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「きらりと光るものをうまく見つけて、曇っているのなら表面磨いて曇りをとる。」

村上春樹の『騎士団長殺し』を読み始めました。まだ序盤も序盤なので、一体どんな物語なのかまだよくわかっておりません。そうでなくても、いまキーボードをカタカタしているのは、何もストーリーを紹介したいからではありません。

ある一説に、〝私がやりたいこともそういうことだ!〟と共鳴してしまったからなのです。その一節とは、職業的肖像画家の「私」が肖像画を描く上で行う大事な作業を説明しているもの。

「ずっと奥の方までのぞき込めば、どんな人間の中にも必ず何かしらきらりと光るものはある。それをうまく見つけて、もし表面が曇っているようであれば(曇っている場合の方が多いかもしれない)、布で磨いて曇りをとる。なぜならそういった気持ちは作品に自然に滲み出てくるからだ。」

私の場合は【文章】なのだけれど、私がやりたい、いや無意識に目指しているのはこういうことなのだと、この一節を読んで思いました。その人の持っている価値や魅力(きらりと光るもの)を、取材などを通じてうまく見つけて、表したい。そしてその魅力や価値を最大限生かせるようにするお手伝いがしたい。ほかの人にその価値が十分に伝わるように、裏を返せば他の人がその価値を受け取りやすい形にして、顕したい。そう思います。

もちろん、そんなこと自分自身でできるよ、という人に対して私が手を出す必要も余地もないと思いますが、意外と自分自身で本来の輝きに気づけていない人、時にはその輝きが曇ってしまっている人が少なからずいるのではないかなと、これまで様々な人と出会い話をする中で感じます。(かく言う私も、他者のことを客観的に文章として表すことができても、自分に関わることをわかりやすく表現するのは苦手です)

だから、自分の魅力や価値、思いを表現したいけれどうまくいかない人(自覚的であれ無自覚であれ)の、その魅力や価値をうまく見つけて、曇っているのなら表面磨いて、本来持っている輝きをちゃんと輝かせる手伝いというか、サポートというか、できたらいいなと思うのです。何より私自身も、そのきらりと光るものを見てみたいですし、ね。


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