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初対面のジジイは13歳少女にヘビを食わす


タイトルだけ見るとやばい事件のようだが、
これは経験談として話す。
ザ・ノンフィクション。

私が中学2年生の時だった。
学校行事で体験学習があった。

その日は班に分かれて、
各班で農家のお家に訪問し、いろんな作業を手伝って、
素敵な汗を流そうじゃないか!という日だった。

もちろん農作業など未経験、
めんどくせーな、などとは思っていなかった。
割と楽しみにしていた。

私たちの班は5人。女子2人、男子3人。

訪問先のおじいちゃん、おばあちゃんに挨拶をし、
おじいちゃんはさっそく畑に行くぞ、と
みんなを車に乗せて少し離れた畑に向かった。

そんなに大きな畑では無かったような気がする。

どんな作業をするんだろう、大変かな、
とワクワクしながら待っていたが

黒いビニールシートを持ってきた。

こうするやつ。↓


この、苗を出す穴を開けて、と言われた。

土の上にビニールを敷いて
一定の間隔を開けて穴を開ける。

穴あけはすぐ終わった。

するとおじいちゃんは、

よし!終わりだ!

と言い放った。
え?まだ30分もいないんじゃない?


おそらく他の班は作業真っ最中であるが、
マイペースなおじいちゃんは、
近くにきれいな川があるから見せてあげる、
と、私たちを山の方へ連れて行ってくれた。

連れて行ってくれた川は本当にきれいだった。
遠くにはさらに高い山が見えて、
水面はキラキラしていたのをよく覚えている。

川からもう一度畑に戻るらしく、
その道中には魚の釣り堀があり、そこで車を止めた。

私は後部座席右側に座っており、
一旦車から降りようとした。

ドアに手をかけ開けようとする。
バンだったので、スライド式だった。


ガコ!!!!!!!

ものすごい音を立てて、ドアが外れ落ちた。

もう一度言う。外れて落ちた。ドアが。

訳がわからない。

私はとんでもない怪力とかではない。
力はある方だがドアを片手で外せたりはしない。

とんでもないことをしてしまった、と
おじいちゃんにごめんなさい、というと

あ、いいのいいの、そっち壊れてていつも外れる!

と満面の笑み。いや直せ。

ドアを戻したあと、(よく戻せたな)
男子2人はおじいちゃんと釣り堀を覗きに行った。

私ともう1人の女子、もう1人の男子は
何故か車内に残った。(なんで残ってたかは謎)

助手席にいた男子がふと座席下を見たようで、

あ。

と声を出した。

どうした?と声をかけると手には

数冊のエロ本。

おいジジイ…

もやもやした気持ちを抑えつつ、
戻ってきたみんなを連れて、また畑に戻る。

畑からはなぜか歩いて家に戻った。

まあまあな距離だった。

家に着く頃におじいちゃんは、

あれ?車どうしたっけ?

と言った。

は?

全員キョトンだ。
人生で一番キョトンという言葉がぴったりな瞬間だった。

いや、畑に…

というと、あ!そうか!ガハハハ

と笑い飛ばすおじいちゃん。
ボケているのだろうか。
本物の呆けなんだろうか。

家の前でおばあちゃんが迎えてくれ、
よしお家で休憩だ、と思った時、

ヘビが出た。

ギャァアア!!とびっくりする私たち。

野生のヘビなど見たことがない。

私は爬虫類はそこまで苦手ではないので、
びっくりしたがまじまじと見ていた。

そうするとおじいちゃんは、
トング持ってこい!とおばあちゃんに指示を出す。

おばあちゃんがパタパタと家に取りにいき、
おじいちゃんにトングを手渡す。

これで捕まえて草むらにでも戻すのかな…

と思っていたが、

おじいちゃんは素早くトングでヘビの首を カッ!と押さえると

頭にかぶりついた。

????!!???!

またキョトンだ。
全員訳がわからずその様子を見つめる。

どうするのかと思ったら

頭にかぶりついたまま
ビーーーーーッ と皮を剥いだのだ。

私はグロいストーリーを書きたいのではない。
本当のことを書きたいだけ。

ヘビから血が吹き出し、ピクピクとしている。
気持ち悪いこと間違いなしなのだが目を離せない。

そのヘビをそのまま家に持ち込むジジイ。

もう親しみを込めてジジイと呼ぶ。

ごはんにしよう、みんな家に入って!

ジジイはそう言った。気持ちの切り替えが追いつかない。

みんな顔が固まったまま家に入り、
食卓を囲み座る。

きっとあれはあのまま捨てるんだ。
誰もがそう思っていた。

しばらくすると、おばあちゃんが大きい器を抱えてきた。
おばあちゃんのご飯はどんなご飯なんだろう。お腹は空いていた。空腹には勝てない。
わくわくしながら置かれた器の中を覗き込む。

するとおばあちゃんが言った。

さっきのヘビを焼いたの!食べれるからどうぞ!

衝&撃。

一口大に切られたヘビが焼かれて出てきた。
黒く焼けている。

この老夫婦はなんなんだ。
クッキー焼いたの!とは訳が違うんだぞ。

あ〜ヘビね!おっけおっけ!となるとでも思ってるのか。

ヘビもそうなるとは思っていなかっただろう。


確認だがジジイ達とは初対面だ。
え、嫌です、なんていう勇気は中学生の私達には無い。

ジジイも食卓に来た。もう逃げられない。

漬物も添えられて、それだけは食べれることはわかる。

だが、食べるしか無い。ヘビを。

1人の男子が思い切って口にした。
全員がそいつをガン見する。
吐き出すのか?味わうのか?

もぐもぐと噛んでいる。
その時点でそいつに拍手を送りたかった。

男子は言った。

意外といけるぞ!

意外と、って言っちゃってるじゃねーか。

とりあえず食べれるらしい。
恐る恐る残った私たちも口に運ぶ。


硬い。硬すぎる。

タイヤを食べているようだ。


ちなみにタイヤを食べたことはない。

味はよくわからなかった。
焼かれている焦臭さと硬さしか覚えていない。

だがすぐ不味い!オエ!と口から出すほどではなかった。

とりあえずタイヤ。

地獄のような時間だった。
噛み終わらないし、目の前にはまだまだある。

だが最初の男子は何個も食べていた。
最初は拍手を送りたいと言ったが、
だんだん引いていた。

これが人生最後のご飯だったらどうしよう。

意味のわからないことを思いながら
なんとか飲み込んだ。

そのあと、何故かジジイは

お前ら、倫理って知っているか?

と私達に問うてきた。

しらねーよ。

13,4歳の子が倫理と聞いて、あぁ!倫理ね!
となる訳がない。

当時私は リンリ? と頭の中ではカタカナで浮かんでいた。

とりあえず哲学的な話というか、
意味のわからない話を2時間くらいされていたと思う。

早く終われ、早く終われ、

それしか感じていなかった。



これが中学2年生で経験した体験学習だ。

何を体験させられてんだ。

みんなはいい汗を流したんだろう、
晴れやかな顔をしていた。

こちとら冷や汗しかかいていない。



ボケたエロジジイにヘビを食わされた、

13歳の思い出。



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