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日記 2/27〜3/5

果たしていつまで続くか分からないけれど、週ごとに日記を投稿しようと思う。紙のノートに書く式の日記はことごとく続かなかった。人に読んでもらえたら続くのではないかと思った。しかし「人目のあるところなら集中できるはず」と受験勉強するべく向かった図書館では漫画『日出処の天子』を読破してしまったし、スタバは誘惑が多すぎて集中できたことがない。はじまりから雲行きが甚だ不透明だが、更新されなかったときは飽きたか死んだかだと思ってあまり悲しまないでほしい。

月曜日
雪国から帰還。花粉で目がショボショボしたのでムスカごっこをする。春の予感がした。アライグマを探すべく近所を散歩をした。田んぼのあぜ道で仁王立ちして遠くの雑木林を眺めると、まるで自分が関東平野の覇者になったかのような錯覚が得られて楽しい。「今この瞬間だけは無敵だ!」という根拠も脈絡もない自信がむくむく湧き、しかし向こうから柴犬を連れたおばちゃんがやってきて、無敵の時間は春の一瞬のうちに消えた。

火曜日
お友達から「今日って学校ある説マ?」みたいなLINEが届く。必ずくるようにと昨日先生からも連絡が来ていたはずなのに。学校の廊下の本棚の赤本に大量に挟み込まれていた謎のコラージュは彼女のお手製だった。高校で起きた不思議事象の4割くらいは彼女とそのお友達によるものだった。この通り彼女は自由で才能に溢れているけれど、受験→進学→就職みたいなことにはたぶんめっぽう弱いだろうと思う。担任が「出頭しろ」と電話したそうな。

水曜日
卒業式。お友達とご飯を食べる。そういえば三年間で友達とご飯に行くということをあまりしなかった。学校の周りに飲食店が少なく私たちのフットワークが重いということもあるが、入学したときからコロナ禍に置かれていたということもある。さまざまな観点でいろいろギリギリなお友達も無事卒業した。お友達の一人が「我々を世に解き放ってしまった我々の母校の責任は重い」と言い出した。まるで私まで化け物か何かの一味のような言い草でなんか癪だ。

木曜日
祖母宅に卒業証書と皆勤賞の賞状を持っていく。大学の合格通知書を見せたときより喜ばれた。昔は皆勤の子の親も表彰されたらしい。大学入学に必要な書類を送付しに行く。とりあえず進学先があって、高校を卒業できたことに肩の力が抜ける感じがある。高校はものすごく楽しかったし、みんな少しづつ変人だけど友人と呼べる人がけっこうできた(これは中学時代を思うとかなり驚異的だ)。でも同級生の(ともすると自分自身の)我の強さというか、自意識めいたものにあてられて、変な緊張感をいつも感じていた。(でもそれはずっと昔の高校生も感じていたし、たぶんそれを感じているのは君だけじゃないよ、と教えてくれたのは大昔からこの高校にいるというおじいちゃん先生。教えてもらってほっとした。)

金曜日
平安系の顔をしているので絶望的にスーツが似合わない。お友達に「束帯着た方がいい」と言われて草。
表現の自由は守られるべきだという大前提の上で、私たちは表現物の行く先を見続ける責任と根気強さを持つべきなのかもしれない。白紙は私たちの働きかけがない限り白紙だ。白紙という状態に飽き足らずそこに何か書きたく(描きたく)なってしまう欲望は創造力と言い換えることも出来るが、私たちは表現するとき白紙の無謬を捨て去ってまでその選択肢を選ぶ。何気ない日々の発言だって然りだ。しかし私たちは貝のように一言も発さず生活することはできない。人間がそこに複数いたら手段としての表現による何らかの働きかけが発生することは避けられない。けれども働きかけはときに暴力を伴う。表現することの尊さや不可避さの上にあぐらをかくことはしたくない。私たちはいつも正しい側に立てる訳ではないけど。正しい側とそうでない側という安直な対立構図も複雑な表現の場では成立しないだろう。表現が自由であるという前提の上で、表現と、それを選んでしまう私自身の暴力性を見据えたいと思う。表現に限らず複雑性の中に身を置きたい。そんなことを考えていると言葉がうまく出なくなってしまうような感じがあるのだけれど。

土曜日
昨日書いた日記の文章量に戦慄する。はじめの数日に力みすぎて自らハードルをあげてしまい、それ以降続かないという三日坊主への典型的道筋を辿りつつあることにおののく。あまりまじめな話なんかしないほうがいいと思う。四割くらい詩が完成して、しかしこの方向性でいいのかと不安になり出すのもこの四割くらい。

日曜日
道の窪みに蛍光イエローのチョークの粉みたいなものが溜まっていてなんだろうと思っていたが、ひょっとして花粉?お友達と卒業旅行に偕楽園に行きたい(チョイスがしぶい)と思っていたが、こんなに目がしょぼしょぼするようでは外出も躊躇われる。でも春は春だというだけでうれしい。血湧き肉躍るとはこういう感じかもしれない。

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