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「透明」という究極のUIデザイン

「操作している意識もなく、自然に利用できるのが究極のUIデザインだ。」

僕は新卒でsoftdeviceというデザインコンサルティングの会社でキャリアをスタートしました。この会社は、UI/UXデザインいう使いやすさのデザイン、ユーザー体験のデザインという領域で有名な会社です。

業務は「製品デザイン」と「先行デザイン」の大きく2種類がありました。
「製品デザイン」は実際に半年後や1年後に発売される製品のデザインです。DVDプレイヤーの画面デザインとか、冷蔵庫のタッチパネルの画面デザインとか、デザインしたものが実際に世の中で使われるお仕事。

もう1つの「先行デザイン」は5年後とか10年後の未来に求められる製品のコンセプトデザイン。5年後のデジタルカメラ、10年後のミュージックプレイヤーなどなど、実際にすぐ製品になる訳ではないのですが、未来に向けた道標をデザインするお仕事。

2002年ごろ、未来のテレビをデザインする先行デザインプロジェクトに参加させていただきました。そのプロジェクトでは、テレビに向かって指や手でジェスチャーすることで、様々な操作ができるUIを実際に試作していました。これぞ未来!という感じ。 ある会議で、ジェスチャーの設計(どのジェスチャーでどの操作をできるようにするか?)について議論している時に、プロジェクトをリードしていたスーパーデザイナー(今はこの会社の社長!)がこんなことを言いました。

いかに自然なジェスチャーで操作ができるかが大事。
究極のUIデザインは、操作しているという意識もなく自然に使える、限りなく「透明」なデザインだと思う。

透明なデザイン...
「操作」というものの存在を感じないくらい自然に使えるのが究極のUIデザインだとのことでした。ジェスチャーや音声での操作は、生活の中で普段行っている作法をそのまま操作に置き換えることができるので、より透明なデザインへ近づけることができる。

UIデザインは「ユーザーが自然に、そして気持ちよく使えるようにデザインをする」ことが大切なのですが、その存在に気付かれなくなるくらい透明な状態を目指すという考え方に衝撃を受け、そして目指すべき頂を学ばせてもらった瞬間でした。

その後、タッチパネルによって、ものを触るように操作ができるようになり、今では音声で人に話すように操作をすることが当たり前になりつつあります。どんどん透明になっていくUIデザインにワクワクし、未来の生活を妄想する今日この頃です。

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