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さびしいの、雨

雨が止まない。
例年通りだと梅雨明けまであと10日ほどある。今日は朝も夜も降り続けている。
外に出ることが億劫だし、家に帰るのも億劫。

少し晴れ間が出たと思ったらまた雨が降る。気圧についていけない頭が鈍く重くなるの。
楽しみにしている「いだてん」は今週とても辛い話が連続で放送された。戦時中の不穏な空気、嘉納治五郎とのお別れ、東京オリンピックの返還、学徒動員。
近い国でも遠い国でも差別やジェノサイドが起こっているって聞いた。私の住む国も次から次へ起こる問題をテレビが喋っている。
クリームを変えたら吹き出物が増えた気がする。とても楽しみにしていたから、まだ吹き出物の原因だって決めつけたくない。


雨が降っていて憂鬱です、と書けば良いところを長々と書くときは寂しい時だって、誰かが何かに書いていたことを思い出す。
私は今、少しだけさびしいみたい。



暖かい麦茶を淹れて夜に似合いそうな香りを見繕った。雷が光ったのが窓に映ってなんだか綺麗。
バニラアイスを買ってきて貰って、コーヒー寒天を大きなバットいっぱいに作った。コーヒー寒天の上にバニラアイスを乗せて、きな粉をかけて食べたいの。母と一緒に仕込んだ梅はそろそろ良い感じになるのかな。
「いだてん」、録画していた今週の最後の話を観た。満州から引き揚げてきた志ん生が高座で「富久」をかける所で終わった。満州で出会った、名前も覚えていない若者はもう帰ってこない。もう走れない彼の教え通りに、浅草から芝まで駆ける「富久」を。


雨がまた強くなっている。


久しぶりに行った図書館で楽しそうな本を何冊か借りてきた。家に眠っていた宇宙の本も少しずつ読み進めている。宇宙の形を想像できるように。
晴れた日の夕方、少しだけ夏の気配がするのが嬉しい。まだ気温が高くないから心地良い風。来る夏に備えてちょっと高い日傘を買った。


雨は全然止まない。入ってきたら困るから窓を閉めよう。


雨の日も悪くないなあ、なんて思う。さびしい私を見つけることができるもの。お日様の下じゃあ、顔を見せたがらないさびしさを。
顔を見せてくれた寂しさを、小さく手招きして甘やかそう。暖かいお茶、甘いお菓子と良い匂い。少し疎遠になっていた人にそっと連絡。


雨音は少しだけ穏やかになった。明日も大雨予報がでているね。どうか災害が起きませんように。

柔らかい雨が私の寂しさをくるんでくれますように。



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