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この事例動画がすごい! 第1回「よろず支援拠点」

この事例動画がすごい! 〜担当者が語る成功の裏話〜
第1回 「よろず支援拠点」支援導入事例動画

よろず支援拠点_円マーク

企業のマーケティング担当者を始め、事例動画に関わる全ての人にとって
ヒントが溢れる“参考にすべき動画”をピックアップしてお届けします。


第1回は「よろず支援拠点」支援事例動画をピックアップする。
この動画を公開しているのは、「よろず支援拠点」の全国本部を担う中小機構という組織。
中小機構は経済産業省所管の独立行政法人で、国の中小企業政策を中核的に実施し、地域の自治体や支援機関、国内外の他の政府系機関と連携しながら中小企業の成長をサポートしている。(中小機構ホームページより)

その中小機構は、プロモーションに動画を積極活用することでも知られている。
たとえば『[感情崩壊] 今日、部下が会社を辞める。』や『社畜ミュージアム』など、公的機関に抱く先入観を打ち崩すような、尖った動画を次々公開し話題になっている。


もう一つの秀作動画

一方で、派手さはないが優れた支援事例動画も数多く制作しており、特に「よろず支援拠点」支援事例動画は秀作だ。

よろず支援拠点事業とは、中小企業・小規模事業者からの経営相談に対して、地域の支援機関などとも連携しながら対応するワンストップ窓口として、平成26年より国が各都道府県に整備しているもの。
「どこに相談すればいいのか分からない」という相談者に対して支援の手を差し伸べようという事業だ。

その支援を受けた経営者の言葉を通して、この事業を認知してもらい、サービスを受けるキッカケをつかんでもらう。それが支援事例動画の役割だ。
では実際の動画を、先ずは先入観なくご覧いただきたい。


中小機構 経営支援部 連携支援課(よろず支援拠点全国本部)で事業を推進する
鈴木 輔さんに、事例動画の狙いを伺った。

– 中小機構 経営支援部 連携支援課(よろず支援拠点全国本部)課長代理 鈴木 輔さん
「動画を見ていただくと分かりますが、よろず支援拠点は主に小規模事業者のお客様をターゲットとしています。
あまり小難しいことや大上段に構えたようなご支援をするわけではなく、パートナーやメンターとしてお客様と信頼関係を作って、二人三脚のような距離感でやっていきたいという思いが、全国本部にも現場にもあるんですね。
その意味では、実際に支援を受けてよかったと思っていただいている同じ事業者の方に語っていただくのは訴求力があると思います。」


寄り添うインタビュー

「酢之宮醸造所」支援事例動画から学ぶべき点を改めて挙げてみよう。

まず、きちんと支援先の人が見える。それも好感を持って見えてくる。
コーディネーター等の姿や支援の様子も、具体的なエピソードを踏まえ、実感を持てるよう紹介されている。焦点が絞られていて分かりやすい。
ナレーションの用い方も、ストーリーを優しく送り出すようで上手い。
女性ナレーター(声優)の個性ある穏やかな声が視聴者に寄り添うようだ。

そして何より秀逸なのがインタビューだ。
酢之宮醸造所の宮嵜夫妻は、支援の中で抱いた想いや、支援を通して実践した事柄を自然な表情で語る。
そこには推奨の言葉を超えた、支援への感謝が溢れている。

特に冒頭から4分程の、道の駅に商品を並べた際のエピソードを語る宮嵜博之さんのコメントは出色だ。
話し手と聞き手の関係づくりに成功した、プロのインタビュアーの仕事ぶりが見えてくる。

–鈴木さん
「インタビューは大切に考えています。
こちらが伝えたいことを意図的にお客様に話してもらうよう誘導した感じになると、嘘くさくなる。それはやらないほうがいい。よろず支援拠点の相談対応の基本姿勢が、まずはお客様のお話を十分に伺うことですので、インタービューにおいてもその姿勢を重視していますが、いざ撮影するとなれば、一段の配慮や工夫が必要だと思います。」


道しるべとしての事例動画

他の、「よろず支援拠点」事例動画を何本か拝見した。
そこで感じたのは、支援を求める人たちは経営で迷子になりかけている方々ではないかということだ。
同じ思いを抱える経営者へのメッセージとして考えたとき、この事例動画のすごさがしみじみと伝わってくる。

–鈴木さん
「そういう所に行くのは敷居が高いし、自分の会社の経営状況を人に話したくないしな…というような心理的障壁がすでにあったりする人や、そもそもよろず支援拠点の存在を全く知らない人にも認知してもらうのが、事例動画の大きな目的のひとつとしてあります。
ある県の拠点のトップの方が、『そもそもどんな人がいて、どんなサービスが受けられるか分からない店に、普通の人は行かない。本件で言えば、どういう人が相談員としていて、どんなふうに私の相談を聞いてくれるのかをイメージさせるようなプロモーションを取るべきだ』と言っておられました。まさにその通りだと私も思っています。」


メッセージとしての事例動画の可能性

よろず支援拠点の事例動画制作は、実は平成28年度の施策であり、現在制作はひと段落しているという。効果に問題があったということだろうか。

–鈴木さん
「広報に割ける予算にはおのずと限界があるなかで、今年はホームページのリニューアルに、今年はリアルでお客様に知っていただく機会を、など年ごとにいろんな施策をとらなければいけない。だから、たまたま今は、事例動画に取り組んでいないということですね。」
「事例動画は、展開力や浸透力に関しては、バズらせようと思って作っている動画に比べたら静かです。
基本的な視聴の動線としてはWebなので、そのリアクションは掴みづらいのですが、主催するセミナーで上映したり展示会のブースで流した時に『いい動画ですね』とお声を掛けていただくこともあります。」


メッセージを届けたい相手をしっかり思い描き、丁寧に作り上げたよろず支援拠点の事例動画。
鈴木さんは、事例動画の可能性について最後にこう語ってくれた。

–鈴木さん
「お客様が我々のサービスに感謝してくださっていて、それを言葉にするのに協力的なのであれば、事例動画という取り組みを進めるのは、新たに支援が必要なお客様にとっていいフックになると思います。
直近、中小機構では中小企業の皆さまの生産性向上を念頭に置いた、ITソリューションの利活用をテーマにした事例動画を相当数作成していますが、組織全体で見れば、こうした事例動画を使ったプロモーションは、今後も拡大していくだろうと思っています。」

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(※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2020年1月当時のものです。)


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