106万円の壁について
選挙後の年収の壁関連のニュースが盛んですね。
先週だけで複数件お問合せや話題に上がっていましたので、特に社会保険分野である106万円の壁についてご説明しておきたいと思います。
今までも年収の壁については何度かブログで説明していますのでよかったらこちらもご覧ください。
扶養の定義
年収の壁支援の誤解例
扶養内には税法によるものと社会保険によるものがあります。
それぞれご説明します。
まず税法では103万円、150万円、201万円の壁があります。
正社員の旦那さんとパートの奥さんのケースで説明します。(逆も同様)
まず103万円を超えると奥さんのパート給与に所得税がかかってきます。
ですが旦那さんには配偶者特別控除枠(税金の免除枠)が満額残りますので実は世帯の手取りには大きな影響はありません。
150万円を超えると旦那さんの配偶者特別控除枠が徐々に減少し、201万円で0になります。
そして、社会保険では106万円の壁と130万円の壁があります。130万円の壁については現在緩和措置が取られています。詳細はこちらをご確認ください。
さて、106万円の壁について。
今現在106万円の壁が存在するのは
『51名以上の会社で勤務をしている時給1,100円未満のパートさん』
だけです。どういうことか解説します。
2024年10月1日以降現在、社会保険に入らなければいけない方の要件が対象者50名以下の会社と51名以上の会社で異なっています。
50名以下の会社では、週30時間未満(厳密には違うケースもあります)で勤務しているパートさんは社保加入要件を満たしません。
ですので106万円の壁は関係ありません。
51名以上の会社では、社会保険加入の要件が下記に当てはまる人になっています。
①週の所定労働時間が20時間以上
②月額賃金8.8万円以上
③2か月を超える雇用
④学生でない
この、②の要件について8.8万円×12か月=105.6万円
ここから106万円の壁、という話が出ています。
ちなみに東京都の最低賃金は2024年11月現在1,163円です。
週の所定労働時間が20時間×4週では93,040円となり、すでに②の基準を超えています。
他県ではまだ基準に満たないところも多いですが、最低賃金はどんどん上げていきたいようですので基準を超えるのも時間の問題です。
最低賃金で働いて超えてしまうような②の要件なんていらないよね?ということで議論になっているわけですので、正直あまり大きなインパクトではないと思うのですが・・・
「106万円の壁、撤廃!」なんて言われると大きなことが起こりそうですが、実際は有形無実化しているんだったらいらないよね、というだけのお話です。
扶養内で働きたい!と言われたんだけど・・とご相談が良くありますが、扶養内とは何を指すのか、ご自身もよくわかっていないケースもありますので丁寧な確認が必要ですね。
個人的な意見としては夫婦で一組として考える時代ははるか昔のこと。
共働きが専業主婦世帯を追い抜いて30年経っているのだから、夫婦間において「扶養」という概念はもういらないんじゃないかと。
その分子育て・介護などその時々に必要な支援を行い、潜在的な労働力を存分に発揮してもらう方が事業の健全な発達に資する、のではないかと思っています。