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2023.06.01

 1日中ハイラルを駆け回りながらポケモン対戦実況をながら見している。

 友人に強く勧められて、前作と最新作を購入し、ひとまず『ブレスオブザワイルド』をクリアしようと躍起になっている。これが思った以上に骨太なゲームで、1週間程度では全然終わらない。否、簡単に終わらせてしまうのは名残惜しいのだ。
 初めて触れたゼルダシリーズなのだが、ストーリー、探索性、操作スキルのやり込み可能性に、極めて惹かれている。面白くてしょうがない。
 気がつくと8時間経っているなんてザラだ。5日間外に出ていない。正気がジワジワと削られていく感覚がここにある。

 地中深くで駆動するこの噛み合わない歯車は直接さわれない。気を狂わせ続けることしかできない。もうすぐ世界を救えそうだから、それでいいのだ。

栗林公園

 そろそろ家が解体されてしまうのだけど、何も考えたくない。引っ越しとか今後何をするとか、どんな仕事に就くとかということについては。

 ハイラルの未来ばかり考えていたい。うまくジャストガードが出せないとか、どうすればラッシュ攻撃が安定して出せるかとか、そういうことを考えるための脳みそしかない、私という麻袋には。

 ハイラルはいろんな種族が住んでいていいなあ。リンクを操作していると「よっ!伝説の勇者!」「ハンサムボーイ!」と声を掛けられるので気分がいい。リンクって自己肯定感めちゃめちゃ高いだろうな。

スッポンがめちゃくちゃいた

 どうにかなると思いすぎではなかろうか。人生をなめているのではないのだろうか。それはそう思う。
 やんなきゃいけないことをしたくない。絶対にしたくない。ハイラルでしなきゃいけないことは極軽フットワークでこなせるのに。素材集めして料理をするのも、写真を見ながら聖地巡礼も、ルピー稼ぎのお仕事さえも、なんでもやる。

 やりたくねえんだろうな。やりたくねえよ。面倒くさい。めちゃくちゃやりたくない。HP作ってなんになるんだよ。絵を描いてどうなるっていうんだ。写真を撮りに行って、ギターを弾いて、本を読んで、人と喋って、バイクに乗って旅行してさ、どうなるっていうんだよ。
 誰かやるでしょ。誰か私よりうまくやるじゃないか。苦しい思いをして、全然いいものが作れなくて、出来上がっても悲しいだけなら、一貫して傍観者でいればいい。

 知人に言われた「ずっと本を読む人でいたいんですか、比喩的な意味で。僕は本を書く人間でありたい」という言葉が、私に情けなさと妙な納得感をもたらす。そうかもね。つまんねー人間だよね。申し訳ないな、と落ち込む。リンクだったら落ち込まないだろう。そんなこと言われないだろう、そもそも。
 「世界を救ってくれてありがとう」「お兄さんみたいなナイスガイと、喋れただけで嬉しい」「私はきっとあなたに会うために生まれてきたのだろうな」……等々。

 「仕事は何をしているの」「まあ、色々な人間がいて、色々な考え方がある」「今はゆっくり休んだらいいよ」……

 高校のときの友人の家が取り壊されていた。いつの間に別の街に引っ越したのだろう。もう、淡麗グリーンラベルを飲みながら深夜アニメを眺めつつ麻雀に明け暮れた、あの薄暗くネコくさい、埃まみれの部屋はない。いっそ清々しくあればいいのに、どこか追い縋っているのかもしれないな、このセンチメンタルは。つまんねー人間だ。

 つくる者と享受する者。旅立つ人と旅立たれる人。どうも前者にはなれないみたいだな。別にいいけど。ハイラル行こ。

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