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『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.84「カレーライス」

レギュラーになれた人、なれなかった人。レギュラーになれた人というのは、なれなかった人の分まで責任を持たなければならない。そう考えたら、自分はどこで戦いたいだろうか。

教科書で読んだ物語は、あの日の学校にタイムスリップさせてくれる。給食の味が、放課後の空気が、先生や友だちの声が、よみがえってくるーー。学習教材にたびたび登場する著者の作品のなかから、「カレーライス」「あいつの年賀状」「もうひとつのゲルマ」の文庫初登場三作を含む九つの短編を収録。

野球のルールをつくったのはアメリカの誰だったろう。いや、イギリス人だっただろうか。野球の歴史など徹夫は何も知らないが、ホームベースという言葉をつくった誰かさんに「ありがとう」を言いたい気分だった。
家ーーだ。野球とは、家を飛び出すことで始まり、家に帰ってくる回数を競うスポーツなのだ。
ー卒業ホームラン よりー

少年野球の監督をやることになった父親と、下手だけど真面目に練習をする息子。6年間、一度もレギュラーになれることはなく、最後の試合もベンチ入りできなかった(させてやれなかった)。それでも「野球が好きだから、中学校に行っても野球部に入る」と言った息子。野球は、家に帰ってくる回数を競うスポーツ。全国の頑張っている野球少年に、この言葉を届けたいと思った。

誰もがレギュラーになれる訳じゃない。だから、レギュラーの人は、レギュラーである自覚をもってプレイをする必要がある。これは何も野球だけに限った話ではなく、仕事や人生においても同じなのではないだろうか。

今の仕事をやりたくてもやれない人もいる。その会社に入りたくても入れない人もいる。その環境に身を置きたくても置けないひともいる。書きたくても書けない人もいる。今日を生きたくても生きられない人もいる。そう考えたら、僕らはみんなレギュラーに選ばれた人たちだ。そして選ばれなかった人もいる。その人たちの分まで今、背負えているか。

改めて自問自答とともに、今を生きられる感謝の気持ちを持って生きよう。そう思った。

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