見出し画像

携帯を忘れていって久しぶりに本を読んだ

参った。久しぶりにスマホを家に忘れていった。駅に着いてから気がついた。もう取りに戻れないから諦めた。特別な連絡がない事を祈りながら電車に乗った。

いつものように腰掛けて、さあnoteを書こうと思ってスマホを忘れてきたことを思い出した。仕方ないな、じゃあ来週から移動する新しい職場までの電車の時間を確認しておこうと思ってスマホを忘れたことを思い出した。

あー、もう!

時計もない。感覚で動くしかないから、遅刻すまいと思って早足で歩いた。いつもよりだいぶ早く着いた。早く着いたからメールチェックでもするか、と思ってまたスマホを忘れてきたことを思い出す。


どれだけスマホに頼った生活をしてるんだ。思えば、電話帳も何もかもスマホの中だから、何かあっても誰にも連絡が取れない。明日が今の職場は最後だから、みんながLINEを交換しようよと言ってくれるのにスマホがない。

何もかもお手上げ。

それでも帰る頃にはスマホがない事にそれほど違和感を感じ無くなっていた。本を一冊、いつもカバンの中に入れてある。いつか読もうと思ってるんだけど、スマホがあるとついつい、LINEを見たりTwitterを開いたりしてしまうから、なかなか読めない。

やっと日の目を見た本は、「源氏物語」の特集をしていたので買ったのだった。源氏物語といってもわたしは「あさきゆめみし」で源氏物語を読んだ「つもり」になっているクチなのだけど。漫画だけど、源氏物語の世界を堪能した。

帰りの電車の中でパラパラとめくったほんの途中でなんとはなしに読み始めたページは、「あさきゆめみし」を夢中になって読んだ中学時代に引きずり込んで、気がついたら最寄りの駅だった。昔はこんな風に、読み出したら夢中になって本を読んだっけな。

久しぶりに「本」を読んだ。読みたい本がいっぱいあって、どんどん積ん読になっているけと、やっぱり本を読むのは楽しい。紙の本は独特の匂いがする。その匂いはいろんな記憶も一緒に連れ戻す。

源氏物語の世界でひとしきり漂って現実に戻ってきたあとは、駅の階段を上る所作もなんとなく雅やかになっている気がする。少し目を伏せがちにしてから顔を上げる。疲れて重い体は十二単の重い裾を引いているからのような気がする。

今まで自分が漂ってきた世界観にすぐ入れるから我ながら単純だと思いながら、いつもの世界に戻るために自転車をこぐ。坂道を下りて家に着く頃には21世紀の仕事帰りの主婦に戻っている。

さあ、宮廷に仕える女房から、晩ご飯を待っているサラリーマン家庭の女房へ。

おつかれさまでした。

よろしけれはサポートお願いします。頂いたもので時間を買います。そしてまた書きます。