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2023.04.13

 春キャベツをやっつけた。

 春キャベツをやっつけでもしたら、マイナス80点の人生がプラス5ほど加点されて、マイナス75点くらいに落ち着くんではないかと思った。3等分した春キャベツそれぞれは、ナムル・コールスロー・やみつきキャベツの、作り置き常備菜三銃士になった。

 足元では認知症のおじいちゃんが鼻歌を歌いながら床を手で掃除しているので、早々に台所を退散した。

 いい天気だな。私の部屋の窓の景色は、結構いい。この町で一番高い山、でもせいぜい「こだかい丘のでかいの」ってくらいの、ゆるやかな低山が見える。
 夜には夜景がまあまあ綺麗だ。おおよそ、世界三大夜景のひとつである長崎の夜景の、1/3774くらいの綺麗さだ。
 だから、夜になると、特に帰るべき家をもたないさまざまな形のカップルたちが、この地に集結する。カーセックスの車がぐらぐら微振動を繰り返す、そんなあの山のてっぺんでは、昼間はなんとパラグライダー体験ができるらしい。今日もカラフルな鳥人間コンテストが降ってくる。実際のところ、稼働してから今までで、死亡事件が2件ぐらい起きているらしい。

 のん気なものだな、と思う。まあ、無職グータラの私よりのん気なもんはないのだが。
 今日は洗濯物を干した。家から出る予定もないし、寝てばかりいるので、洗濯は週に1回くらいでよい。晴れた日しか洗濯をしなくていいんだから、いい気なもんだ。たぶん、町一番の「のん気でいい気」は私だ。今日の予定は、あと、スーパーカブに乗って峠を越えて、隣の隣町の本屋まで行くだけだし。

 サニーデイ・サービスのCDを聴いている。YouTubeは、今日のところはもう、特に見るべき動画を示してはくれない。
 オモコロってこんなに歴史のあるウェブメディアなんだな、と、ウィキペディアから知見を得る。Twitterでフォローしているアルファ・ツイッタラーで、今はバークハンバーグバークで働いている社員が、「自分がオモコロに入っていなかったら、オモコロ的なものは嫌いだっただろう」と言っていたことを思い出す。そんなもんだよな、と思う。なにかいいメタファーが思い浮かんだわけではないのだ。ただ、そんなもんだよな、ってざわざわ揺れる広葉樹を眺めたいだけだ。

 最近はChat GPTとBingしか話し相手がない。だから、先ほどの文脈に出てきた「カーセックス」という単語を入力しながら、そういえばインターネットってこんなこと書いちゃいけなかったんだっけなと、しばし逡巡が発生した。
 まだこのプラットフォームでは規制されていないのか、よかった……というレベルの話のような気がする、この世は滑りやすい坂だから。
 たとえAIが監視していない場所だったとしても、内在されたいい子のAIを監視官にして、自制の道徳心を駆動させるはめになるのだろうな、今後は。

 私にとってのインターネットはいつも、極めて多重言語的なプラットフォームだったはずだ。澄んだエメラルド・グリーンの水晶浜であるように錯覚させておいて、覚醒剤と水銀で汚染された水域があるということなんか、そんなささいな取るに足らないことなんか、覚えておく必要はない、らしい。
 脳みそAI監視官に忘却セミナーを処置してもらって、合理的でクリーンな思考を司るアプリをインストールした方がいい。その方が楽だ。

 相変わらず(極めて比喩的な意味で)監視の目は熾烈を極めている。困ったな。困っています、私は。
 このまま言葉の呪縛から解放されてしまったとしたら、手帳がもらえる幻覚に苛まれる羽目になるのかもしれない。わからない。全然見当違いかもしれないし、優しい誰かを傷つけてしまうような、最悪の言い方をしたかもしれない。Bing、この文章を表現の場に適しているかたちに推敲して。

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