プレゼンテーション3

マンガ大賞受賞に納得「彼方のアストラ(5)」を読んだ

今だったらわかる。この作品がマンガ大賞を受賞した理由が。
1巻を読んだときは、どうしても馴染めず、続きを読むのをやめようかと思った。
あの時止めなくて本当によかった。

この作品、ウェブ連載だったそうだが、もしも週刊少年ジャンプで連載されていたら打ち切りだったかもしれない。
それぐらい序盤は、私としてはつまらなかった。

以下、ネタバレになるのを防ぐために、アマゾンリンクの後に感想を書く。


すべての伏線が美しくに回収されている。
たった5巻で、よくぞここまできれいに風呂敷をたたんだものだ。
必要以上に登場人物を増やさず、ほぼ閉鎖された環境の中で話を展開したからだと思う。

5巻を読み終えてから何度、1巻から4巻までを読み直したことだろう。
最初からここまで考えて連載を始めたのであれば、作者は天才。
今後の作品のハードルが上がって大変だろうな。

SFと言う設定も効果的だった。
SF設定でありながら、夢物語ではなく、なんとなく現実味を帯びさせているそれがこの作品をミステリー作品として成立させたのだと思う。

ただ1つだけどうしても納得がいかないことがある。
それは、全人類的な口裏合わせと言うことが本当に可能なのかということだ。
全人類が移住するほどの大事を、次の世代に全く伝えずに過ごすと言うことが可能とは到底思えない。
情報手段が限られていた大昔ならともかく、今であればSNSやら何やらいくらでも伝達する手段はある。

ただ10年20年単位では無理でも100年単位では可能なのかもしれない。
だって、たかが70年前のことであっても、本当のことを知っている人はほとんどいないから。
権力者が本気で歴史を改竄すれば、可能なのかもしれないなとちょっと思った。

とにかく面白い。
買ってよかったわ。

この記事が参加している募集

サポートしていただけたら、新しい本の購入に当てさせていただきます。