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2020 best album

12月です。
今年もこんな時期がやってきてしまいましたね。
2020年のベストアルバムを決めていきたいと思います。
今年はコロナの影響で音楽的な状況や表現の仕方も変わったりと、世界中で人間の生活に大きな変化をもたらしました。
そんな中、世界中のミュージシャンや表現を生業とする人たちは迷いながらも素晴らしい作品を作り続けてきました。
今回は個人的に良かったもの、めっちゃ聴いたものを12タイトルピックアップしました。

良かったものの基準としては、アルバム全体の空気感が伝わるもの、1曲ではなく3曲程度これはいい曲だ!って思えるものがあることをなんとなくの基準としてます。
こんな時代にアルバムでリリースすることの意味のある作品って、やっぱり面白いなって思ったりもします。

1.edbl 『Boys & Girls Mixtape』

2020年9月18日リリース
UKのトラックメイカー兼プロデューサーのedbl。Tom Mischが出てきた頃からもうすっかりUKはR&B、Jazz、Soulから影響を受けたアーティストが溢れるフィールドになりましたね。

とにかく住み心地がいい!
このアルバムに住みたい。それくらいどの楽曲も居心地が良くて、気持ちがいい。アルバムを通して飽きが来るパートも一切なく、気付いたら2周目しちゃう?となっている。
2017年にリリースされたTom Mischの『Geography』を思い出す傑作。
Ady SuleimanやD’Angeloから影響を受けたサウンドは暖かく優しい、どんな季節でも癒してくれるアルバム。



2.Kllo 『Maybe We Could』

2020年7月17日リリース
『オーストラリアのThe XX』
どこのレビューを読んでもそう書いてある。
うん、確かにオーストラリアのThe XXと書きたい気持ちも分かる。でも今作は個人としては『The XXを超えた』と書きたい。

都会的な冷たさの中にある灯火
Simon LamとChloe Kaulの従兄弟によるエレクトロ・デュオ。今作はお互いがソロ活動をした後に再び作り上げた2ndアルバム。
メルボルンで作られた冷たくもあり、優しくもある楽曲は、東京の街の中で聴いてもまるで自分だけのサウンドトラックのように聞こえる。
なんだか切ない気持ちになってくる。音楽に感情まで左右される。
このアルバムを一周した時に、間違いなく今年のベストアルバムに入れると決めた。



3.STUTS『Contrast』

2020年9月16日リリース
改めて考えてみると、STUTSは星野源と一緒にツアーを周りNYや東京ドーム、紅白歌合戦でMPCをポコポコ叩いてる、それってとんでもないことなんじゃないか?
そしてひとりで小さい箱でもポコポコ叩く。いま日本一ステージを網羅してるぞ、すごいぞSTUTS。

日本の音楽をさらに押し上げる充実感
もう説明不要にもなりつつあるSTUTS。"星野源の後ろでなんかポコポコ叩いてる人"で伝わることもあるSTUTS。8曲収録のミニアルバムは、"ミニとは?"と突っ込みたくなる充実の内容。
前作と比べるとゲストミュージシャンは減りはしたものの、初のボーカル、ラップもあり、ギターやベース、Mixまで担当した完全にSTUTSオリジナルな作品になっている。
星野源の後ろにSTUTSがいる限り、日本のポップミュージックは進化し続けていくような、そんな気さえしている。



4.Mura Masa 『R.Y.C』

2020年1月17日リリース
上半期のベストでも1位に挙げてきたこのアルバム。結局2020年の1位だったなあ…と振り返っても思った。上半期に出たアルバムって評価が下がりがちなイメージあるけど、最強なのだから下がりようがない。

次の時代の旗を取った若者たちのエモーション
UK出身の24歳。前作リリース時は20歳ながらあれだけの名作をリリースし、世界を驚かせたMura Masa。
今作は前作と比較して圧倒的に元々の彼のルーツであるパンクロックやインディーロックからの影響がモロに出た作風で、特にClairoとのコラボした楽曲『I Don't Think I Can Do This Again』や『No Hope Generation』では若者の焦燥感や、誰にも理解できない、されない心の孤独を歌詞とエモーショナルなサウンドで立体的に描いている。
完璧としか言いようがない…です。



5.BLACKSTARKIDS『Whatever,Man』

2020年10月22日リリース
Dirty Hitからリリースされたアーティストって軒並み最高のアルバムをリリースし続けてる気がする。一時期のFueled by Ramenを思い出すこの箱推しならぬレーベル推し感。

ユーモアってこんなに楽しい!
アメリカ、カンザスシティ出身の3人組BLACKSTARKIDS。ヒップホップとインディーロックを股に掛け、The1975やNo Romeも所属するDirty Hitからリリースされたこのアルバム。
SUPERORGANISMのような力の抜けたユーモアセンスと、ヒップホップとインディーロック、ガレージロックを行ったり来たり交差するサウンドが心地良く、ひとつのアルバムの中で自由にスタイルを変えてくるので、ひとつの作品でいくつものアルバムを聴いてるような気分になる。
これからインディーロックとヒップホップが交差した音楽性がシーン全体で発展していった時にどんな音楽を聴かせてくれるのかがすごく楽しみです。



6.The 1975 『Notes On A Conditional Form』

2020年5月22日リリース
上半期にリリースされた作品ってどうしても年末の時期になると忘れられたり、そうでもなかったかな?って評価が後に出たものより下がりがちなんですよね。それはまあ、仕方ないことだけど、なるべくそういうのがないように1年を振り返りたい気持ち。

2020年において必然性すら感じる作品
今や世界の音楽好きには説明不要のUKのマンチェスター出身の4人組バンド、The 1975の4作目『Notes On A Conditional Form』(邦題は「仮定形に関する注釈」)は2019年にリリースされる予定が幾度も延期を重ね、結局2020年の5月にリリースされた。Greta Thunbergのスピーチで始まり、バンドへの愛や、これまでの活動を歌った『Guys』で締めくくる22曲、時間にして2時間の大作は時にキャッチーで、時にシリアス、そしていつも世界を少し睨んでいる。
世界中が予想だにしなかった状況に苛まれた2020年にも、普遍的で何ひとつ変わる必要のない"ラブソング"『Me & You Together Song』という名曲を残してくれた事に心から彼らに感謝したい。



7.HONNE『no song without you』

2020年7月3日リリース
今年は例年と違って四季での区切りよりも、コロナ以前、コロナ以降、コロナによる自粛期間での記憶の区切り方のほうが出来事を思い出しやすくなっている気がする。コロナ以前はもう遠い記憶...というよりも別の世界線を見ているような。これまでが映画の中の世界にいたかのような、そんな気さえしてくる。

世界が失った抱きしめる感覚を思い出させたアルバム
コロナだけでなくBLMのムーブが大きくなり、世界中が不安と混乱に加速した6月にリリースされた楽曲『no song without you』では「君なしでは生きられない」と歌い、アルバム収録曲『by my side』では「君はどこへ行ってしまったの?」と歌う。いつもの日常であればラブソングだと判断していたかもしれないものが、今の世界では失ってしまったたくさんの"君"という存在のことを思ってしまう。
悲しみも怒りも嫌というほど目にした2020年。生きてきてこれほど最悪な1年を過ごしたことはなかったように思う。ただそんな時でも彼らは「君が諦めない限り、僕も君を諦めないよ」と歌う。音楽を通して、手を繋いだり抱き合ったりできるということを改めて思い出す作品でした。



8.Yumi Zouma『Truth or Consequences (Alternate Versions)』

2020年10月28日リリース
バンドって時々Remixとか再アレンジしてアルバムや楽曲を作り直すことってあるんですけど、大抵好きになれないんです。なんでこういうアレンジにしたんだろう?とか、前の方がいいのにっていう感想を持つことが多くて。ライヴでも結局新しいアレンジの方しかやらなくなったりね。うん。
でも初めて出会った、こんな最高のアレンジに。

最高は常に更新されるために存在する
『Truth or Consequences』は3月にリリースされたYumi Zoumaの3rdアルバム。オリジナルのバージョンももちろん最高で、上半期のベストにも入れていたくらい最高傑作だと思っていたのだけど、こんな方法で自らの最高を更新していくとは思わなかった。
そもそもこのアルバムリリース後に、アルバムを引っさげたツアーを行うつもりだったが、コロナの影響で軒並み中止(フジロックで来日予定だった泣)。そこでこのアルバムが埋もれてしまわないようにと、ロックダウン期間中にアルバムを再構築し、10月にAlternate Versionsとしてリリースした。
サウンドもより洗練され、クリアになった。元と聴き比べてもかなり大胆な変更をしているため、どっちが好きかはハッキリ分かれそうだが『Southwark』の印象的な最強のリフを取っ払ったアレンジを聴いて、これはすごいぞ...と心からガッツポーズをしたのだった。

↓こちらがオリジナルのバージョン



9.Brasstracks『Golden Ticket』

2020年8月21日リリース
どんなに音楽が好きでも余裕がなかったり、疲れていたりすると音楽が聴けなくなったり、何を聴いたらいいのか分からなくなる瞬間ってありますよね。そういう時は無理して聴かないのも一つの手ではありますけど、そういう時にでも聴ける音楽を知ってると強いと思うし、そういう音楽は大切にするべきだと思ってます。

ポジティブなエネルギーは音に乗って世界を躍らせる!
グラミー賞を受賞したChance The Rapperの“No Problem”のプロデューサーとして話題になった音楽ユニットBrasstracksの最新アルバム...とかそんな説明は全く必要ない!とにかく聴いて体が動く方に委ねれば感情が勝手についてくる。もうずっと楽しい、とにかく楽しい。Robert Glasperをフィーチャーした楽曲『Disco Break』の最後の爆笑くらい色んなものを笑い飛ばしてくれるアルバム。
個人的な想いとしても2曲目の『Hold Ya』で大好きなLawrenceをフィーチャーしてくれてるのが嬉しいし、最高にソウルフルな曲に仕上がっている。
そして今世界を席巻しているBTSのアルバムにもプロデューサーとして参加している。つまりBrasstracksの時代が完全に始まってしまっているということだ。



10.藤井風『HELP EVER HURT NEVER』

2020年5月20日リリース
藤井風ってもう名前からして最高にかっこいいよね。侍感すごい。そのままジャンプの漫画の主人公にしてもいいくらい。いや、クールで強い主人公の憧れの存在みたいなキャラの方がいいかな。誰かひとつよろしくお願いします。

日本が永遠に待ち望んだカリスマが現れた!
僕が春先に書いた藤井風に関するnoteの記事を今でもちょいちょい読んでいただいてるみたいですごく嬉しいです。
本当にカリスマって呼ばれる存在は、楽曲の良さとか歌の上手さ、顔立ちだけじゃ測れない人を惹きつける何かがあるんですよね。藤井風もその3つ確かに揃ってはいるけど、それ以上に何か不思議なオーラがある。岡村ちゃんを初めて見た時のあの異物感とか、マイケルジャクソンのステージを初めて見た時の同じ人間なのか?感とか、チンアナゴを初めて見た時のなんだこれは感とか、そういった類のカリスマ性を感じる。
アルバムの楽曲も基本的に真っ直ぐに相手を捉えながらも、常にのらりくらり躱しながらボソッとゾッとすることを言ってニヤリと笑ってそうなそんな感じがすごくカッコいい。ずるい。
そうなのだ、藤井風は常に全体的にずるい。
これまでYouTubeでカバーしてきたようにR&B、歌謡曲、Popsを縦横無尽に交差し、強く歌ったり優しく囁いたり抱き締めたり突き放したりする。そんなズルい男なんです。
1stアルバムにして3rdアルバムくらいの重厚感。この先どうなっちゃうんだろう。ずっと同じ時代を共にしたいと感じるアーティストであることは間違いない。



11.LANY『mama's boy』

2020年10月2日リリース
アーティストや表現者の人は"自分の価値を自分自身の表現で見出す"人が多いので、誰にも見てもらえなくなったり、表現の場所を失うと自分の生きてる価値がなくなってしまったと落ち込む人が多い。そこに全てを賭けてる分、その反動は大きく出る。今はそういった人が生きにくい時代。今は「あなたが存在してるだけで価値がある」ということを好きなアーティストにファンが伝える番だと思う。

良いものしか作れない抜群のセンス
LA出身のトリオLANYの2年ぶりにリリースされた3rdアルバム。前作とはまた方向性が更に大きく広がり、スタジアムでも映えるような楽曲が増えたように感じる。そして切なさはより加速している。
ことLANYに関しては1stアルバムからずっと、嫌いな曲やウーンってなる曲が1つもない。時間が経ってジワジワ好きになるとかもなく、最初に聴いた瞬間から好きが始まる。それはただ相性がいいだけの話かもしれないけど、彼らの作るメロディやサウンドは人の心に擦り寄る人懐っこさや温かな優しさがある。そしてそこに乗るPaulの時折り無機質に感じるボーカルが楽曲に切なさと儚さをもたらす。
どれだけ大きな存在に成長していっても常にパーソナルなことを歌い続けるところに何故か安心を感じる。



12.BTS『BE』

2020年11月20日リリース
個人的なイメージだけど、韓国のグループの子達って一見クールっぽいのにメンバー同士が話してたり、普段の姿を見るとめっちゃ可愛いっていうギャップにギュンってやられますね。僕はBLACKPINKにギュンってやられた人間です。ところで防弾少年団って呼び名はまだ生きてる?

いつか有り得ないと笑っていた世界に辿り着いた
BTSのアルバムに関して話す必要なんてない気がするし、他の人が愛をたっぷり語ってくれた方が全然読みたいなーと思いつつも、このアルバムを選ばなかったら嘘になってしまうので書いてます。
アフターコロナと呼ばれるこの世界だからこそ生まれたこのアルバム。
『Fly To My Room』ではロックダウンで部屋から出られなくなった窮屈な日々のことを歌い、『Dis-ease』ではこの時代にアイドル、表現者としてステージで生きていくことへの使命感や葛藤、苦しみを歌っている。
正直ここまでストレートに音楽に乗せるボーイバンドを初めて見た。でもそれをしていい時代になった。アジア人が世界一のボーイバンドになるなんて、BackstreetBoysやOne Directionが世界を熱狂させてた時は想像すらできなかった。時代は変わる、世界も変わる。
そして2019年が『bad guy』なら2020年は『Dynamite』。しかし去年の『bad guy』に比べて『Dynamite』は流れるべくして流れているというか、やたらに雑に楽曲だけが一人歩きさせられてないのが良かったなあと個人的に安心してる。Brasstracksの時にも書いたけど、こういう時代には明るくてぶっ飛ばせるパワーが必要なのよ。この曲がアルバムの最後なのがすごく大好きな構成でした。
そして何よりも
「終わりの見えない日々だけど、人生は続いていく」と歌うBTSを最高のグループだと思うし、
BTSが世界一のボーイバンドとして、この時代に『Life Goes On』と歌ってくれる限り信じられる未来はきっとある。

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以上12枚のアルバムについて書いてみました。
激動の1年だったけどいつか2020年を振り返った時、出来事ともにこの音楽たちのことを思い出すのだろうか。その時はどんな生活をしていて、どんな時代を生きているのだろう。新しい生活様式になっているのだろうか、それとも以前のような生活があるのだろうか。
"元の生活"とは言うが、もう元の生活に戻ることは不可能だ。失ったものはあまりにも大きすぎる。それぞれの時間、大切な人、多くの可能性...。嘆いていても仕方ないと思ってしまうほどに嘆いた1年。
大好きなミュージシャンを失い、悲しみに落ちた日もあった。
こんな時代に不安で悲しくて苛立って塞ぎ込みたくなるのは誰だって同じ。
自分たちにできることは何だろう。それは今まで通りにしてきた当たり前のことを当たり前にやっていくことなんだと思う。
隣にいる人のことを大切に思い、辛い時は辛いと言い、辛い人には優しさを伝えていく。そして考える。地球の裏側で暮らす人のこと、同じ不安な夜を過ごしている人のこと、大好きな人のこと。
僕らミュージックラバーに何より大切なのは音楽を聴いて踊ったり歌ったり、楽しむこと。
長生きしましょう。

最後にLANYのPaulがアルバム制作について言っていた
「僕たちが完璧になることは決してないし、誰も完璧になることはできない。だけど完璧を目指して努力することが僕たちを掻き立たせるすべてなんだ」というコメントのことを思い出している。

これはきっと人間の生き方すべてに言えることだと思いました。
諦めずに努力していきましょう。素敵な2021年になることを願って。
来年も素敵な音楽で溢れるように。

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真夜中って、なんか研ぎ澄まされますね。 音楽や映画などについて書いてます。