見出し画像

私はきっと社会不適合者かもしれない。でも、もしかしたら合う・合わないの問題だったのかもしれない。


 
 自分はきっと社会不適合者なんだろうな、と悩んだ。それは昨年のある出来事がキッカケだった。




 この出来事については、あまり話さないようにしてたけどここでは思い切ってさらけ出すことにした。



 去年、私はずっと憧れだった場所で働けた。そこは最後にアパレルをやるなら絶対ここでやりたい!と思った場所であり、そして生まれて初めて自分がこの場所に勤めたいと思ったところだった。



 そんなある日、いつも通り昨日の反省を生かして今日も頑張ろう!と意気込んで出勤したら「もえちゃんこの後、〇〇さんと話し合いがあるからよろしくね。」と店長に伝えられた。その表情は妙に怖かった。



 店長ではなくさらに上の人(ここではわかりやすくマネージャーとする)との話し合いがあるということで、普通ではありえないことだったので「なんでだろ?」と疑問に持ちながらその時間が来るのを緊張をしながら待った。話し合いの時間まで自分の頭の中では、何で話し合いがあるのかの理由をいろいろと考えていた。



 新しいところに入ったら研修というのはどの世界でもあるもので、その時の私は新人であり研修期間中だった。そこでの研修は3ヶ月経ったら自動的に終わり、独り立ちできるというものではなくて、店長の目によってこの子はもう1人で大丈夫だろうと評価と判断がされたら研修が終わりそのお店で「1人の人」とカウントになるのだった。



 そんな憧れの場所で働けて私はいろいろな葛藤をした。あらゆる努力もした。自分の未熟さと出来なさが悔しくて勤務中も帰り道もたくさん泣いた。自分の中では今までで一番厳しい環境であって、どんな時よりも本気で頑張っていた。


 だけど、なかなか終わらない研修期間。いつ終わるのだろうか?このままずっと「1人」とカウントされない新人のままなのかな?でも、いつまで新人としていられるのだろう?ずっと研修でいられるのかな?などと入社して2ヶ月過ぎが経ったくらいから頭の中でぐるぐる考えることが多くなった。



 その頭の中では片隅のどこかにもしかしたらやっと研修の終わりを認めてもらえたのかな!?そんな淡い期待も抱いたりしてた。でも頭の片隅にあったのは「研修が終わらなかったら私はどうなるのだろう…?」という不安と恐怖だった。



 生きているとやっぱり悪い予感でいうのは当たるもんで、薄々勘付いてた出来事が起きた。マネージャーがあらわれ別室で2人だけでの話し合いがスタートした。切り詰めた空気の中、伝えられたのは「研修が終わってないため本採用にはならない。」ということだった。生まれて初めて憧れの場所で本気で頑張った。そして生まれて初めて私は突然の戦力外通告を受けた。世の中で言えば〝クビ〟ということだ。



 そこで働いた時に言われた言葉は「自発性がない。」「社会人としてどうなの?」「社会の経験が乏しいんだね」「努力してる?」「思ってるだけで実際動けなきゃ意味ないよ?」「いつも大丈夫っていうけど、本当に質問内の?頭でちゃんと考えている?」という言葉だった。(もちろん相手に悪気もないし、まったく嫌味で言っているわけではないので誤解しないでほしい。)



 自己啓発本も大好きだしビジネス本もよく読む。これらの言葉はよくその本たちに書いてある「仕事が出来ない人の特徴」に見事に当てはまる。むしろ、それらの本に書かれているのは自分自身であるように感じた。それにどこにいても長く働き続けることが出来ないし、すぐに他の場所で働いてしまうし、そもそも会社に務めるというのが本当に出来ない人間だった。



 だからこそ私は確信した。

自分は〝社会不適合者〟なんだ、と。



 そう思うよになってから約2か月間、いろんな仕事を探して面接を受けては採用をもらっても断るという選択を繰り返してた。どこかの企業に勤めることが怖くなってしまった。きっと心のどこかで、自分はどこの会社でも仕事が出来ない人間になるんだろうな、と怖気ついてしまったからだ。



 もともと就職活動をしていなかったからなので、一般社会というものを知らないし、社会人としての経験は周りに比べればかなり少ないし、社会人としてのマナーやルールも実際に社会に出ている人に比べるときっと知らないし分からないほうだ。もちろんそれらすべては自業自得だし、覚悟の上だ。だからこそ社会で戦っている人からすると「なめんなよ」と反感を買うことも時々あるのだと、今は思う。




  そう過ごしているうちに縁があり、とある場所で働かせてもらえることになり、いままでとはまったく違う職種に就いた。新しい場所で20代は私ひとりしかおらず、まわりはみんな年上。もちろん周りは社会の先輩しかいない。だからこそ、この前の教訓を生かしてもっと努力しなきゃ!自発性を持って行動しなきゃ!自分の頭で考えなきゃ!と覚悟を決めていた。



 かといてはじめての場所は知らないことだらけだし、出来ないことだらけ。きっと本来なら下っ端であり新人の私がするべきことも「いいよいいよ、大丈夫だから!」なんてやってくれるし、私が遠慮してしまうくらいたくさんの心配りをしてもらったり気にかけてもらったり、仕事も丁寧にたくさん教えてくれた。




 みんなバリバリ働いている中でやっぱり私は仕事が出来ないから、完全なるお荷物状態だし、ちゃんと力になれているのだろうか?と不安にもなるし、もっと率先して動かなきゃいけないのに動けてないことばかりだし、自分から声かけて仕事しないといけないし、ビジネスマナーや立ち振る舞いもしっかりしないと!と反省を繰り返していたし、心の中がモヤモヤしていた。



 出来ないことが多いのは新人だから当たり前だが、やっぱり自分は社会ではなんも出来ない人間だな、と落ち込んだ。きっと私は社会では使えないものなんだろう、と強く思った。




 そんな中、新しい場所で歓迎会を開いてもらった。その日の帰り道で、私はいつも一緒に仕事してくれる人に自分が想っていることを、打ち明けた。



 「私、本当に仕事出来ないし迷惑かけっぱなしで申し訳ないです…いつもたくさん気遣わせてしまって本当に申し訳なくて…いつも助けてくださってありがとうございます。」



 『何言ってるの!本当に仕事はやくてこっちはすごい助かってるんだよ、逆にいろいろ教えてあげられなくてごめんね』



 「いや、本当に社会人としての経験が少ないんで知らないことばかりだし出来ないことばかりで申し訳ないです…もっと自分から動かなきゃいけないのに…」



 『そんなことないよ!ちゃんと出来ている方だと思うししっかり動いてくれていると思うけどな~』




 返ってきた言葉に一言一句驚いた。前は〝仕事が出来ない人間〟だったのに、ここでは〝仕事が出来る人間〟になっているということに。



 また私を救ってくれた人にもここに勤める前のことを話した。でもその人が言ってくれたのは「すごい頑張ってたんだね。たくさん努力してきたんだね。」という言葉だった。何もできないし、社会人として働けてない自分だったのにこんなにも温かい言葉をもらえたこと、そして努力したことを認めてもらえたことがなによりも嬉しかった。




 今の場所では「もえちゃん本当にまじめだね!努力がすごいね」「覚えるのはやいね~すごいよ!」「仕事はやいね~!」なんて本当に有り難いことにお腹がいっぱいになるほどたくさん褒めてくれる。もしかしたら20代が私しかいないからかもしれないし、お世辞かもしれない。




 でも一緒に働いている人たちのおかげで、「こんな自分でも社会で働けているんだ」「みんなの役に立てているんだ」と、そんな風に思えるようになった。だからこそ、もっと自分で動こう!役に立てるように頑張ろう!いいところ吸収しよう!って思える。そして、私はいまの場所で少しずつ「社会のこと」などいろいろなことを学んでいこうと決めた。




 私はそこで思った。そこの場所やいる人たちによってルールも基準も何もかも大きく変わるし、〝自分に合う・合わない〟というものがある。その合う・合わないというのは、仕事の内容とか人間関係もそうだが、自分の能力や性格、その場のルールや基準も関係している。だからこそ、自分に合わない環境だと仕事が出来ない人間になるが、自分に合う環境なら仕事が出来る人間になると。




 前のお店では、たまたま自分の努力が認められなかった。たまたま社会人としての常識がなかった。もちろん自分の至らない点はたくさんあった。だけど、仕事が出来ない人間というレッテルを自分に貼り付けてしまうのではなくて「その場所が自分にたまたま合わなかっただけ」なんだ、と思った。



 私と同じように「仕事が出来ない人間だ」と悩んでいる人がいたら、もしかしたらそれはたまたま自分に合わない環境にいた可能性もあるかもしれない。



 会社のルールや基準、そしてそこに自分の能力や性格、動き方、立ち振る舞いなどが合う場所が絶対どこかにある。それは会社かもしれないし、会社に属さないことかもしれない。それは実際に足を踏み入れてみないと分からないし、働いてみないとわからない。


 だから仕事を変えるのもぜんぜんありだと思うし働き方を変えるのもありだと思う。だって無理してストレスをためて嫌々働くよりも、楽しく自分から頑張ろう!と思って働いていた方が苦しくないから。




 もしあなたが「社会不適合者かもしれない」と落ち込んだり悩んでいるのなら私はこう言いたい。



 きっとあなたは社会不適合者なんかじゃない。ただ自分に合う場所に出会えていないだけなんだ、って。



  あなたの能力や才能、性格、立ち振る舞い、努力、頑張りは絶対分かってもらえる・認めてくれる場所や人は必ずあるから。

 あなたにとって〝合う〟場所が見つかりますように。


ここから先は

0字

¥ 100

サポートありがとうございます♡励みになります(*^^*) 頂いたサポート代は本の購入に使わせていただき またよりいい文章を書いて還元させていただきます♡