変わらず、変わりつづける: Parco [渋谷]

何か月かぶりに銀座線。終点駅に降り立つ。

ホームに降り立つと、目の前には広々とした空間と長い一直線の改札への道。ずいぶん前に訪れた欧州のターミナル駅を錯覚させる。いや、自分が目指していたのは渋谷である。ここは東横線のホームか、いやいや東横線はとっくの前に地下にもぐっている。そもそも自分が乗っていたのは銀座線だ。

そう、銀座線の渋谷駅はリニューアルしていた。さらに、改札を出るとこれまでにまして迷路のような通路が待ち構える。

普段以上になれない渋谷駅を進むと、見慣れない案内板が目に付く。

「渋谷スクランブルスクエア」

そう、新しいビルが一つできたのだった。渋谷のヒカリエもまだ未踏の自分にとって、またひとつ未踏の山が一つあらわれた。

渋谷はここ数年大きく変わった。センター街と109に代表される10代の流行先端地から、オトナが遊べるまちへ。心なしか駅前の人ごみの雰囲気も以前に比べると何か違うような気もしてくる。

そんな渋谷の駅前、スクランブル交差点を離れて、原宿方面へ歩き出す。西部の百貨店をを抜け、坂道を登り始める。左手には、喧騒の中ひっそりとたたずむ山手教会が見えてくる。このあたりは自分のまだ知っている渋谷の風景が残っている。

そして、その先。今日の目的である。渋谷パルコ。

パルコに来たのは何年ぶりだろうか。でも、変っていない。パルコはパルコだ。

私の中で、渋谷は最先端の実験場だ。若いエネルギーが集まって、他のどこにもないカルチャーを生み出し続ける。日本でも稀有な場所だと思っている。

渋谷パルコはその象徴だ。駅前が変わろうと、運営が変わろうと、時代の最先端で攻め続けている。今も変わらず最先端の実験場だ。それをひさしぶりに感じることができただけでも今日はよかった。

待ち合わせの後、帰り支度をしながら、ふと窓の外に目をやる。最上階、カフェから一望する春先、夕暮れの渋谷は、ちょうど中国からのウイルスの影響かどことなく静けさを漂わせていた。


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