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「事業におけるデザインの価値を考えたい」技術者を飛び越え、より良い経営者であるために。ーー技術責任者 溝口さん

現在、スタートアップ企業で技術責任者を務める溝口さん。
1人目のエンジニアとしてゼロからサービス立ち上げを行い、プロダクト開発に向き合う中で「事業におけるデザインの価値」を信じつつ、その一方で、今まで目にしてきた「デザイン」のなかには、見た目を綺麗に整える域を超えていないと感じるものもあったそう。

デザインの価値とは何なのか、どのような意義があるのか。
悶々と考えるだけではなく、自分自身がデザインを学ぶことでそのヒントを得られるはず。

そう信じてMoDの受講を決めた溝口さんに、MoDでの学びや今後の挑戦についてインタビューしました。

溝口 晃 / Ko Mizoguchi
東京大学大学院 情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻卒業後、2015年に新卒で株式会社ディー・エヌ・エーにエンジニアとして入社。担当事業の事業譲渡をきっかけに、2019年にスタートアップのtechners株式会社に転職。1人目のエンジニアとして美容サロン向けSaaSの開発立ち上げを行い、現在も同企業にて技術責任者としてプロダクト開発や経営に従事。MoD一期生。

デザインに対する懐疑心と期待

ーー溝口さんは「事業におけるデザインの価値」を学びたいという動機でMoDの受講を決めていただきましたよね。「価値があるはずだ」という前提に立っているからこそ、この動機が生まれたのではないかと思ったのですが、元々デザインへの興味は強かったのでしょうか?

溝口:そうですね。プロダクトエンジニアとして一気通貫でプロダクトづくりをしてきていますが、チームにデザイナーが不在の状況でモノを作ることも多く、MoDのことを知る前からデザインには興味がありました。我流で試行錯誤する中で、デザインには重要な何かがあるという認識もありました。
デザイナーさんと2人3脚でプロダクトに向き合ってきた経験も少ないので、プロダクトづくりにおけるデザイナーの役割は何なのか、さらには事業におけるデザインの価値がどこにあるのかが曖昧な状態でした。

ブランディングやUXをプロダクトに落とし込むためには、ドメインやユーザーに対する深い理解が必要だと思いますし、情報設計に関してもサービスに対する深い理解や洞察があって初めて質の高いものが出来ると思っています。ですが、それ無しに整理整頓された画面がアウトプットされることも少なくないのかなと感じています。

そういう経験を踏まえて自社でデザイナー採用を始めようと考える過程で、ふと、事業におけるデザインの価値や意義を改めて考えるようになったんです。
答えは出ないながらも、きっと、真にデザインを深めてきた方は自分の持っていないものを多く持っているのだと信じていたので、それなら、自身が手触り感を持ってデザインを学ぼうと。
自分で学んでみることで、今まで我流でやってきたプロダクトづくりにプラスになるだけではなく、事業におけるデザインの価値や意義を考える良いヒントが見つかるのではないかと思ったんです。

ーー自ら手を動かしデザインを学ぶことでヒントを得ようという動きが、まさにデザインですね。MoDのコースを受講する以前も自主的にデザインの勉強はされていたかと思いますが、今回改めてデザインを学ぶ場所としてMoDを選んでいただいた理由はありますか?

溝口:デザインの本質を学べるという話に惹かれました。デザインツールを学ぶだけというような小手先の技術ではなく、本質を学べる学校は今まで見つけられなかったので興味を惹かれ、まずはやってみようと申し込みました。

技術者という立場を飛び越えていきたい

ーー受講を終えた今、「事業におけるデザインの価値」に対する解はでましたか?

デザインとは課題解決であること。解くべき課題を考え、リフレーミングし、アウトプットを作るところまでのプロセス全てがデザインであるという再認識をしました。部分的なものではなくて全体を捉え、良いものを作るために必要な工程すべてがデザインできるものであると。

「事業におけるデザインは価値があると思っていい。」
そう背中を押してもらったような感覚になりましたし、それ以上に、デザインは経営であると思うようになりました。

特に、その考えはセルジオさんが講師を担当した「デザイン経営」の講義を通して強くなりました。講義を受講してから、プロダクトの周辺にある市場環境やお客さん、社内事情、組織構造など…全部繋がっていることに気がつきました。

私の一番の関心事はプロダクトなので、今まではプロダクト起点で顧客の行動や機能などを議論し、開発を進めていましたが、それよりももっと広い視野を得られたのではないかと思います。
どのようにして市場に価値を提供していけるかという観点で、全体とミクロな部分を捉えた上で、両者を行ったり来たりしながら統合していくことや、全体を一つとして捉える視点を持てたことが大きいです。この視点をもって考えることはとても難しいですが、面白いですし、デザインに触れたからこそ得られた視点です。

今後は、この視点を持って全体を捉えた動きを実現し、形にしていかないといけないというのが今後の目標ですね。
自分は技術者として生きてきましたが、もっといいプロダクトを作るためにも良い経営をしていきたいです。技術者という立場を飛び越えていかないといけない、と思っています。

ロジカルに定義できない「感覚的な良さ」の重要性

ーー まさにデザイン経営の考え方に通じる学びがあったんですね。

溝口:他にも、予想していない学びが数多くありました。
特に印象的な学びは、視覚的に受け取った感覚も大事であるということです。
私は幼い頃からパソコンと共に生きてきたような人生で、小学生の頃から趣味としてプログラミングを始めて、アプリ開発をしていたような子供でした。幼少期からエンジニアとしてロジカルに論理的に物事を組み立てていくことが美しいとされる世界にいたからか、「言葉にできないけど良い」「気持ちがいい」というような視覚的な感覚を無意識に軽視してしまっていると気が付かされました。MoDの授業を通して視覚言語を学んだことで、感覚的な良さを認める領域を発見できました。
この発見をしてから、仕事における考え方も変わりました。画面を綺麗に作ることはある意味当たり前で、それだけのデザインはコモディティ化していると思っていたのですが、そうではなく、綺麗であることや感覚的に良いとされるものを作ることの尊さを知りました。

あとは、デッサンの授業で久しぶりに鉛筆を持って紙に絵を描く経験は、楽しかったですね。純粋に手を動かすこと自体が楽しかったのもありますが、見たものを見たままに描くことの難しさと面白さを感じました。

「自分の手のデッサン」
宿題でデッサンに取り組み、授業内でフィードバックを受けるサイクルを通して学びを深めました。

ーー溝口さんは元々デザインというものを広く捉え、勉強されていた印象ですが、そのなかでも予想していない学びがあったことは嬉しいです。

溝口:毎回、講師の方が自分のアウトプットにアドバイスをくれたことも学びが深まった要因だと思います。特に、コース全体の設計や複数の授業の講師を担当いただいた遠藤さんは、自分が気がついていない観点に対する問いや助言を投げかけてくれてありがたかったです。
MoDの最終日はデザインスタジオの最終発表の日で、フィードバッカーは田中さんと鈴木さんでしたが、遠藤さんも一緒になってZoomのチャットで感想を伝えてくれて嬉しかったです。講義を聞くだけではなくて、講師の方と適度にカジュアルに交流できる機会はよかったです。もっとあのようなカジュアルな交流を増やしていけるといいですよね。

デザインスタジオの最終発表時のZoomコメント。
講師・受講生同士でコメントし合って盛り上がりました。

ーー最終日は特にZoomのチャットが盛り上がっていましたよね。最終アウトプットがどうなるか、やってみないと読めない部分もありましたが、みなさん最後まで考え抜いた良いサービスを作っている点が印象的でした。

溝口:課題も多く負荷も大きかったと思いますが、他の受講生のみなさんも真面目に熱量高く取り組んでいて、違和感がない環境でしたね。

ーーひとりひとりの受講生の意思や姿勢も重要ですが、一緒に取り組むメンバーの熱量も違和感のない環境を作る上では重要ですよね。今後、もしかしたらMoDメンバーになるかもしれない方…今MoDが気になっている方に向けて、溝口さんならどのような言葉をかけますか?

溝口:講師のみなさんの熱量がとても高く、密に設計されたものだと思います。そのため、講義を受ける受講生の負荷も自ずと高くなってきますが、それだけやる価値がある内容です。
本気で学びたい方にとって、MoDはとても良い場所だと思います。

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