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言の葉が海を渡って一年後 避暑地に降りて羽を休める(なんでもない日に短歌でタイトルをつける日記7/31~8/25)

好きな歌集から短歌を一首紹介しつつ、毎日の日記を書いています。
週のタイトルは自分で詠んだ短歌になります。

7月31日

言の葉をついと咥えて飛んでゆく小さき青き鳥を忘れず

『アボカドの種』俵万智

8月1日

このままでいいのに異論は届かないマスクの下に唇を噛む

『アボカドの種』俵万智

1年前の7月31日はぼくのiPhoneのTwitterアプリがXになった日。その後、8月30日にアカウントを削除する。

19日

鈍色のダサい鉄下駄突きかけて己の中の豚の餌遣り

『くるぶし』町田康

7月中旬に体調を崩してから、持ち直した後もなんとなく遠ざかっていた日記を再開することにする。

短歌は、自分に対する厳しさと甘さのバランスをいかに保つか、というような意味だろうか。甘い部分はあってもいいだろうけれど、それが豚の餌と聞くと、うーむ、考えものである。
風邪から回復したあとも、もっぱらせっせと己の中の豚に餌を遣り続けた8月の前半。さすがに、もうそろそろ暑さも落ち着くだろうから、ぼちぼち奮起せねばなるまい。

『海のはじまり』第8話。夏くんが実父に会いにいくはなしは、なんと言うか耳が痛い。ぼくが他者に対して、夏くんの実父のような態度をとるようなことはおそらくないけれど、人と向き合うのはなかなかしんどい。込み入った話を聞きたくないのは事実。どの反応が正解か示してくれるようなVRゴーグルみたいなのがあったらいいのだけど。

VRゴーグルは買えないから、カメラでも買うか。

21日

大きさも深さも違う花瓶にはそれぞれ似合う一輪がある

『あなたのための短歌集』木下龍也

よくわからんが、次々と職場の派遣社員が増殖していく。一応、チーム発足の初期メンバーなので、4ヶ月目とはいえ指示する側に回らなければならい。そんなに増やされても、というのが本音で、正直明らかに人員を持て余している。その上、明日からさらに5人増えるらしい。

7月末の体調がすぐれなかった時期に入ってきたメンバーの中に、爆速で言語化する頭の回転が速い24歳とものすごく認知に時間がかかる28歳がいて、さもありなん、というあまり場を共有したくない空気が流れている。人が増えれば、そういうこともあるだろうが、スタートがこれ以上ないくらいに温厚な人間ばかりだったこともあり、ちょっと残念な気持ちだ。

かく言うぼくも、たまたま得意な仕事内容にありつけただけで、これまで飲食店や接客販売などお世辞にも仕事ができる人間ではない。だから、どうにかこうにか28歳に仕事を噛み砕いて仕事を教えたいし、28歳を応援したい気持ちもあるが、そうも言ってられないくらい埒が開かないこともあって、これにさらに5人増えんのか……という、暗澹たる気持ちです。

22日

五組ではバナナはおやつに入らないことになったぞわんわんわんわ

『水中翼船炎上中』穂村弘

昨日の日記の続き。薄々気づいてはいたが、頭の回転が速い24歳は基本的にコミュニケーションをとりたくないタイプだ。ぼくは人の好き嫌いがかなりハッキリしているが、苦手とはいえ仕事だから割り切ってコミュニケーションをとろうと思っていた。36歳だし、大人にならなければならない、と。

が、研修を終え蓋を開けてみると、ずっとおしゃべりしていて、想像の100倍くらいムリだということがハッキリしてきた。頭の回転が速い若者にとっては退屈な仕事かもしれないが、子どもじゃないんだし、それだけの脳みそを持ってんだから、もう少し周囲に気を遣って静かに仕事できんもんかね、と。

やっと夏風邪を乗り越えて、再開した日記が愚痴っぽくなっているのも問題だ。

24日

くるぶしは俺の心の一里塚夜の心はみなの禿山

『くるぶし』町田康

ふたつの比喩がおもしろい。センサーとしてのくるぶしとそのセンサーを司るおおもとの禿山。夜の心はみんなにとって同様に禿山だけど、そのセンサーを配置する場所は人それぞれ。

25日

やさしさをうまく表現できぬこと許されており父の世代は

『サラダ記念日』

『海のはじまり』第8話を再視聴。

来週28日で、この日記もちょうど1年。節目だし、来週からもうちょっとちゃんと書こう。


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