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新しい時代を自分らしく生きる

私は中学生の頃制服を着るのが嫌で、なぜ皆同じ格好をしなければいけないのかと感じていました。だから高校は私服を選んだのです。その頃のモヤモヤとした違和感をずっと抱えたまま大人になりました。当たり前のように同調する世の中、それに対する反発の感情がこれまでの原動力になってきたように思います。

「リクルートスーツなんて全裸より恥ずかしい。」と言った、とある著名な方の言葉は強烈に印象に残っています。実際スーツを着て就活してきた人達や、今スーツを着て働いている人達にとっては反感を買う言葉だとは重々承知ですが、私のような人間にとっては、これまで自分の中だけでもやもやしていたものを、社会的に影響力のある人がここまで痛快に言ってくれるなんてと、とても清々しかったし、自分が長い間感じていた疑問が社会全体の疑問になったと実感した瞬間でもありました。

高校の時周りは全員大学進学をし、専門学校に進んだのは私を含めて二人だけでした。都立の中では進学校でしたが、今でも忘れられない友人の言葉があります。将来どうしたいのか、とある男子に聞いたら『大学行ってとりあえず公務員になって結婚する』と。とりあえず公務員ってなんだろう?自分の意思はどこにあるんだろう?彼の前に敷かれたレールが目に見えた気がしました。でもその社会的なレールはもう崩れて初めています。

今30歳を過ぎて、あの頃の違和感が社会的に疑問視される時代になってきたと感じ始めています。日本を離れて外国で暮らしてみてやっと、自分の生まれ育った国を客観視できるようになったというのも大きいかもしれません。後世に残し伝えていくべき誇れる文化と、変わるべき部分、その両方が見えてきました。

戦後復興、高度経済成長の時代にフィットしたこれまでの公教育は、社会や組織で生産性を上げる為、使いやすい人材を育てるのに適したものだったとよく言われます。だけれども豊かになりすぎた国のこれからには、同じ能力を鍛えられた粒ぞろいの人間よりも、コンピューターには代替できない創造性のある人材が必要だとなった訳です。現にここ最近の広告は、そんなご時世を背景にし、個人をフォーカスしたキャッチコピーが溢れるようになってきました。

あるいは組織の中でも、マーケティングベースの数字では測れない、これまでには求められなかった判断軸が必要になってきています。そういった能力は右脳を使いますが、残念な事に日本の教育ではその右脳が育つ環境が豊かではありません。それは家庭での教育や義務教育、そして社会的な考え方のそのものがです。それに気がついたのは大人になってからでした。

そういう時代を生きて大人になった私たち。

じゃあ自分がやっているジュエリーというフィルターを通して、今からできることってなんだろうと模索する日々が始まりました。そして2018年からセミオーダーを本格的に初めて、直接お客様と話したり完成後に感想をいただいたりする中で見えてきた答えがありました。それはお客様が楽しくジュエリーを選ぶこと、自分らしくアレンジしてオーダーする事、それ自体が美意識を向上させているに違いないと思えた事です。

オーダーのジュエリーは、出来上がるまでの大切なプロセスの一部をお客様と共有するという事。それは束の間ではありますが、美しいものに囲まれて、好きな宝石を選んで、自分の意思でデザインを決めていくという、フィジカルにクリエイティブな経験です。オンラインでポチッと買い物する利便さには決してない、個人の美意識をアップデートさせるような感覚。そうして出来上がったジュエリーはただ買うよりも何倍にも嬉しいし、物を大切に作る事の良さを実感出来ます。

また、一点しかないもの、創り手の意思が感じられるものを選んで身につけるというのも、人とは違う自己表現の一つです。その買い物の選択は単におしゃれの為だけではなく、繰り返していけば、自分の考えや価値観の軸をしっかりと持ってアウトプット出来る力に繋がっていく。

もし誰かに、あなたのブランドの核となるフィロソフィーは何かと聞かれた時、私は「石を透して世界を見る」と答えます。私にとってのミッションは、単に商品として売るジュエリーではなく、自分のフィールドから今後の消費の意識を変え ”売り手とお客様” という枠を超えて共に成長する事です。石の仕入れを通して世界の様々な事情を知り、また石やジュエリーの販売を通して社会に対して自分ができることをやろう、そういった意味合いです。

今、世の中の変化のスピードはものすごく早い。テクノロジーの進化によって変わる未来を予測するのも難しいのです。極論を言えばですが、”出る杭は打たれる”時代が終わり、”出られない杭は仕事がない”  という時代がもうそこまで来ている。

私も憧れるような素敵なジュエラーが世の中には沢山いて、それぞれの尊重すべきパッションがある中で、私はモノよりもそういった意識が他の人とは少し違うのだと思っています。そしてそれを内に留めず自分の言葉で発信していく。

ただデザインや選ぶ石を褒めてもらえるジュエリーブランドに私はなりたいのか?という疑念が頭をもたげ始めた時、心の中に出てきた答えはそれでした。

この考えを友人に相談した時、「それってお客様を狭める事になるんじゃないの」と言われました。その通りかもしれません。今ここに書いている事は、”万人ウケ” するために、あたりさわりなく角を落として書いているものではないので、ちょっと挑発的ですらある。ジュエリーを売る立場としてここまで言うのはリスクなんじゃないの?というのが、一般的な価値観かもしれません。

でも、むやみに売り上げを上げる事より、小規模でも本質を解って共感してくれる人を増やしていく事、その方がずっと価値があると思ったのです。実際インスタからこのブランドを知ってくださった方が展示会に来てくださり、その後にnote を読んで「なぜ萌弥さんのジュエリーに惹かれたのかわかった気がします」と言ってくださった事があります。とても嬉しかった。

日常生活の中だけではまだ実感が湧かないかもしれませんが、価値観そのものも大きく変わろうとしています。それぞれの世代が感じている事も全く違う。そうやって周りが目まぐるしく変化する時でも ”自分らしく生きる人” はブレない。これがこれからの時代の幸福のキーなのではないでしょうか。

今30代でも40代でも50代でも、自分の人生をデザインできる人が幸せなのだと思っています。”自分らしさ” を探すのが難しいという人もいるでしょう。でも自分の得意なこと、好きなことを知っている人と、そうでない人のストレス値や幸福度はかなり違うのではないでしょうか。日本では自分の仕事にやりがいを感じている人はたった10%しかいないという調査結果があります。それじゃあいつまで経っても日本はどんよりしたままですよね。

自分らしさ、自分の幸せは何か、自分が心地良いのはどんな時か。例えば今自分の置かれている状況がストレスフルだったとしても、そういった”自分の幸せの基準” が解っている人は、先を見据えてその状況を前向きに乗り越えられるかも知れません。あるいは逆に今やっている事は自分の幸せには繋がらない、と見切りをつける事も出来る。”人(組織)に合わせる”のと”思いやり” は違います。

仕事となればそんな一筋縄ではいかない、それは当然です。それでも能動的に生きている人と、受動的に生きている人とでは、やりがいや達成感を含めての幸せの感度は違う気がしています。フランスで暮らしている日本人の友人が以前こんな事を言っていました。フランスでは掃除のおじさんも自分の仕事に誇りをもってニコニコと仕事している人が多い。でも日本でそれはあまり見られないと。

いきなりそんな風に考えても難しいですが、自分の人生をデザインできる創造力は宝石やジュエリーを通しても育む事ができると思うのです。大きな人生改革ではなくても小さな事から変えていける。そして未来の為に大量生産の弊害に目を向け、生産や流通の本質を理解し、”買うモノ”や”買い方”を選択するという意識をシェアしていく事が大切だと考えています。

自分が創り出すこのブランドの世界観というのは、単にデザインや石の魅力だけではなく、社会との繋がりや問題意識をジュエリーに落し込み、自分なりに提示していく事です。皆さんがまず商品の魅力に惹かれてくださるのは、デザイナーとして、バイヤーとしてこの上なく嬉しい事です。そして今シーズンはそれ以上の何かをジュエリーと共にお伝えできればと思っています。

これまでの自分を大切に、そしてその中にも小さな変化を起こしてみませんか?MOEMI SUGIMURA はそんな今の時代を生きる皆さんにそっと寄り添うジュエリーでありたいと考えています。


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【2019年 春の受注販売会】
▶︎2019年 3月19日(火)〜25日(月) 12:00~20:00 ( 最終日 15:30 close )
ART IN GALLERY東京都渋谷区神宮前4丁目25-3
MAP  http://art-in-gallery.la.coocan.jp/access/

上記の時間はどなたでもご来場いただけます。
ぜひお誘いお誘い合わせの上、綺麗な石達を愛でにいらしてください。

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