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趣味はリストと予定を立てること

最近、宮下奈都さんのエッセイ集「はじめからその話をすればよかった」を読んでいる。宮下さんといえば第13回本屋大賞を受賞した「羊と鋼の森」が有名だが、私は北海道のトムラウシで一年間暮らした記録が綴られたエッセイ本「神さまたちの遊ぶ庭」に完全に心を掴まれてしまった。

「はじめからその話をすればよかった」の中に「太陽のパスタと、豆のスープと、それから」という章がある。

予定を立てるのが好きだ。無性に好きだ。ひまさえあれば予定を立てている。というのはちょっと嘘で、ひまの半分くらいを使って予定を立てている。

エッセイを書く作者の気持ちに深く共感したことが正直今まであまりなかったのだが、この章に関しては冒頭部分から共感してしまった。私は予定を立てることがすごく好きで、手帳にみっちり予定を書くタイプである。「管理するための手帳」というよりは「書いて見て楽しむ手帳」を作成することに日々勤しんでいる。
話はこう続く。

リストも、似ている。作るのが好きだった。 ToDoリストはもちろん、読みたい本のリスト、会いたい人のリスト、好きな歌のリスト、行ってみたい場所のリスト、ひとりで様々なリストをつくって楽しんだ。

リストに関してもひまさえあれば書いてある。ある時は手帳にリストアップをし、またある時はスマートフォンのメモ帳にリスト化し、はたまた別の時は適当に取り出した付箋になぐり書きしたりする。もっともリスト化したものが守られるとは限らない。

守ることを科しているわけではない楽しみの予定表やリストに意味があるのか?という風に思われるかもしれないけれど、これが意外に書くことによって脳にインプットされるのか、書いたことが実現されていたりする。宮下さんもこのように書いている。

リストに挙げた望みはけっこう叶っていたりする。会いたい人には会えているし、行きたい場所には行けている。
- - - - 中略 - - - -
忘れた頃にいくつか、いつのまにか叶っているのだ。

多分自分がよくリストや計画を書く人でなければ「そんなの嘘だろ」と思ったはずだ。ただこのような経験を自分も割としているので「わかるわかる」と思った。むしろ自分以外にも同じ経験をしている人を見つけてちょっと嬉しくなってしまった。

リストも予定も、立てることを自分に強いたら、効用があったとしてもその過程が辛いんだろうなあと思う。ただ私はそれが好きだったので、無理せず恩恵を受けられているんだと思う。

今まで考えたこともなかったけど、このエッセイを読んで趣味を聞かれたらこれからは
「趣味はリストと予定を立てることです」
と答えようと思った。

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なお私の心を完全に掴んで離さないエッセイ、「神さまたちの遊ぶ庭」についてはまた今度の機会に。

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