見出し画像

ストレスと独り身とホテル暮らしとーサードシーズン【第4回・埼玉県奥武蔵編】

 池袋は埼玉県民の庭である。2022年7月11日の午前中、私は乗り換え駅であるここに降り立ち、とりあえず……ランチを漁る事にした。

 『西武百貨店池袋本店』の8階にあるレストラン街へ突入。夜の食事量を考慮し、昼は控え目にラーメン1杯とする。
 こちら『九州じゃんがら西武池袋店』。ぼんしゃん(じっくり煮だした濃厚とんこつスープのラーメン)を注文。¥780。
 ほほう~~、確かにこのスープ……激・濃厚。かと言って、とんこつ特有の臭みは抑えられ、実に食べやすい。麺から立ち昇る湯気に鼻を近づけ、香りを嗅ぐ。むッ……かん水の刺激臭がする。麺は3流かな……が、使っている小麦粉は上等のようで、大変味が強い。

 池袋からのんびりと電車に揺られて約70分。埼玉の住宅街から地方の田舎に移り変わり、そして、トンネルを抜けた先には鬱蒼とした緑に囲まれた山々。
 初耳な名前の駅に降りると、ほぼ無人駅に近いような扱いの駅舎。

 駅の改札を出てすぐ目の前は……休憩できない休憩所。一瞬、廃墟かと思ったが、コロナ前からの時短営業らしい。コカ・コーラの看板が年季の深さを表している。

 駅の所々に貼られた注意書き。≪ハイカー VS リアルプーさん≫だったり、≪ハイカー VS ダークネス≫だったり、≪ハイカー VS やさぐれ山≫だったりする。

 駅に送迎のバスが来て乗り込む。最初は私一人だけだったが、少しバス内で待ってると、日帰り入浴目的の大勢の高齢者と、何つながりか不明の観光客グループが乗り込んできて満席。こりゃ第7波も到来するよな……と思った(私もその一部なのだが)。
 送迎バスで約5分ー 到着。

本日の愛人『休暇村 奥武蔵』である💜

 木材をたっぷり設えた良い雰囲気のエントランス。その先には天井が非常に高いフロント。ゆったりとした気分になるオブジェや椅子。

 こじんまりとした土産物コーナー。申し訳ないが、埼玉の名産品……なんか地味。私の食指は全く動かず。
 そして、このホテルの近所には『ムーミンバレーパーク』なるものが在る。詳細は伏せるが(めんどいから)、簡単に説明するとアトラクションを省いたデデニーだ。

 早めのチェックイン。今回はじゃらんの初夏セール利用で夕食・朝食付き¥17575。山中の何も無い地域の宿泊料としては高めの印象。

 この『休暇村 奥武蔵』は本館と新館が一体となっており、当然、新館の方が御高い。私は本館の一番御安いタイプの客室を予約してあり、本日の客室は3階。本館の最上階だが、廊下にずっと手すりが設置されていて老人ホームみたい。

 玄関口から入ってすぐの所、やたらとスリッパが準備された靴入れ。そして、その向かい側に洗面所。さすがに経年劣化の跡がハッキリと見てとれる。

 畳敷きの綺麗な純和室。内装や家具の趣味は悪くない。広縁のスペースも十分広く、過ごしやすい。
 古びた冷蔵庫の上に置かれたサービスの天然水。

 ドンキで御馴染みの尾瀬の天然水だ。

 客室からの眺望。濃い緑が目を癒してくれる。客室に風呂場は付いておらず、「流す」をハンドルで実行するタイプの古いトイレが設置されていた。

 夕食までは時間があるので館内を散策していると、やたらと小さい木の滑り台やら階段のようなオブジェを発見。木の温もりは大好きだが、廊下の傍らに急に現れて動揺する。

 にしかわ館(新館)に続く凝った造りの廊下。御高いエリアは入り口からして雰囲気が瀟洒で良い。

 新館側のエレベーターで屋上に行くと、夜に満天の星空を鑑賞するための設備が。この日の夜は使用されなかったようだが、周囲を見渡す限り、幾つかの民家が点在するだけの陸の孤島といった感じだ。

 宿泊施設はホテルの本館・新館だけでなく、離れに3軒ほどのログハウスまである。

 夕食の時間だ。早く食わせろ。私は一番乗りする意地汚い紳士である。

 う~~む、イイねぇ🤩 実に気持ちの良い内装。旨いディナーが食えそうだ。

 本来、ビュッフェ形式の食事はあまり好きではない。料理を回収して自分の席に戻るを繰り返すのが面倒だし、他の客と列に並んで待つのがどうも生理的に合わない。が、多くの種類の料理を少しずつ食べられる楽しさがあり、おッ、こんなモノまであるのか……という発見もあって面白い。

 和と洋が混ざりまくった食事。それぞれの皿は特別感動するような旨さではないが、特に不満も無く美味しい。食べているうちに分かったが、宿泊客が多い。コロナによる感染者は爆発的に増加しても、重症者が極端に少ないと恐れるに足らず……といった感覚なのだろう(私も含め)。

 く、食い過ぎた……。もう少し鮑の握り寿司を頂きたかったが、さすがに暴食気味になってここまでだ。

 満腹後は客室で少しの間休憩し、大浴場に向かう。ここまで来て初めて気づいたのだが、どうやら温泉ではないようだ。うん、しくじった。

※ホテルHPより写真を引用

 夜7時過ぎ。夕食前に入浴する客が多かったのか、運良く広い内湯と露天風呂を貸し切り。温泉でないのがなんとも残念なのだが、木製の壺湯もあって使い勝手はとても良かった。

 客室から見える夜景。ホテルの近辺には何も無いので、遠くの方にはひたすら闇が広がるのみ。森林に囲まれた静寂は結構好きなので問題無し。
 おやすみ、奥武蔵。

 おはよう、奥武蔵。見事にどんより天気。今はわずかに小雨が降ってるレベルだが、午後から本降りになるらしい(その日、埼玉は記録的大雨に見舞われてヤバかった)。朝食前にまずは恒例の朝風呂だ。今回は……結構な人数が既に入浴中。やはり、高齢者達の朝は早い。

 夕食と同じ会場で朝食を頂く。
 見慣れない一品……『みそポテト』。うおッ、美味しい! 地方の子供が食べていそうなおやつ感覚の味。そして、豚の軟骨料理という珍しいのも。更には一口ちゃんぽんまで……。
 白飯は埼玉のブランド米を使っており、炊き方が良いのか舌触りが抜群。朝からデザートも種類が多く、クオリティの高さに少々驚いた。

 チェックアウトの時間。駅までは送迎バスが出ているので楽。今回の旅、東京都民が森林浴を気軽に楽しみたい時に御薦め。池袋からのアクセスだから帰りに西武百貨店池袋本店にまた寄って、地下の食品売り場で旨そうな御惣菜とスイーツを買って帰る。
 さらばッ、奥武蔵!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?