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北欧の小さな日本【芋頭monkeyのオーロラハント#6】

このnoteは芋頭monkeyのオーロラハント#5の続きです。

北欧上陸

ロンドンを発って数時間、ついに北欧の大地に上陸しました。
ヘルシンキヴァンター空港です。

フィンランドの首都、ヘルシンキに到着しましたが、今晩はここでは泊まりません。
僕がフィンランドに来た目的はムーミンでも北欧雑貨でもなく、北極圏でオーロラを観ることだからです。
ヘルシンキはフィンランドでも南に位置します。北極圏はもっと北です。

北極圏の入り口の街、ロヴァニエミをオーロラハントの拠点とする予定です。
そこまでは飛行機なら1時間ほどで行けますが、今回は寝台特急で12時間かけてのんびり行くことにしました。

つまり、あとヘルシンキにいられるのは寝台特急の出発する23時までの半日弱ということになります。

ロンドンを朝に出たので昼から観光できるかな、なんて思ってましたが時差を忘れてました。ロンドンよりヘルシンキは2時間先をいっています。
まさに「てことはもうフィンランド時間ではもうすぐ2時だ」状態です。
[参照:水曜どうでしょうヨーロッパリベンジ]

とはいえヘルシンキで観たいものはそう多くありませんでした。急がず動きます。

ヴァンター空港からヘルシンキ中央駅までは電車で移動しました。
ヘルシンキもロンドンと同じくゾーン制で料金が変わります。
ロンドンほど入り組んでないので仕組みはわかりやすいです。しかしフィンランド語はサッパリわからないのでそこだけ苦労しました。Google Maps上の駅名が読めないからです。

購入時から24時間、バス、トラム、鉄道が使い放題になるデイチケットがオススメです。空港から中央駅まで移動し、ヘルシンキ中央部を観光するならゾーンABCのデイチケットを買いましょう。デザインも可愛いですよ。

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やはり北欧、寒いです。
9月ですが長袖+パーカースタイルでもまだ寒さを感じるほどです。
車内でメインバッグからユニクロのウルトラライトダウンを取り出して重ね着しました。
コンパクトなのに暖かい、バックパッカーの必需品かもしれません。

ヘルシンキ中央駅に到着して気づきました。
雨です。
そりゃ寒いわけですよ。
そして雨というのはオーロラハントをする僕からしたら致命的です。まさに暗雲たちこめます。

ロヴァニエミに着く頃には晴れることを願いつつ、折りたたみ傘片手にヘルシンキを歩きます。

最初に到着したのはヘルシンキ大聖堂です。
真っ白な大聖堂を観るとなぜか神聖な気持ちになりました。

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続いてウスペンスキー寺院に到着です。
先ほどの大聖堂とうって変わって煉瓦造りです。ロシアの影響を大きく受けています。

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海上要塞

さて、次はスオメンリンナ要塞です。
フィンランドの沖合いに浮かぶ海上要塞であり、数々の戦争を経験した世界遺産です。
ヘルシンキの港からフェリーで行くことができます。なんとこのフェリーもデイチケットで乗れてしまいます。

15分ほどの船旅。バカ揺れます。
雨は弱まったものの、風が凄まじい勢いで吹き始めたからです。傘なんて開けば一発で壊されるレベルです。
せっかくなので船の先頭からフィンランド湾を眺めてみますが、暴風でよくわかりません。
無人島に向かうよゐこの気分です。

要塞に上陸しました。
歩いて進むと教会や小さな街並みが見えてきます。洒落た飲食店もあります。
奥へと進めば石造りの要塞が見えてきました。
予備知識なしで進んでいるので次に何が現れるか分かりません。しかし、初めて来たはずなのに既視感を覚えました。
おそらくこの街並みや要塞がまるでドラゴンクエストやファイナルファンタジーのようなRPGの世界そっくりだからでしょう。
西洋風のこじんまりした街、酒場や教会、古びたダンジョン。イヤホンからDQのサントラを流せば気分は勇者です。

迷路のような巨大要塞を抜けると反対側の海が見えます。
そこには大砲が並んでいました。
暴風だったこともあって周りに誰もいません。どこまでも広がる大海を独り占めです。
こういう時は胸に溢れる想いの丈を叫ぶものと相場が決まってます。

雨やめえええええええ!!!

ラ!の人の真似ではありません。
心からの願いです。
だってオーロラ見るためにお金貯めて遥々来てるんですから。
そんな僕の渾身の叫びもかき消すほどの暴風に負け、要塞探検からは引きあげることにしました。またフェリーで帰ります。

ヘルシンキの港に帰ってきたころには夜になっていました。
そろそろ夕飯を食べます。
北欧は税率も物価もとんでもなく高いのですが、今夜は仕方なく外食です。

小さな日本

ヘルシンキには日本人憩いの場といえる食堂があります。
『Ravintola KAMOME』、和訳すれば『かもめ食堂』です。
聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう、映画「かもめ食堂」の聖地です。
今晩はそこで夕飯にしましょう。

店に入ると、そこはもう日本でした。
店内BGMはジブリ、日本人客でほぼ満席、店員さんもカタコトながら日本語で接客しています。映画出演者のサインなどもありました。
さらに、欧州では珍しいことに、お水が無料です。箸もあります。メニューも日本語表記です。
ランチメニューにはラーメンやカツカレーまであるようです。
ここはまさに北欧に存在する小さな日本でした。

席につくと店員さんがメニューを持ってきてくれました。
久しぶりに日本語を話せるチャンスにわくわくします。
店員さん、開口一番

「Here is your menu.」

日本語じゃないんかい。

実はこういった経験は初めてではありません。
僕は両親ともに日本人の純ジャパなのですが、顔が少し濃い目で東南アジアあたりの外国人に間違われることが偶にあります。だいたいミャンマーがタイあたり。

もう英語で通すことにしました。
注文はフィンランド名物のミートボールにしました。
こちらのミートボールにはなんと真っ赤なベリーソースがかかっていました。

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これがとてつもなく旨い!!
ベリーの甘酸っぱさとミートボールの塩気がこんなに合うとは。

美味しい料理と耳に入るたくさんの日本語。
なんだかホッとします。
少しホームシックにもなりかけます。
かもめ食堂はヘルシンキを旅することがあれば是非訪れることをオススメします。いいところです。

ゆっくりご飯を楽しんでいたら、夜もどっぷり更けていました。
そろそろ中央駅に戻って寝台列車を待つことにしました。
トラムに乗って戻ります。

サンタクロース特急

さて、先述の通り、フィンランド南部のヘルシンキから北極圏入り口のロヴァニエミまでは寝台特急でゆっくり行きます。

この寝台特急はサンタクロース特急とも呼ばれます。可愛いですね。

23時を回ったヘルシンキ中央駅には人もまばらでした。そこに二階建てで白と緑の寝台特急がやってきました。

僕が乗ったときは座席は大きく分けて三種類あったように見えます。
まずは普通の座席。これは寝台ではないです。深夜バスと同じような過ごし方をすることになりますが価格は安いです。
次はトイレとシャワー共有タイプの寝台。
各車両の一階部分がだいたいこのタイプでした。車両につき2つずつくらいシャワーとトイレがあって、それを車両内の寝台で共有する形になります。
最後は個室タイプの寝台。各車両の二階部分がだいたいこのタイプでした。個室といえど寝台は二段ベッドなので相部屋になることもあります。しかし、トイレもシャワーも部屋ごとについています。

今回、僕は早めに予約していたおかげで最後の個室タイプがかなり安く手に入れられました。
しかも、閑散期なのか、相部屋にもならなかったので完全個室でした。
基本的にドミトリー暮らしで共同生活を送ってきたこの旅で貴重なプライベートタイムを手に入れました。運がいいです。

部屋はそんなに広くはないですが、鍵付きですし、清潔で過ごしやすい空間でした。

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ベッドの向かいにトイレがあり、そこにあるレバーを操作することでトイレの裏側に設置されているシャワー室が現れます。
こういうトランスフォームは男の子心をくすぐられますね。

出発してしばらくすると、部屋に切符チェックが来ます。印刷したチケットを提示しましょう。

あとはシャワーを浴びて寝るだけです。
タオルもお水も用意されていました。お水のペットボトルにはサンタさんの絵が描かれています。
初めての寝台特急でしたが、ぐっすり眠ることができました。

翌朝、窓からの柔らかな陽射しで目を覚まします。出発した時はヘルシンキの都会が見えていた窓には美しい北欧の森と川が流れていきます。世界の車窓からって感じ。

まだロヴァニエミ到着まで時間があったので食堂車で朝食を頂くことにしました。
日本で食堂車なんてほぼ見かけないので、とても良い経験です。
ひとつの車両がカフェのようになっていました。

注文をしようとしましたが、問題発生です。
メニューが全てフィンランド語で書かれていて発音の仕方がわかりません。どんなメニューなのかも分かりません。
仕方がないので適当にお手頃な価格のメニューの文字をスマホに打ち込んで画面を見せて注文しました。困ったら筆談です。

出てきたのは温かいミートパイでした。窓を流れる北欧の風景を眺めながらの朝食は穏やかな気分になれました。

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朝食を終えて寝台に戻るとロヴァニエミ駅到着まであと僅かとのアナウンスがありました。
荷物を準備して下車します。
ロヴァニエミ駅はヘルシンキ中央駅に比べるとこじんまりとした駅でした。周りにも何もありません。気温もさらに下がったように感じます。

ここから、北極圏の入り口のロヴァニエミにて本格的にオーロラハント開始です。

おまけ動画

ヘルシンキ編のハイライトを短い動画にしました。
暴風のせいでほとんど声が収録できてなかったりしました。残念。


次回予告

今回は起伏が少なめでしたね。
次回から遂にオーロラハント開始です。
陰ドア野郎が宇宙の神秘を目撃することはできるのか。
そこに絶望的な報せがやってきます。

よろしければサルにバナナをくれてやってください。