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【ウィズコロナの教育を想像する―「止血」期、「治療」期、「再構築」期という視点】


ここ数日は非常に悶々としています。
僕を悩ませている問いはただひとつ、
「この状況下において、初等教育に何ができるか」です。

まず僕が現状をどのように捉えているか、というところから書いてみることにします。
新型コロナウイルスによる休校措置は、かなり長期化すると想定しています。
特に都心部においては、GW明けの学校再開も非常に厳しい状況だと思います。
先週ぐらいまでは「分散登校ができれば御の字」という見込みでしたが、これもまず実現しないだろうと踏んでいます。
専門家の方々の意見を総合すると、数ヶ月単位・年単位での休校も覚悟しておく必要があると感じています。


アフターコロナとウィズコロナの違い

慶應義塾大学の安宅和人さんと、メディアアーティストの落合陽一さんの対談から一気に火が点いた「ウィズコロナ」(With コロナ)というキラーワード。
新型コロナウイルスが終息を迎えた後の世界を「アフターコロナ」に対して、新型コロナウイルスの終息までの世界を「ウィズコロナ」としています。
今、「対して」と書きましたが、ちょっとおかしい感じがしますね。
「アフター」の対は「ビフォー」ではないかと。
これは「ウィズコロナ」の視点として非常に重要な部分に関わるものだと思います。
 
 
「ビフォー」の後に「アフター」が来るという発想は、新型コロナウイルスの影響をある局所的な出来事、すなわち【点】として捉える考え方であると言えます。
これはあくまで「ビフォー」の先に「アフター」があるという想像力を基とする世界像です。
「これまで」は新型コロナウイルスという【点】を境に「これから」になっていく――そこでは「新旧」のように、「ビフォー」の世界における対の関係はそのまま保持されていて、【点】を境に単純比較がしやすい世界がイメージされます。
 
しかし、最新の報道を真に受けるとすれば、新型コロナウイルスの終息は「少なくとも年単位」もっとも悲観的な予測では「数年単位」の時間を要するとされています。
生物学者の福岡伸一さんは、ウイルスと生物としての人間の関係から、「ウイルスは私たち生命の不可避的な一部であるがゆえに、それを根絶したり撲滅したりすることはできない」とさえ述べています。
 
こうした時間的な長さ、そして福岡さんの指摘するようなウイルスとその「宿主」である私たちの関係を鑑みると、この状況は【点】のようにある時期にひょいと終わりが来るものではないように感じています。
【点】というにはあまりに長く、「アフター」と形象するにはあまりに遠い時間が、これからしばらくの間、世界を覆い尽くすのではないか。
このウイルスとの「お付き合い」は当初想像していたよりもずっとずっと長くなるのではないか。
その過程の中で、社会構造やそこに生きる私たちの価値観が大きく変容していく――これが落合さんらの「ウィズコロナ」の視点だと、僕は捉えています。

「ウィズコロナ」の世界では、「これまで」=「ビフォーコロナ」の想像力では描けない社会の姿が生まれてくる可能性が大いに考えられます。
これまで目指してきたもの、これまで良しとされてきたものが吹き飛んでしまうのかも知れません。
そうなると「ビフォー」と「アフター」を単純に比較するような想像力では及ばない、全く別の世界が生まれることになります。
落合さん、安宅さんは現時点でこれを「開疎化」とおっしゃっていますね。
 
 


教育の「止血」期、「治療」期、「再構築」期



このような見方に立って、自分の専門である教育について考えてみるとどうでしょう。
「ウィズコロナの教育とは…」
…いやいや、これではまだ問いが立ちそうにもありませんね。
理想や憶測、ロマンを語ることはできそうですが、自分の実践との接合点はまだまだ見つかりそうにありません。

というわけでここ数日はフタをしていた「ウィズコロナ」の話題ですが、
先述した安宅和人さんの「そろそろ全体を見た話が聞きたい2」を拝読してすとんと落ちるものがありました。
 
安宅さんはこの記事の中で、新型コロナウイルスに対する5つの課題領域と3つのフェーズについて書いています。
その3つのフェーズこそ、表題の「止血」期、「治療」期、「再構築」期の3つです。
 
「止血」期とは、「現在の非常な状態の沈静化」の時期です。
まさに今、僕たちの周りで起きていることのほとんどがこれに当たります。
緊急時において不可欠なことに間違いはありませんが、「「止血」は本来の意味での解決ではない。人間もそうだが、止血しても、傷が治らないと結局やられてしまう」ものでもあります。
 
「治療」期「止血」期の傷みを癒やしつつ、「同様の問題が生まれないように予防措置をする」ための時期です。
そして、「体力を元に戻し、完全復帰に向けて「リハビリ(再生)」を果た」す時期「再構築」期としています。
 
 
これはそっくりそのまま教育現場の現状を整理する視点にもなると思います。
 
急ピッチで進められているオンライン化の動きは、まさにコロナ禍における「教育の止血」です。
学校教育という、社会におけるコアシステムを、なんとかして動かし続けなければいけません。
たとえそれが「仮死状態」の「その場しのぎ」のものであったとしても、まずそうしないことには本当に「死んで」しまうからです。
これは「学びを【止】めない」という言葉にも奇しくも重なりますね。
 
その中で「オンライン化に対応できない家庭、学校・自治体」という格差の問題が生じています。また、仮に機器や環境が整備できたところで、この動きにスムーズに移行できない「弱者」の存在も無視するわけにはいきません。
これらはどちらかと言えば「治療」期に解決しなければいけない問題だと思います。
「止血」期ほどの即効性のある対応は難しく、個々のケースに丁寧に対応していかなければならないため、より細やかなケアとルールづくりが必要となります。
 
  
では、この先にある教育の「再構築」期は、どのようなものなのでしょうか。
おそらくこれに対する答えを、4月15日現在、持ち合わせている人は誰もいないと思います。
教育だけでなく、社会全体が新型コロナウイルスによって揺り動かされている今、
【未来像】と呼べるようなものはどこにも存在しないと言えます。
 
「じゃあ、こんなことを尤もらしく3つのフェーズに分けたところで意味がないだろう」
と思われるかも知れませんが、僕はそうではないと考えています。
それこそ安宅さんの記事の題名にも表れている通り、「全体を見た話」は今こうした状況下でこそ、とても大切なものだと思います。
 
―この事態はいつまで続くのか。
終わりが見えない状況において、力を発揮し続けられる人は一体どれだけいるのでしょうか。
「〇〇疲れ」という言葉があちこちで叫ばれているところからも、ヒトという生き物はこうした事態に対する十分な耐性を持ち合わせていないのだろうなと推測されます。
少なくとも、僕は見通しの見えないものの中では力を100%発揮できない人間です。
現在のような「いつまで続くかも分からない」状況の中で、自分の実践や生き方に手応えを感じるのは、はっきりと言って非常に難しいです。

―次にどんな事態に備えなければいけないのか。
―そのために今、何をしなければならないのか。
このような問いも、あちこちの分野で議論され、何らかの対策や手立てが講じられていることかと思います。
でもそれらの対応が「場当たり的」で「近視眼的」なものばかりになってしまっては、「止血」することさえできないかも知れません。
  
少しでも現在の状況を整理して、客観的に捉える視点があることは無駄なことではないと思います。
こうした見通しがあるからこそ、今目の前の実践をどうやって結びつけていけばよいかという、想像力が働くのではないかと僕は思います。

▽▽▽
 
長々と書いてきましたが、今は「止血」期の真っ只中であることに変わりはありません。
「やるっきゃない」と自らに言い聞かせて、日々を送っています。
その一方で、はじめに掲げた問いも常に頭の片隅に置いています。
「この状況下において、初等教育に何ができるか」
これは「止血」期だけでなく、そこから先の世界にもつながっていく問いだと考えています。
 
今、目の前にいる子どもたちを、
10年後の世界(すなわち彼ら彼女らが成人した世界)で
「教育を奪われた世代」などと呼ばせたくない

 
これが一教員として、僕を貫いている想いです。
「止血」期にすべきことを最優先で実行しつつ、
「治療」期、そしてやがて来る「再構築」期につながる【何か】を眼差して、
当面の仕事にあたりたいと思っています。
 
 
この投稿は決意表明なんでしょうか、何なんでしょうね。
あ、またしても【ポエム】でしょうか。笑


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小学校教諭(国語・劇)。学校が好きなインプロバイザー。 教室と舞台、二足のわらじを履いています。晴れときどき曇り。

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