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今、コオロギが注目されるのはなぜ?①

MNH広報部の阿部です。
今回は、「コオロギが注目されるようになった理由」がテーマです。

近年、世界中でコオロギが次世代の食材として注目されていますが、そもそも何がきっかけで脚光を浴びるようになったのでしょうか?そもそも、昆虫には色々あるのに、なぜコオロギなのでしょうか?そんな疑問にお答えしながら、昆虫食そしてコオロギについてお話したいと思います。

国連食糧農業機構が昆虫食を推奨

昆虫食が世界中で注目されるようになったのは、2013年に国連食糧農業機構(FAO)が発表した報告書がきっかけです。報告書によると、『昆虫食は、牛や豚などの家畜に比べ、低コストで飼育ができ、飼育中に排出される温室ガスが家畜よりも少なく、地球環境に負荷をかけない食品である』と昆虫食を世界の食糧問題の解決策の1つとして推奨しています。

この報告書に注目して、はじめに大きな動きを見せたのがヨーロッパです。2018年には、欧州連合(EU)がノヴェルフード(新食品)の1つとして昆虫を規定しました。ノヴェルフードとは、1997年以前にはEU加盟国で消費されてこなかった食品のことです。

昆虫を食べ物としてEU全域で流通、販売できるようになったことで、ヨーロッパではスタートアップ企業が名乗りを上げ始めました。特に、昆虫国先進国と呼ばれるフィンランドでは、昆虫を使用した食品が多数流通しています。アメリカでも、コオロギを原料とするプロテインバーが健康食品として注目を集めました。世界の食用昆虫市場は急成長し、昆虫食品を扱う企業は増える一方です。昆虫食市場の成長を見込んで、東南アジアに生産拠点を置く企業も出てきました。

昆虫食に再び注目した日本

そして少し遅れはとったものの、日本でも2020年5月に無印良品からコオロギせんべいが発売されました。これによって、国内でもコオロギが注目されるようになったのです。

とはいえ、日本では昆虫食と無縁だったわけではありません。かつて日本では、昆虫を食べる文化がありました。例えば、イナゴや蜂の子などがあります。これらの昆虫は栄養補給だけでなく、イナゴは稲を守るため、蜂の子はスズメバチの駆除を守るためにも重宝されていました。特に、長野県は山に囲まれているため、魚からたんぱく質を摂ることが難しかったこともあり、昆虫が食品として使われることが多かったのです。

しかし、現在は全国各地の食材が気軽に入手できるため、昆虫食を選ぶ必要性も薄れていました。食べるとしても、珍味や高級食材という扱いがほとんどです。かつては昆虫食が珍しくなかった地域でも、今では一度も食べたことがない若者も少なくありません。

昆虫食が次世代食材として注目されるのはなぜ?

2030年には世界人口が90億人、2050年には100億人になると言われています。世界的な人口増加に伴い、動物性たんぱく質をどうやって確保するかが深刻な問題です。仮に、主な動物性たんぱく質をこれまでと同じように牛や豚、鶏のみにすると、将来的に数億頭の家畜が必要となるでしょう。もはや、牛や豚、鶏などの動物性たんぱく質では、今後の人口増加に対応できないのです。

食糧不足問題を解決するには牛や豚などに代わる食材が必要なことは理解できたものの、なぜ昆虫食なの?と思う方もいるかもしれません。そこで、昆虫食が注目される理由について解説します。

まずは、エサや水が少なくてすむことです。牛や豚、鶏は多くのエサや水が必要ですが、昆虫は、エサの量が圧倒的に少ない上、水も飲み水だけあれば十分です。牛のように牧草を育てるための水は必要ありません。

2つめは、可食部が多いことです。例えば牛は、食べられる部分は全体の重量の半分ぐらいですが、昆虫は可食部が多く、ロスがありません。加工方法によってはまるごと食べられるものもあります。

3つめは、環境負荷が少ないことです。牛などのはんすう動物はゲップをするのですが、ゲップに含まれるメタンは、地球の温暖化を促進すると言われています。その点、昆虫は温室効果ガスの排出などの環境負荷も少なく、環境にやさしいのです。また、牛を放牧するためには牧草地を確保する必要があるため、森林を伐採することにもつながります。昆虫の養殖ならば、森林を伐採する必要もないので、環境保護にもなるでしょう。

4つめは、成長が早いことです。牛や豚が生後30ヶ月~6ヶ月後に出荷されるのに対し、昆虫は孵化から1、2ヶ月程度で成虫になります。少量のエサ・水で、環境負荷が少ないということは、養殖しやすいということです。さらに、成長が早い分、出荷回数も多くなります。つまり、農家が安定した収入を確保できるということです。土地を持たない家庭であっても、昆虫の養殖ならば起業しやすいといわれています。昆虫食は、人口問題や環境問題だけでなく貧困問題の解決にもつながる、まさに次世代の食品といえるでしょう。

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