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インクルーシブ教育に学ぶ、気づきを深める対話

文部科学省によると、障害のある幼児児童生徒の自立と社会参加を目指した取組を含めた、「共生社会」の形成が重視されています。これまで十分に社会参加できなかった障がい者などが積極的に参加できる社会を目指すことが明文化されているのです。
参考:文部科学省WEBサイトより

インクルージョン研究会で紹介された書籍「差別のない社会をつくるインクルーシブ教育」では、実際の教育現場での実践法や、貧困等を経験した方の体験談が紹介されています。

その中でも、職場や地域活動において、すぐに役立つ内容をご紹介します。

「選択肢を増やす」


ペアになって対話をする時間の中で、以下の3つの選択肢を設定し、日によって選んでもらうというエピソードが紹介されていました。
・自分で相手を探したい
・あらかじめ相手が決まっているとありがたい
・今日は対話のきもちではない

大人も、選択肢が増えると楽になるのかもしれません。数年前にあるワークショップを担当した際、「参加したいけれど、今日はそれができないので見学したい」という申し出を受けたことがあります。お聞きすると、ワークショップをやっている場には参加したいけれど、自分が誰かとペアになったりして参加するのは今日は難しい、ということだったのです。誰にでもそのような時はあるかもしれませんね。

「多様な性について考える機会を設ける」


小学生たちが「男らしい」「女らしい」と言う言葉に違和感を持った時に、担任の先生が話し合う場を設定するというエピソードがあります。その中で「男女関係ない、と言いたいけれど親には言えない」と言う声が上がったという話です。つまり、親の発言を否定することが難しいということなのです。そこまで深く考える時間となったんですね。

大人も、違和感を持った時に話しあう時間を設けると、相互理解が深まり齟齬が減っていくのかもしれません。どのような言動に違和感を感じたのは、その背景は何だったのか、否定せずに考える時間があるとよいですね。

先日受講したLGBTオンラインセミナーでは、講師からの質問に対しての回答が「講師へのダイレクトメッセージでよい」とアナウンスがありました。そこで一斉にメッセージで回答が出たことがあったのです。つまり、全員の前で発表するには難しさを感じるけれど、講師にはLGBTに関して思っていることを共有したいし、それを元に、言動の背景についても全員で話し合う時間にしたい、と考えた方が多かったのです。
気になるテーマについて、セミナーに参加し対話をしてみるのもいいですよね。

インクルーシブであることは、一人一人に注目されることとなり、健常者や大人も含めて誰もが生きやすくなることにつながっていきます。