いつも寄り添う本。
って、皆さんはありますか?
私はというと、今まで特に無かったんですよね。その時の気分で選んで、通学リュックの前ポケットに入れて、気分転換に読むって感じで。
その本も毎日くるくる変わっていくし、新しいもの、昔買ったもの、エッセイ、詩、短歌、長編、短編……ジャンルも色々だし、読むときはガーッと、読まないときは全然本にも触らない。
そんな中で、ここ数ヶ月ずっとリュックに入れっぱなしなのは、高野文子さんの「るきさん」。
確か去年の6月に買って、日常を描いたほんわかしたマンガだなーって思ってて。
その印象がここ数ヶ月で変わりつつあって。上手く言えないんだけど、「るきさん」にあるシュールさにハマってる。
スーパーでお米買うはずだったのに何故かステーキ肉を買ってしまって、お米が買えなくなった、るきさん。
このエピソードでのるきさんの表情といい、色使いといい、なんとも言えない悲壮感が漂っている。
こういう話って、後から聞いたら笑い話になるけども、実際に起こったときは焦るというか、あのるきさんの表情になると思うんですよ。(ホント読んでもらいたい)
だから笑えるけども、笑えない、そんなシュールさが心地よいというか、ちょうどいい。
最近、村上春樹さんの「村上春樹 雑文集」をちょこちょこ読んでるんですが、その中で本と自分の変化について書いていて。
ざっくり言うと、本を読むこと(あるいは音楽を聴くこと)で、その時の自分の考え方や精神の成長を知ることができる。その中で、いつ触れても印象が変わらないものって珍しいそうで。
確かにそういう作品って中々無いのかもしれない。本でも音楽でも年齢や環境によって感じ方が変わる。
でも、おそらく「るきさん」はいつ読んでも印象が変わらないんじゃないかって、思う。
どんな時でも寄り添ってくれそうな、そんな本って「るきさん」なのかもしれない。