プロジェクト・カレー
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お金がないけど本格的な自炊は面倒だし、まずいものは食べたくない。かと言って栄養バランスが偏るのもなぁ……という人はカレーを食えばいいじゃない、という話をしようと思う。
そういえばイチローも昔、ひたすらカレーを食べてる時期があった。超一流のアスリートがカレーばっかり食べて結果を出してたのだから、それで悪いということはないだろうし、ジョブズ的な見地からは「意思決定の回数を減らす」というよさも認められるだろう。
そんなわけで、カレーである。細かく計算はしないが、少なくとも一日一食、作り置きのカレーを食べれば外食やコンビニ飯よりは確実に安い。
また、人間は一日三十品目の食材を摂ることが推奨されるが、後述のように雑穀米と組み合わせることで、カレーだけで十五品目を達成できる。すごい。
おまけに、日中にカレーを食べることは、スパイスが交感神経を刺激する効果を見込めるから、毎日身体のリズムを調整しなければならない人間にとってはとてもいい。
夕方以降のカフェイン断ちとあわせれば、安眠効果もある。カレーを食わない理由がないのである。
さて、実際にカレーを作る際に注意すべきことは、「凝らない」ことである。あなたはこれから、毎週末(あるいは休みごと)にカレーを作ることになる。変に凝ってお金をかけたり、時間をかけたりする必要はない。「普通にうまい」でいいのだ。
くれぐれも、スパイスの調合から始めたりしないで、市販のルーを使って作って欲しい。
たとえばこんなカレー、という例をあげよう。
まず、玉ねぎと人参をみじん切りにして炒める。適当な安い豚肉やきのこ類、その他の野菜なども、細切れにしてそこに加える。火が通ったら、これまたカット済みのトマト缶をぶちまけ、水も入れる。
これだと酸味が強いので、チャツネくらい入れてもよい。あとは出汁類もお好みで。
あくを取って火を止めたらルーを入れ、少し煮込んで終わり。
そう、このくらいでいいのである。
カレーを食べるにはコメも必要だ。これも、まとめて炊いて、ラップで小分けにして冷凍しておくのがいい。
実は上記のカレーのところでもジャガイモを抜いたが、コメを食べ過ぎないように小分けにするのは割と有効である。更に、雑穀米を採用することで、品目数を増やしつつカロリーも減らせるが、少しお金はかかる。
この辺りは各自調整してみて欲しい。
ともあれ、こうやって冷蔵庫に十分な量のカレーが備蓄されたとしよう。朝食べてもいいし、昼に食べてもいい(夜はできれば他のものがいい)。
僕の場合は、会社にカレーとコメを備蓄してあるので昼に食べる。そして、だいたい週末に翌週の分を仕込んでおく。
大事なのは、生活の中で無理なくこれが行えるように「生活習慣化」することである。いい加減なわれわれでも、週に一度の所定の作業を行うことで、翌週の食生活を自堕落から救うことができるという、これはそういうプロジェクトなのだ。
洗い物も最低限しか出ないから、シンクにサイズも形もバラバラな食器が溜まることもない。
一食あたりかかった費用、摂取した品目数、所要時間などを計算したい人はしてもいい。
ただ、そういうことをしなくても露骨に体感できると思うので、あまり深く考えずにまずは1セット(1週間)やってみてもいいのではないかと考える次第である。
(これより下に文章はありません)
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