまた、車の両輪のように必要でしょう。釈迦に説法ですが。

演技をしっかり身につけたうえで、できるだけ多くの作品に出て、できるだけ多くの人の目に触れるように工夫して「この◯◯さんって人、いいなぁ」と関係者に思ってもらえれば、向こうから連絡してきます。

いつの時代も、俳優にとってのいちばんのハードルは「見出される」「発掘される」というところにあるので、そこをどう賢く乗り越えていくか、考えながらひたすらやってみるしかないですよね。とはいえ、いまはインターネットで自分の情報を発信することは前より遥かに簡単になっているので、これを活用するっきゃないです。

自分のウェブサイトをつくり、演技のサンプルを動画にまとめてアップロードしてみんなに見てもらう、など、営業ツールを揃えることも大事だと思います。SNS全盛の中にあって、インフルエンサーのような存在感をつけることができれば、仕事にも繋がりやすくなるでしょう。そういう意味で、このインターネット上での存在感づくりは戦略的には有効でしょう。

こういう努力の方法はいろいろと紹介しておりますが、それでも報われるかどうかがわからないのが、俳優という職業のつらいところです。全く売れないまま終わることもあれば、ふとしたきっかけで突然、一気にブレイクすることもある世界なので、地道に表現力を磨きながら、打てる手をとにかく打つ試行錯誤を繰り返すことが大事なんじゃないか、と思ってます。

まとめると、

・映画祭でのネットワーキングには限界があるので、身近なところから。
・SNSを活用して人に見られる機会を増やす。
・常に芸を磨く。

ってとこに落ち着くと思います。

偉そうに書いてしまって恐縮ですが、もし自分自身がいま俳優になりたくて活動するなら、という視点で書いていますので、何かしらのご参考になれば幸いです。

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mofi では引き続き、読者のみなさんからのご質問を随時受付中です! メール contact@mofi.jp 、またはツイッター @mofi_jp からご連絡お待ちしています。

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著者三谷匠衡 / 初出:2018/07/23  第214号
有料メールマガジン「Ministry of Film - ゼロからのスタジオシステム」より


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