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9/8 『生き残る作家、生き残れない作家 冲方塾・創作講座』を読んだ

面白かった。

とりあえず今現在の心境として、作家になろう、作家として生きていこうという意思は抱いていると言えるようなレベルでは抱いていない(奥歯に奥歯が挟まったような言い方)ので、その上でこのような作家指南本を買うのはひとえに作家買いでしかなく、例えるなら買ってもないゲームソフトの攻略本だけを買って読み耽るような真似なのだけど、困ったことに昔子どもだった頃の俺はそのような真似をよくやっていたのであった。ゲームソフトどころかハードさえ持ってないのに買ったりしていた。そんでいざそのゲームハードを手に入れたときには、当該ゲームソフトは別に買ったりはしてなかった。何をしていたのやらと今では思うけど、その今だって結局こうして同じことをしている。
ただ予想外なことに、作家として生き残るための本を作家として生き残るためじゃなく読んでいたのに、いくらか今の自分の仕事とか日常のあれこれとかにおいてこれは参考になるかもと思えるような箇所が見られたりもした。今の自分の仕事は、別にそこまでクリエイティビティとかが必要とされるものではないが、それでもだ。何しろ本作の主題が『生き残る』ということに置かれているからだろうか、仕事とか人生とか、何かしら「生き残りたいなあ」と思うものがあるならそれらに転用可能ということなのだろう。
まあここに書いてあることを今すぐ職場に反映させようとしてもたぶん無理だが、そうでなくとも、たとえばこの読書感想記事を書くのにだってきっと参考になることだろう。こんなもんでもしょっちゅう手が止まったり次の言葉が思い浮かばなかったり締めに困ったりしてごろんとなってたら寝ちゃったみたいなことがあるので、そういう時に読み返してみたりなどしてみるといいかもしれない。

作中で養老孟司さんの文章を例文に引いてきたりして、その文章技法を尊敬してやまないというのを読んで、冲方さんがこうも小説という媒体、創作という行為、作家という生業をすさまじく分解して、ひとつひとつ理屈をつけて解明していくのには、養老先生の影響があるのかなと思った。養老先生が人体を解剖するように、冲方先生は書くということを解剖してきたのだろう。

後半の付録にあった例文集や作家生活のスケジュール方法などは、それだけでも読み物としてとても面白かった。こちらはこちらでまた別の本にしてくれないかな。できれば他の作家さんも何人か巻き込んで。とんでもないプライベートの暴露本になってしまうだろうが。

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