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骨折の記

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右上腕骨嵌入骨折顛末記。
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骨折の記⑥

骨折の記⑥

 039

 今回でようやくこのマガジンを終えることができる。まだ通院はあと一回残っているのだが、固定は外れ、痛み止めの処方もなくなり、段階はリハビリへと移った。

 今週の診療でもレントゲンを撮ったのだが、整形外科医氏曰く、「実に理想的な状態」で「大変嬉しい」とのことであった。
 患者ひとりひとりに感情移入するのは大変なのではないかと少し思ったが、回復を喜んでもらえるのがありがたいことであること

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骨折の記⑤

骨折の記⑤

 033

 本当は今回でこのマガジンは終わりになる予定であった。
 なぜならば、前回の記事のあとの診察で「経過は良好」と言われていたからである。

 それで少々気をよくした僕は、毎日カルシウムタブレットを舐め、良質なタンパク質を摂ることを心がけ、「早く回復するぞ」と思って「やっていき」をやっていた。
 しかし、である。

 「平林さん……どうやら、ここにもう一箇所ヒビが入っていますね」
 申し訳

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骨折の記④

骨折の記④

 028

 「平林さん、素晴らしいです。これなら手術は必要ありません!」
 画面に映し出されたレントゲン写真を見ながら、整形外科医氏はいささか大げさかつ丁寧にそう言った。
 彼はたぶんそういう患者対応を基本姿勢とする医師なのだと思うのだけれど、言われた通りきちんと固定して(不自由な)週末を過ごしたので、褒められると「引き続きやっていくぞ」という気になるのも正直なところである。

 いったい、医師

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骨折の記③

骨折の記③

 026

 以前の記事に書いたが、僕は鬱のどん底の時期に歯をかなりぼろぼろにしてしまった。
 どのくらいぼろぼろかというと、歯科助手さんに「平林さん、こことここの歯が壊れてるんですよ」と言われる程度にはぼろぼろである。「歯が壊れている」、なかなか素敵な表現で僕は好きだ。
 ゆえに、歯医者には毎週通院はしているが、この時期は花粉のせいで副鼻腔炎にもなりやすいし、とにかくあちこち痛いわけである。

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骨折の記②

骨折の記②

 025

 「平林さん、あなたは本当に我慢強いかたなんですねぇ」
 レントゲン写真を眺めながら、整形外科医氏は言った。
 「残念ながら、骨折しています」
 診断結果は、上腕骨嵌入骨折で、全治4週間とのことであった。

 さて、時間は前回の続き、帰宅後に遡る。
 帰宅した僕は、打撲の際の応急処置であるICEを行った。
 簡単に言うと、氷水や保冷剤等で冷やす、包帯などで適度な圧迫を加える、患部を心臓

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骨折の記①

骨折の記①

 024

 2019年3月1日夜、僕は自転車で転倒して右肩(正確には上腕骨だが、ほぼ肩だ)を骨折した。自損事故である。

 その日は急いでいた。僕が自宅から会社(志学社)に通勤する途中には外環道があり、開通したとはいえあちこちでまだ工事をやっている。
 転倒したのも、そういった毎週のように様子が変わる道路であった。自転車のライトは自動点灯だが、鬱病になってから注意欠陥がひどくなっている自覚もあっ

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