見出し画像

処世術を変える時

「自分を傷つけないために殻に籠る」

サッカー選手の鈴木武蔵さんが、子供時代の処世術について書籍「ムサシと武蔵」の中で、こう表現されていました。ハーフであることで周囲から心ない言葉を投げかけられる中で、殻を作って自分を守る。そのクセは大人になってからも続いていたそうです。

けれども、その殻を破れたのは、殻にこもっていることに気づきさりげなく見守ったり、心の奥にあるやる気や負けず嫌いな部分を刺激して機会を与え続けたり、フラットに接し続けてくれたりした人たちの影響だと言います。処世術が変わっていった瞬間があったのです。


子供時代から思春期時代は、マイノリティに対して悪気なく、けれども残酷に、心無い言葉を発する場面は少なくありません。学校生活の中で協調性、同調性が重んじられていた時代では、その延長で、「大勢と違う」ことは良くないことだと勘違いする風潮があったのではないでしょうか。けれども、多様な人たちとごちゃまぜな環境で過ごしていたり、そのような情報を得ていれば、「個人個人」の違いに目がいくように変わってきます。


地方出身者として、上京して、多様な人たちにもまれたこと、アルバイト先で年代や学歴や経験が多様な人たちと一緒に働いたことは、私が最初に経験したダイバーシティの環境でした。その心地よさは今でも肌感覚としたり、同調や協調を強いられたり、あまりに同じような属性の人たちとばかり集まっていると、心がざわざわとしてくるのです。

また、子供辞退の処世術は「笑ってやりすごす」ことでしたが、大人になって少しずつ変化させています。笑ってやり過ごそうとしたときに、そのままにせずに、本心を聞いてくれた人や、本音を言えるようになるまで見守ってくれた人たちとの出会いがありました。

処世術は、成長とともに、変わっていくのではないでしょうか。