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角田光代『私たちには物語がある』

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角田光代『私たちには物語がある』

解説 河合香織「本を読むことは生きることそのものだ」


この本は

角田さんが新聞や雑誌に書いた多くの本の

書評集である。

そして

その本の最後にある

河合香織さんの解説の文章。

生きていくことは矛盾に満ち、

不条理なことばかりで、

人と人はどこまでもわかり合えず、

滑稽なほど傷つけ合ってばかりいる。

生きていく中には

繊細であればあるほど

深く傷つくことも多くなる。

けれども、

そんな生を

角田さんは剛健なほどに

肯定する。

しかし

その繊細な部分を

あらためて見つめてみることで


冷静に分析できるようになる。

そうなると

過剰に反応することもなくなっていく。

みっともなくても、

女々しくても、

日常の些事を静かに積み上げて

自らの生を生ききること、

それは

恋愛よりも死よりも強固で、

そんな人を、

本を

とりわけ温かく肯定しているように感じる。

本を読むことを通して

多くの繊細な人の物語に出会うことができる。

自分一人ではないことも分かる。

すると

自分をも肯定することができるようになるのだ。

その力強い肯定に心揺さぶられ、

だからこの人は

どんな本でもおもしろがれるのだろう

と思い至る。

様々な物語を読むことを通して

多くの生きる物語を知る。

・・・
私たちには物語がある。
本がある。
それはどんなに孤立しようと、

絶望しようとも、

本当の意味では

独りではない。
本は

脈々と書かれ、

読まれ続け、

世代を超えて受け継がれてきた。
その営みは、

私を、

私たちを

救ってくれることを教えてくれる。

本を読むことで

その本との繋がりを持つことができ

決して孤独ではないというのだ。


いや

孤独であっていい。

さらには

孤独のほうがいい。


そうすることで

より深く本の物語を味わうことができる。


そして

自分の生きている物語を

淡々と肯定できるようになる。


すると

もう生きることは

軽くなり

辛いことではなくなっていく。

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