金なさ過ぎて年始挨拶のとき取引先が持ってくる手土産のお菓子食いまくってギリ生きてる

自殺をする人間は、一分一秒この瞬間に未来10年分の不安をぜんぶ背負ってしまうような人だという。へ~言い得て妙ですねと思う反面、逆に背負わない人間っているのか…?と考えながらエアロバイクを漕いでいる。
沖縄に行きたいならバスではなく飛行機に乗らないとダメなように、将来辿り着きたい場所への道筋は戦略的に組み立てなくてはいけない。チケットを買う動機に「不安」があってもいいじゃんね。夢だけ見て生きていくには、人間は脆すぎるので。隣で同じようにバイクを漕ぐ、ガリッガリのおばさんが2本目のペットボトルをがぶがぶと飲む。はーあついね。

金がない。ま~金がない。月末に引越しを控えているんですが、家賃が上がるうえに敷金礼金仲介手数料、それに加えて今の部屋にはない書き物机だとか、フロアタイルだとか、でっかい木だとかを置きたくてもうとにかく物欲が爆発し結果金がない。とりあえず飯から減らすか~と思い、昼ご飯はプロテインと干し芋、晩ご飯はなんかやっすい野菜蒸して食べている。ジリ貧。くだらない飲み会は断って、こうしてエアロバイクを漕ぐ。考え事にも集中できるし、正月太りも解消されるし。係員のお兄さんが、壁にかけられたテレビを退屈そうに観ている。

芥川賞をとるゼ!!と言いながら、私は一日の大半を不動産動かすことに費やしている。時間と脳のキャパを犠牲にある程度のおちんぎんをもらい、夜な夜な文字に還元する。…このやり方を選んだのは決して不安からじゃない、リクルートスーツを着て丸の内をうろうろ歩き回っていたころの私には確実な勝算があったはずなのだが。どこにも行けないエアロバイクを漕いでいるだけなんじゃないか、という不安がふと脳裏によぎる。

更衣室で汗だくのまま少し涼んでいたら、さっきのおばさんが入ってきた。この人いつも居るんだよな。脱いだTシャツからこぼれた、かぼそい流木のようなあばらに目が吸い寄せられる。めちゃくちゃ太く短く生きようと思う。

!!???!?!???!?!?!