ライオンズの投手運用は上手くいっているのか?【5/12】

ライオンズは5月5日の試合で勝って以来5連敗。最下位まで0.5ゲーム差となった今日の試合でしたが、山川穂高が自身100号ホームランを含む、2本塁打の活躍でリードを広げます。

なお、321試合目での通算100号ホームランはNPB歴代6位タイ、日本人選手としては史上最速の記録となります。

先発の十亀剣は前回、中継ぎ登板で一死も取れず5失点と精彩を欠きましたが、ラジオを聞くと、どういった場面で登板するのか、分からないまま準備をしてしまったため、頭の整理がつかないまま投げてしまったとの事。

ここで紹介されている話が本当であれば、十亀にどこで投げて欲しいか説明していない投手コーチは問題外です。

順番は逆になりますが、小野和義投手コーチに至っては「中継ぎはあまり適性がないのかな。どっちでもできると思っているんだけど」とコメントし、ライオンズファンから「今更かよ!」とツッコまれる次第。

だけど説明を受けていないからと言って、5点も取られるの?という疑問もあって、何が正しいのか分からない状況に。

しかしこの日は前もって、今日の先発起用が伝えられていた事もあってか、6回まで1失点に抑える好投。
7回に2ランホームランを打たれ、3点差とされますが、7回は平井克典が締めます。しかし8回のマウンドに上がったのはD.ヒースではなく平井のまま。

この時点で「何かがおかしい?」と思ったわけですが、それは9回に分かります。

最後にマウンドへ上がったのは、抑えの増田達至ではなくD.ヒース。

ここで増田達至に何らかのアクシデントが起きていることが分かったのです。

D.ヒースは任された9回を三者凡退に抑え、連敗ストップ。勿論嬉しいのですが、増田達至の事を考えると、諸手を上げて喜べない勝ち方でした。


昨日の試合も5月5日にプロ入り初完封を記録した今井達也を中5日で先発させ、投球フォームのバランスなど修正できなかったのか、4回までに113球を投げ、6失点を喫するなどすでに限界でしたが、5回も続投させた結果、更に2点取られ、最終的には131球も投げさせる。

そして試合後、辻監督の「投手もいないので、今井には7回まで投げて欲しかった」と言うコメントを聞くと、
せめて1人でも投手を上げておかないのは何故?
いないからと言って、まだ3年目の投手を無理に引っ張るのは何故?
と「クエスチョンマーク」が頭の中を埋め尽くされるようになりました。

平井克典を様々な場面で投入し、回を跨がせる起用法など、今シーズンの投手運用には疑問符を付けざるえません。


上の評価は2016年から2019年5月12日までの「先発・救援」別投手成績となりますが、2017年と比較すると、先発投手陣の防御率が2点近く悪化しています。

その要因として、奪三振率の低下と与四球率の悪化が挙げられます。

そして2016年から現在までの救援投手陣投手成績および運用方法を以下の表にまとめました。


2016年と言えば、潮崎哲也ヘッドコーチ兼投手コーチによる、牧田和久の酷使がファンにとっても悪い意味で記憶に残っていて、2イニング・3イニングは当たり前と言った前近代的な起用法で物議を醸します。
結果的には牧田和久が怪我をした時点でチームとしてGAMEOVERという無茶な起用法で残念な結果に終わりました。

2017年は前年の失敗を反省し、土肥義弘投手コーチ主導のもの、牧田和久を7回の1イニングに役割を固定。ブルペンを任された森慎二コーチと二人三脚でブルペンでの余分な「肩作り」を無くし、余裕のある場面では勝ちパターンの投手ではなく、実績の無い投手を起用して経験を積ませた結果、平井克典や野田昇吾と言った新戦力も増え、V字回復となりました。

しかし2018年は前年、勝ちパターンとして重宝した牧田和久とB.シュリッターが抜け、代わりに期待したN.ワグナーと高橋朋己が開幕早々に使えなくなり、抑えの増田達至にAチームの武隈祥太、平井克典、野田昇吾の実質4人で回した結果、全員の疲労がピークに達した6月に総崩れ。フロントの迅速な補強もあって、何とか修復できましたが、一時は大変な事態となりました。

そして2019年、D.ヒースが開幕直後に調整不足で二軍へ。K.マーティンも不調で大事な場面で使えなく、唯一結果を出し続けている平井克典が僅少差の状況では必ず起用され、挙句に回を跨いで登板させるなど、2016年の牧田和久を思い出させるような状況です。


ライオンズの取材を多くされているライターの氏原英明氏からこのようなツイートが出るあたり、近くで見ていても看過できない事態であることが分かります。


平井克典が活躍出来ている要因として、2017年以来、三振奪取能力がK%【奪三振÷対戦打者】だと約25%、つまり4人に1人。K/9【9イニング換算での奪三振数】だと9.00個前後とほぼ1イニングに1つと高い値をキープしているところです。

逆にいうと、野田昇吾もK.マーティンも昨シーズンと比べ、三振奪取能力が落ちていて、それが結果を残せない要因と言えます。

野田昇吾
K%:22.10%→8.57%
K/9:8.78個→3.11個

K.マーティン
K%:29.55%→10.53%
K/9:10.80個→4.63個


また2016年と言えば、当時高卒2年目の髙橋光成が負け続けているのに、
「他に投げさせる投手がいないから」
と言う理由で先発させたことです。

この表を見ると、5月までは非常に良い投球をしていますが、6月中旬あたりから数字が悪化し、7月以降は勝てない日々。まだシーズンを投げ切る体力もなく、夏場の熱い時期で疲れから投球フォームも崩れていましたが、投げさせ続けた結果、7連敗を喫するなど泥沼にはまり込んでしまいました。

そして今シーズンの今井達也です。

今シーズンは7試合に先発し、全て100球以上。その内130球以上投げた試合が3試合もあり、このままでは遠回りさせた髙橋光成の二の舞になりかねない由々しき事態です。


このような事もあり、小野和義、西口文也両投手コーチに厳しい目が向けられるのは当然でしょう。

ただ最終決断を下しているのは辻発彦監督であるため、投手コーチだけを「トカゲのしっぽ切り」の如く、批判しても根本的な解決にはなりません。

そして2018年に救援陣が苦しんだのは、牧田和久とB.シュリッターの後釜がいなかった事であり、現在、先発投手陣の問題は菊池雄星の移籍で軸がいなくなった事。つまり新外国人投手やFA選手の獲得など補強の問題でもありますので、それはフロントの責任。

そう考えると投手陣の問題はチーム全体の問題となります。

現在はホークスほどお金を使った補強が出来ず、しかしファイターズほど計画的な強化が出来ない中途半端なチームになっています。

堤義明オーナーが君臨していた1980年代の様に大金を使えない以上、進むべき方向はファイターズ式しかないはずですが、難しいのは「割り切る」思い切りの良さ。

言葉で言うのは簡単ですが、実際にやろうとしたら難しい。

最終的には「覚悟」を決めるか否かだとは思いますが…

ただし「文春野球コラム」のライオンズ代理監督としてもファンに知られるライターの中島大輔氏から言わせれば「素材はいるはずだ」と。

榎田大樹と言う最高の見本が近くにいるんだから、投手コーチも精神論で終わるのではなく、基礎となる技術を教えないと。というツイートを見ても、近くで見ていて歯がゆさを覚えるのではないでしょうか。


これを書いている5月12日の23時現在で増田達至に何が起きているのか分かりませんが、発熱などの体調不良であれば1週間で戻れるはず。しかし肩や肘の違和感であれば、1か月、2か月単位の離脱となる。

そうなると更に平井克典の負担が増えるのか?

いやそんなことがあっては一人の投手を壊してしまう訳で、そんなことは絶対に起こしてはいけない。

逆に8回、1イニングのみの起用で固定させるぐらいでないとシャレにならないことになるでしょう。

5連敗を喫した夜、私はこの様なツイートをしましたが、渡辺久信GMを始めフロントは危機的状況と見ているのか?

連敗は止まりましたが、増田達至の事を考えると決して楽観視は出来ません。

何かが起きてからではなく、起きる前に大ナタを振るう準備だけはして欲しいと思います。

「育てながら勝つ」という難しいかじ取りを期待しつつ…

では👋👋

ライオンズを中心にあれこれ思った事を書いてます。