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男性への性暴力 少年への性的虐待の本から学ぶ

最近、性犯罪が続いているので、まん防でお家時間が増えたついでに本でも読んで情報収集してみよう〜!という訳です。

ではこちらの本です↓↓

リチャード・B. ガートナー 著 宮地尚子ほか訳
少年への性的虐待―男性被害者の心的外傷と精神分析治療 作品社 2005年第1刷

絶版なので図書館で借りました^_^  モンチッチ たちも一緒に応援してくれてます!


著者 リチャード・ガートナー
コロンビア大出身の精神科医で多数の患者さんの治療に貢献。米国ではテレビに出演したりと活躍していましたが、強い激痛を伴う病気(線維筋痛症か?)にかかり、日本で著書が出版された後に自殺。

翻訳 宮地 尚子
精神科医。一橋大学教授。

https://www.naokomiyaji.com

厚さが4センチ近くある辞書の様な本です。

モンチッチ たちは、本に掴まって寛ぎ時間⁈ 『本を囲んでコーヒーでも飲みましょ♪』


本の中でたくさんの外国人の症例が、まるでその患者さんが私の隣で語りかけてくれているかのように、生き生きと描写されています。

性的な描写が多いですが、描写は患者本人の言葉に非常に忠実です。学術論文形式を取り、読みやすく配慮されていますので、不快感は感じませんでした。内容が膨大なので、興味のあるところだけ、抜き出して読むと楽です。

アマゾンではこの本はアダルト扱いになっています。この辺が性虐待を一般的に語らせたくない闇の圧力や壁を感じますねー。

ガートナー自身もこの本を執筆し始めた当初は、米国の精神科医学界から無視されたり、学会発表を妨害されたりと、かなり苦労したようです。

日本では、男性は性被害に遭わない、加害者でしょって思い込んでいる人も結構いますよねー。どうしたらいいのかな?

ではでは、内容に移ります。皆が興味を持ってくれそうな、とっつきやすいところから行きますね!

第8章 親密な関係/ 権力や権威への不信 
248ページ

 親や養育者その他の親代わりとなる者たちとの関係において、ひどく裏切られたことのある子供は、将来も人間関係において、特に権威を感じる人物からは、また同じように裏切られるのではないかと予測しがちである。裏切り者で頼りにならず、信用できないと言う権威者像を内面化しているため、彼の愛着形成能力は著しく損なわれる。彼は自分が好きになったり信頼した者からは裏切られるだろう、と言う感覚を持つようになる。人と出会うことへの用心や不安が、彼のあらゆる人間関係に影を落とす。

傷つきやすさと無力感 251ページ

 虐待を受けた少年においては、傷つきやすさ(Vulnerability)が無力感と結びつくことが多い。そのため成人後の人間関係において完全に相手を支配しようとするか、あるいは、攻撃されそうと思うと不安に駆られ、今だに自分が無力で、権力者に迎合しなくてはいけないように振る舞ってしまう。

性的な存在であることへのアンビバレンス 
性虐待により虐待と愛情を区別できなくなる 254ページ

 セクシュアリティ、愛情、慈しみ、親愛、虐待をそれぞれきちんと区別できないと、親密さやセクシュアリティ、愛情が含まれる人間関係に大きな影響が及び、さらには性的虐待を受けた男性が、性的な存在としての自己とどう関わり合うかをも左右する。

虐待を受けた者が自分を性的に狂っていると孤独感を感じる理由

 はじめての性的興奮を、虐待的な関係の中で経験すると、その男性はセクシュアリティーを「強要や、相互性のなさ、時々には暴力、に結びつけてしまう……秘密にすることと性的興奮が組み合わさると、被害者は自分のセクシュアリティを非常に恥ずかしいものだと感じる。自分の性の表れ方が逸脱したものだと感じた場合には、特にそうである。

サバイバーの中には、自分の性的な行動が虐待を受ける過程で形成されたものだと言うことに気づかず、自分の性的欲望や現れ方の性質を理由に、自分をはずれ者だとか、変人だとか、狂っていると信じこむこともある」(Crowder, 1995,p.32)

(引用文献 Crowderの論文 英語です)

https://www.ojp.gov/ncjrs/virtual-library/abstracts/opening-door-treatment-model-therapy-male-survivors-sexual-abuse

【今日の読書 出典】

リチャード・B. ガートナー 著 宮地尚子ほか訳 少年への性的虐待―男性被害者の心的外傷と精神分析治療 作品社 2005年第1刷

↑2022年1月27日現在、絶版になっています。
もしよかったら、SNSなどで再版・再販をアピールしてくださると嬉しいです!


私も再販されたらぜひ購入したいです!

再販、まだかなぁー‥‥待ちぼうけのマイツ君



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