俺は死んでいくのか 健康診断の結果を見て、俺は沈鬱な気分になっていた。生きたくなんかない。そう思うほど辛い日々が続いた。人は裏切るし、社会に居場所はなかった。俺…
____ところでさあ、きみ、なんていうの?○○くんっていうんだ。ふーん。あたし?あたしはアイカ。え、かわいいって。源氏名だよ。嘘。ホントかも。どっちでもいいじゃ…
__2024年7月26日、○○さんのノートはあらかた目を通したが、意味のあるまとまりは全部で3つ、昨日までに発見した2篇と以下に書き記す最後の一篇が最後だった。定かでは…
なあ知ってるか。報酬系が死んでしまった人間は、廃人になるんだぜ。お前が毎日食べたくなるマクドナルドもコーラも寿司も牛ステーキも、何にも要らなくなっちまって、しま…
__2024年7月24日、○○さんのノートには不明瞭な部分が大多数を占めるが、時折明確なテーマを持った文章が現れる。以下にノートからもう一つ物語を示す。カルテにはあま…
__2024年7月22日、○○さんが若い頃に書いたと思われる古びたノートを渡してきた。私は××センターに赴任してきたばかりで彼女のことをあまり知らないので、若い頃の人…
宇都宮ビジネスホテル記2024年1月 私はその日、特に何をする気もなく、年末の気だるい騒がしさの中にいた。今年も紅白も大晦日特番も見ない。だってテレビがまず、ないん…
俺はどこにも行けない。ここが一番まともな選択肢だった。何かが追いかけてくる。俺は何もわからず逃げた。逃げ続けて、逃げ続けて、この古い炭鉱の袋小路まで来たのだ。俺…
精神病院の手記 2024/07/15 俺は一体いつから狂っていたんだろう。今は○×病院の▲病棟に入院している。俺は最初、全能感、いや単に調子が良かったんだ、そういう日がず…
誰かがいればいいのに くだらない、足を引っ張らないやつ 嘘つきなんか全員だ 見抜いてあげる 会話が最低成り立てばいいんだ だからお前がクズでもいい でも間違ったこと…
別にお前に聞いてほしいんじゃなくて 人の心の化石を作ってるだけ ぼくの詩は全部そう お前ってどうせ意味もわからないし ぼくの見てる世界なんか まるで見えていないし …
お前は救わなかった お前は救えなかった 人間の誰一人、僕を知らない 外面以外のすべてを お前は何一つ知らない お前何一つ理解できない 僕はできるだろう お前を理解す…
大丈夫 嘘つきには慣れている 誰も私に正直な人間などいなかった お前は嘘つき でもどうでもいい それが普通だから 普通の中にたまに大嫌いな遺伝子がある ぼくはそれを…
多分卵の殻にはもうヒビがはいった もうすぐ 多分もうすぐ 人の加害がぼくの何かを目覚めさせる 長い長い 繰り返しの加害が もうすぐだろう もうすぐなんでしょう ねえ…
あなたのためにケーキを焼きました あなたのためにプリンを作りました けどフライドポテトはおやすみ 疲れてしまいましたから ケーキの上にはブドウとリンゴのジュレ プ…
冬に死ぬのと春に死ぬのはどちらがいいか 一人で死ぬのと胃ろうで家族と死ぬのはどちらがいいか なあ ぼくは全部悲しみだと思う 悲しみなんてね 全部とは言わないけど ほ…
コーヒーマメ
2024年9月18日 15:31
俺は死んでいくのか健康診断の結果を見て、俺は沈鬱な気分になっていた。生きたくなんかない。そう思うほど辛い日々が続いた。人は裏切るし、社会に居場所はなかった。俺の心は常に引き裂かれるような働きで苦しめられていたし、あるいは自分で自分を引き裂こうとしていたのかもしれない。長い間そうだった。しかし俺は実際、苦しみの結果が体に出始めたのを見て、素直にやっと楽になれる、とは思えなかった。俺は何のため
2024年8月15日 01:33
____ところでさあ、きみ、なんていうの?○○くんっていうんだ。ふーん。あたし?あたしはアイカ。え、かわいいって。源氏名だよ。嘘。ホントかも。どっちでもいいじゃん、そんなこと。 あたし、頭おかしいんだよねえ。そう見えない?じゃあさ○○くんもおかしくなっちゃってんじゃない。ほら、同類みてさ、おかしいって思わないじゃん。やだ、怒らないでよ。冗談だって。 お酒っておいしいよねえ。お酒、ホントは飲め
2024年7月26日 17:30
__2024年7月26日、○○さんのノートはあらかた目を通したが、意味のあるまとまりは全部で3つ、昨日までに発見した2篇と以下に書き記す最後の一篇が最後だった。定かではないが、彼女は恐ろしい幻覚妄想を抱いていた。そして同時に恋もしていたのだろう。物語は寓話的でひどく抽象的だが、おそらく描かれる感情が本質で形はなんでもよかったのであろう。 全体を通して若い頃から連合弛緩が進んでいたと思われ、○○さ
2024年7月24日 18:37
なあ知ってるか。報酬系が死んでしまった人間は、廃人になるんだぜ。お前が毎日食べたくなるマクドナルドもコーラも寿司も牛ステーキも、何にも要らなくなっちまって、しまいには食べることもトイレに行くこともどうでも良くなって、大便小便は垂れ流し、1日天井を見てることすら気づかないまま半目で布団の上で終わりさ。俺はな、いつかそうなるんだよ。お前にはわからねえだろうな。知ってるか?芥川龍之介っていただろ。あいつ
2024年7月24日 15:20
__2024年7月24日、○○さんのノートには不明瞭な部分が大多数を占めるが、時折明確なテーマを持った文章が現れる。以下にノートからもう一つ物語を示す。カルテにはあまり多くの情報はなく、僕にはこれが意味するところがわからないが、解離やある種の性格傾向を描いていることが伺える。精神分析家は喜びそうだが、今の彼女は会話をできる状態ではない。あるところにとても気の弱い、優しい少年がいました。少年は歌
2024年7月22日 17:13
__2024年7月22日、○○さんが若い頃に書いたと思われる古びたノートを渡してきた。私は××センターに赴任してきたばかりで彼女のことをあまり知らないので、若い頃の人格水準に興味を持ち、解読を試みた。以下に読み取れた文章を示す。これは民話の変形かなにかだろうか?○○さんは都会の育ちなはずだが…。あるところに玉のように可愛い子供がいました。その子は恐れることを知らず、悪人と善人を区別することも知
2024年7月19日 21:15
宇都宮ビジネスホテル記2024年1月私はその日、特に何をする気もなく、年末の気だるい騒がしさの中にいた。今年も紅白も大晦日特番も見ない。だってテレビがまず、ないんだもの。情報はどこから手に入れるのって。今はスマホが四六時中ニュースを更新し続けている。だから何にも困らない。だけど、とにかく暇だった。テレビじゃ到底癒せないくらいの退屈だった。飢えにも似ている。午後になるかというくらいに冬の明る
2024年7月19日 20:30
俺はどこにも行けない。ここが一番まともな選択肢だった。何かが追いかけてくる。俺は何もわからず逃げた。逃げ続けて、逃げ続けて、この古い炭鉱の袋小路まで来たのだ。俺の住んでいた地域はかつての炭鉱町で、地下には縦横無尽に坑道が抜けている。俺は入口が中途半端に閉鎖されていた一つの坑道に入り込んでしまったのだ。何が追いかけてくるのだろう。俺にはそれすらわからなかった。もしかすると、俺の中に眠る大昔の遺伝
2024年7月15日 18:47
精神病院の手記2024/07/15俺は一体いつから狂っていたんだろう。今は○×病院の▲病棟に入院している。俺は最初、全能感、いや単に調子が良かったんだ、そういう日がずっと続いて、じきに女にもモテるようになった。みんな奇妙なくらい控えめだが大胆に明らかに俺を誘っていた…それもつかの間だった。俺は一体いつからおかしくなっていたんだろう。○×病院は長期入院患者が大半を占める田舎の精神科病院だ
2023年12月30日 19:14
誰かがいればいいのにくだらない、足を引っ張らないやつ嘘つきなんか全員だ 見抜いてあげる会話が最低成り立てばいいんだだからお前がクズでもいいでも間違ったことはさせないお前は代替可能で、私も代替可能だから約束守るんでしょ誰かと替えられないようになんにも見えないお前達なんにも知らないで傷つけるそんで何故かも知らないで苦しむバカだなぁ そう思って差し伸べた手は振り払われる
2023年12月30日 18:37
別にお前に聞いてほしいんじゃなくて人の心の化石を作ってるだけぼくの詩は全部そうお前ってどうせ意味もわからないしぼくの見てる世界なんかまるで見えていないしお前に期待なんてしないよお前が誰であれ
2023年12月29日 17:46
お前は救わなかったお前は救えなかった人間の誰一人、僕を知らない外面以外のすべてをお前は何一つ知らないお前何一つ理解できない僕はできるだろうお前を理解することでもお前にはできない僕は卵の殻を何度も叩かれた卵が孵化する前に中身をグチャグチャにするためだけにただの楽しみ、金銭のためだけにでも僕は耐え抜いた傷んだ部分は山程、本質を変えるほどに僕は孵る 僕は孵る 僕は孵
2023年12月29日 17:38
大丈夫 嘘つきには慣れている誰も私に正直な人間などいなかったお前は嘘つき でもどうでもいいそれが普通だから普通の中にたまに大嫌いな遺伝子があるぼくはそれをやはり憎むよお前たちも それ以外も全員嘘つき そんなことはわかって君たちと楽しくお話するんだよ嘘つきと話すのはとても楽しいね心の中で軽蔑しながらそう思う
2023年12月29日 17:31
多分卵の殻にはもうヒビがはいったもうすぐ 多分もうすぐ人の加害がぼくの何かを目覚めさせる長い長い 繰り返しの加害がもうすぐだろう もうすぐなんでしょうねえ 答えてぼくはもうすぐ目覚めるでも何として?ぼくは予感するやはり長く生きはしないこの世は、人間の可能性の汚さにはもう飽きたじゃあ、やることをやろうよ恒久平和のために、そう誰かが言ったそうだね 恒久平和のために死のうぼ
2023年12月25日 01:37
あなたのためにケーキを焼きましたあなたのためにプリンを作りましたけどフライドポテトはおやすみ 疲れてしまいましたからケーキの上にはブドウとリンゴのジュレプリンはかぼちゃ入り本当は食べて欲しいけど心の中で捧げましょうハイどうぞ 美味しいといいな
2023年12月23日 18:26
冬に死ぬのと春に死ぬのはどちらがいいか一人で死ぬのと胃ろうで家族と死ぬのはどちらがいいかなあ ぼくは全部悲しみだと思う悲しみなんてね 全部とは言わないけどほとんどはいらないと思う存在は心の中のものだ身体なんか器に過ぎないぼくらは美しい世界に生まれたそして汚されたただそれだけのことだぼくらは踊る 神の子である目の光が踊る 笑顔が踊る人は神のおもちゃでもあるから悪魔の血が