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新しいものに勝る、いとおしいものを身につける喜び

いとおしいものを身につける喜びを噛み締めてわかった。時にこれは、新しいものに勝る。

以前noteでも紹介した、このイヤリングコンバータとプリンスエドワード島(PEI)も淡水パールピアス。

毎日身につけているのではないかと思うほど、頻繁にわたしの耳を飾ってくれていた。この佇まいと色味、さりげなさが自分の持っているどんな服にでも合い、とにかくお気に入りで、色や雰囲気もとっても似合うと自己満足ながらに自負していた。

ところが、先日数年振りの友人に会うために大阪に行くときに、家から駅の間で片方をなくしてしまった。自転車にも乗っていたし、小さなイヤリングなので音もしなかっただろう。とにかくショックで電車に乗ったあとも放心してしまい、しばらく気持ちを切り替えられなかった。
PEIで買ったパールであることを差し引いても、こんなに愛したイヤリングがあっただろうか…一点だけ思い出すのは、もう10年以上前か。神戸に行ったときたまたま立ち寄った、トルコだったかギリシャだったかのおじさんがアンティークを扱うお店で購入したシルバーのイヤリング。輪っかに小さな馬がついていて、見たことのないデザインとかわいさを今も覚えている。そして片方をなくしたときのショックも。


ショックなのは同じでも、今回違う点がひとつあった。完全に同じものは取り戻せないけど、ほぼ同じものは取り戻せたのだ。

まず、イヤリングコンバーターのギュッとキャッチを片耳だけ購入。
そして、似た色味とサイズの淡水パールピアスを探し、コンバートする。
この淡水パール探しが難しい…と思っていたのだけど、実はそうでもなかった。オンラインフリマにて出品者さんのご協力を得て、オンラインながら色味を見比べ、とっても似た色の淡水パールをゲット。
約半月で大好きなイヤリングが復活したのだ。シンプルに、嬉しい!


ところが、ここに至るまでには実は多少の波瀾万丈があった。
なくしたショックと、たまたま大阪に出ていたので「とりあえずなくしたイヤリングの代わり」に新しいものを購入した。これが耳たぶ厚めのわたしには痛くて痛くて仕方なく、1日つけていると頭痛までしてきたので早々に人に譲ることにした。

また、淡水パールのピアスも、最初は普通に通販サイトで購入した。当然色を見比べられるわけはないし、ホワイト系の淡水パールでも両耳で離れたらそこまで違和感ないだろう、と思って購入したら、届いてびっくり。つけてみると全く印象が違うのだ。いっそのことPEIのピンク系の淡水パールを外して、今回購入したホワイト系を両方につけようか…?なんて考えてもみたけれど、ローズゴールドのコンバーターにホワイト系淡水パールをつけたイヤリングは、なんだかわたしの顔には浮いて見えた。(見慣れていなかっただけかもしれない)
ピアスホールのないわたしには単体で使えないし、これも人に譲ることにした。

つまり、無駄な出費 × 2 …!

出費だけでなく、時間と体力も無駄にしてしまった。
でも、勉強代、と思っておこう。
というのも、冒頭に書いたように、今回の件でわたしは「新しいものを身につけることよりも、いとおしいものを身につける喜びが勝るのではないか」と気付いたから。
確かに、新しいものを身につけた時の喜びやときめきはある。擬音語で言うと、うきうき、わくわく、どきどき、だろうか。一方で、いとおしいもの-今回で言うところの淡水パールイヤリング-を身につけたときの喜びは、しっくり、うっとり、ほっとする。きっと、恋ではなく、愛の喜びに近い。


なくしたおかげで気付けた、新しさに勝るいとおしさを耳に飾り、今日もわたしは家を出る。


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madoka
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