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子どもを育てるのは親?それとも社会?


保育園落ちた日本死ね!!

一人の働く女性の心の叫びが、国を動かしたのは、2016年のこと。

それから5年経って、多くの人の努力で状況は改善しつつあるけど、いまだに待機児童問題は解消されていないようです。

この子育ての問題は、保育園さえ作ればいいという問題ではないと思っています。僕が本を出版しようと思った動機の一つはそこにあります。

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年金問題を話すときには、「1人の高齢者を●人の現役世代で支えている」という話をよく聞くのに、「1人の子どもを●人の現役世代で支えている」という数字を目にすることがほとんどない。
1人の女性が産む子どもの人数しか気にしない。

現代の社会では、高齢者の生活は社会が助けるものだと考えても、子育てについては社会全体で助け合うという発想がなくなってしまったように感じる。
子育ての負担が減っているというのは、「親」の話ではなく、「社会」の話だ。社会が子どもを育てなくなってしまった。
現代を生きている僕たちは、老人の割合だけを見て、負担が大きいと文句を言っていて、子育ての負担が減っていることを忘れている。
将来の負担を増やさないためには、子どもを育てる負担を増やして、人口バランスを回復させる必要がある。

誤解してはいけないのは、減っているのは社会の負担であって、親の負担ではない。親の負担はむしろ増えている。

昔の日本で、多くの子どもを育てることができたのは、親だけではなく社会も、子どもを育てる負担をしていたからだ。この「負担」は金銭的な話ではない。親以外の家族、近くに住む親戚、地域の人々が子どもの面倒を見るなど、地域社会の中で子どもを育てようとしていた。社会全体も子育てにもっと協力的だった。

現代の日本では、地域社会に子育てを負担してもらえることが少なくなった。そして、社会は子育てに協力的どころか寛容さを失っている。

小さい子どもを連れて外出するときの周りの目は厳しい。たまに温かい目を向けられたときに、とても有り難いと感じる。子どもの声がうるさいという理由で、公園の使用が制限されることもある。土地の資産価値が下がるという理由で、子育て支援施設の建設に反対する人々もいる。最後の例などは、まさに経済の手段と目的が逆転してしまった例だ。

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自著「お金のむこうに人がいる」より

社会全体で子育てができる社会を作りたいです。


『お金のむこうに人がいる』―元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた予備知識のいらない経済新入門―

書影


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