El Japonitos de Harajuku

画像1 1:ずいぶんマニッシュに決めたものだな。ほとんどDykeだ。待ち合わせに現れた彼、いや「彼女」の姿を視界に入れた瞬間、緩やかに沸き立った印象はそれだ。とはいえ、それを口に出しても許されるほど、無神経な関係ではなかった。幾つかの偶然が重なって、身体も重ねる関係が存在するものの、いまだ互いの名前すら知らない。だから、なんだかんだで甘いフェミニンスタイルが幅を利かせる界隈で、このマニッシュ加減は危ういのではないかとさえ思っても、保護者面と取られるリスクが口に閂をかける。
画像2 2:男の姿は耐えられないが、ありがちスウィーツフェミニンにも我慢ならない。そんな「彼女」のマニッシュコーデでも、ラウンジの面々はサラリと受け入れた。むしろ、名ばかりメンバーでおっさんスタイルの俺へ注がれる目線のほうが、遥かに冷たく、厳しい。ぎこちない挨拶と「彼女」への暖かな歓迎の言葉を背に、俺は非常階段の暗がりへ後退する。素早く、そしてしっかりと「彼女」を包み込んだ人々の輪を振りほどくように、独りの空間へ沈み込むつもりだった。スパイシーな煙草の香りで、闇に霞む先客に気がつくまでは。
画像3 3:酒と煙草に焼かれたハスキーヴォイスの「お久しぶり」に、鋭さを含ませない程度の短さで「ご無沙汰、主宰」と返す。即座に「主宰は辞めたの」と、刺激的な煙まじりの言葉がかぶった。紫煙の彼方には、懐かしい顔が見える。ただ、彼女もマニッシュをやや通り越したDykeスタイルだったのは、かなり意外だった。闇に溶けたベリショの黒シャツに「クラスタチェンジ?」と訊く。やや間を置いて「馬鹿がアウティングしてさ」と、思いもよらぬ言葉が返ってきた。バイだと男から口説かれるのでDykeにしたと。わからなかったわけだ。
画像4 4:なにかのゲームに興ずる人々の歓声が、彼女の話を遮る。すっかりパーティーだ。しばらくこない間に、ずいぶん様変わりしている。そして、ラウンジという名前というか、枠組みにこだわった彼女は「パーティーもそうだけどさ、人脈作りとか、絆とか、そういう集まりになっちゃってるんだ」と、投げやりに笑った。俺は目を伏せて「そろそろ帰るよ」と返すのが精一杯。背中越しの「連れはどうする?」には、曖昧に「大丈夫、子供じゃないから」と答えながら、振り返り「どう、いまから飯でも?」と続ける。もちろん、答えはなかった。

¡Muchas gracias por todo! みんな! ほんとにありがとう!