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あらすじ 薄ぼんやりした日々をダラダラと過ごす『俺』は、ネットサービスに投稿していた画像をきっかけに、シングルマザーのインフルエンサーとつながりを持つ。彼女は【民族も父親もわからない子供を生みたい】と決意し、自然妊娠で実現したという、かなり印象的な経緯で母親になっていた。そんな彼女から、親子の写真を撮るよう依頼を受け、俺は少し戸惑いながらも撮影に出かけるのだった。 あらすじおわり 改装工事とやらで、駅はすっかり変貌していた。配管や梁もあらわな天井に、壁という壁を覆い隠
手のひらからあふれる大きさと重さ、そしてまだまだ失われていないハリを楽しみながら、俺は女友達の乳房を後ろから抱きしめ、うなじに唇をはわせる。 「だめよ……ふぅ……きょうは帰らなきゃ」 いつもの甘やかな吐息とは裏腹に、俺の手を振りほどく力の強さは、かたちだけの拒否ではない。わざわざ時計を見るまでもなく、俺もわかっている。女友達が身支度を整え、帰宅するまでの時間を考えると、もうすでに遅いかもしれないくらいの、そんなころあいだ。 俺は女友達の名前を知らない。 知っているのは